PJCS2023で予選からライブ大会まで使い続けた構築。
下記のような結果を出すことができました。
予選3回目:28勝9敗、レート1762で予選通過
本戦1回目:10勝3敗、レート1582で本戦通過
ライブ大会:1勝2敗で敗退
概要
レギュレーションA・Bでランクマ1位に採用された実績を持つセグレイブはレギュC環境でも遜色ないパワーを発揮できると感じ、このポケモンを中心に煮詰めていくことにしました。
セグレイブの強みはその攻撃範囲の広さにあり、氷と地面だけで9タイプもの弱点を押さえることができます。特に地震は飛行タイプの少ないレギュC環境で通りが良い全体技。イダイナキバやガブリアスのような元から地面タイプのポケモンと違って、セグレイブは相手に氷技を警戒させられるため、炎や鋼にテラスした相手に地震をぶち当てる流れにもなりやすいです。更に全体技だけでなく先制技の氷の礫をも使えるオールラウンダー。JCS1戦目の配信卓の試合でも先制技・全体技を使い分けてこの指とまれとトリルに対して対応できています(対戦動画は記事の最後の方にまとめています)。
地震に巻き込まれず、セグレイブの中途半端な素早さを補えるファイアローは理想の相方。素早さを上げておくことで氷柱落としのひるみを狙ったり、相手を縛ることによる巨剣突撃反動回避もしやすくなります。しかしセグレアローとも物理アタッカーなので威嚇に弱く、テラスタイプ込みで水タイプを共通の弱点としています。特に一回目のJCS予選の頃から合体しないへイラッシャ+ディンルーの組み合わせが台頭しており、セグアローでは不利な組み合わせと言えます。
ラッシャディンルーへの対抗策としてしっくり来たのが水ロトムです。巨剣突撃でヘイラッシャのHPを4割削った後、水ロトムの球10万ボルト(災い込み)で6割削ってラッシャを倒す流れが綺麗。セグロトムの並びも放電地震が使用できるため全体技を軸に攻めていけます。テラスタルや交代、この指とまれで受け身に立ち回ろうとする相手に対してはかなりの制圧力を発揮できました。
基本的に相手はセグアローを警戒して先発に硬いポケモンを、後発に速いポケモンを置きがちです。そのため、まずはセグロトムで硬いポケモンを崩してから後発の速いポケモンに有利なポケモンを当てていく形がベストだと考え、スカーフサーフゴーとブーストエナジーテツノツツミを用意しました。特にスカーフサーフゴーは交代出しのしやすさと奇襲性能の高さから強力で、相手に追い風アロー+メガネサフゴを警戒させて選出を歪ませることも狙えます。
突撃チョッキを着ているセグレイブは特殊にはゴリ押されにくいものの物理から押し負けやすいので、威嚇枠がほしいところです。6匹目にはウインディを採用しました。ウインディを採用して以降、相手が初手でパオカイを出してくるようなことは減り、セグロトやセグアローの先発がより動かしやすくなったと感じています。
個別解説
■能力値(努力値 性格)と技・持ち物・特性
※能力値はHP-こうげき-ぼうぎょ-とくこう-とくぼう-すばやさの順
努力値はH→HP、A→攻撃、B→防御、C→特攻、D→特防、S→素早さ 未記載は無振り
セグレイブ
191-216-112-×-106-139(H4,A252,S252 いじっぱり)
【きょけんとつげき、じしん、つららおとし、こおりのつぶて@とつげきチョッキ/ねつこうかん/テラス地面】
HD:ハバタクカミ(C187)の拘りメガネ+マジカルシャインを突撃チョッキ込みで確定耐え
氷+地面の攻撃範囲が非常に広く、600族でもあるためパワーの高いポケモンです。「とつげきチョッキ」を持たせてカミイーユイに対抗しやすくしており、守るを切って攻撃範囲を広げています。メイン技はタイプ一致の「つららおとし」「きょけんとつげき」。中速アタッカーなので味方のS操作と相性がよく、上をとることで氷柱落としの追加効果を引きやすくなったり、相手を縛って巨剣突撃の反動を回避することができます。
氷技で相手のテラス炎・鋼を誘いながら、「テラスタル地面」で強化した「じしん」を撃てるのが強みです。味方のうち二匹が浮いていることもあって巻き込みを気にせず撃ちやすいです。地震の強化だけでなく、フェアリー・格闘・岩・鋼から弱点を突かれないようにするためにも極力このポケモンにテラスを切っていくことになります。相手の構築にハバタクカミがいなかったらテラス権を他のポケモンに譲ることも検討します。
同じ600族ドラゴンのガブリアスと比べてメリットになるのは先制技の「こおりのつぶて」と特性の「ねつこうかん」の存在です。つぶては地震のダメージと合わせてハバタクカミを縛ったり、巨剣突撃の反動を消すのに便利。熱交換で火傷を気にする必要なく動けます。
素早さは準速。凍える風と合わせて135族を抜けるのが美しいです。また、素の速さでセグレイブミラーやイダイナキバ、カイリューに対しても上を取れる自信をもって動けます。
ファイアロー
167-133-92-×-90-180(H108,A252,B4,D4,S140 ようき)
【ブレイブバード、おいかぜ、おにび、ファストガード@するどいくちばし/はやてのつばさ/テラス霊】
HD:ハバタクカミ(C187)の拘りメガネ+シャドーボールを確定耐え
S:最速イッカネズミ(S179)抜き
「はやてのつばさ」を絡めた優先度の高い飛行技を長所とするポケモンです。この構築では後発から出すことも多く、「おいかぜ」によるS操作、「ブレイブバード」による縛り、「ファストガード」による先制技封じで後半戦を優位に進めていきます。相手側にS操作がなければ先発で出すのも強く、主としてセグレイブと並べ、追い風地震で追い風を展開しながら相手を縛る、ファスガ地震でテツノカイナのねこだましを防ぎながらダメージを与える、といった動きをします。
イッカコノヨをはじめ、コンボ系の構築に対してはこのポケモンを先発に出さざるを得ませんが普通にディンルーやカイリューを出されて出し負けてしまう場合もあります。出し負けのケアとして岩雪崩ダメージの軽減にもなる「おにび」と神速やねこだましを防げる「ゴーストテラスタル」をもたせた形となります。
持ち物は迷ったところですが、最も汎用性の高い「するどいくちばし」に落ち着きました。この持ち物があればブレイブバードで耐久振りの甘いハバタクカミを一撃で倒すことも狙えます。
他には下記の持ち物が候補となりましたが、それぞれ没になっています。
- ぼうじんゴーグル・・サーフゴー入りのこの構築にモロバレルを出されることが少ないため微妙
- ゴツゴツメット・・ゴテラや隠密マント警戒かねこだましや神速を撃たれることが少ないので不要
- こうかくレンズ・・持っていても鬼火外すので不要
シャルナークさんの使っていた持ち物なしアクロバットアローは一度も考えつきませんでした。
ロトム水
149-×-128-172-128-114(H188,B4,C252,D4,S60 ひかえめ)
【10まんボルト、ハイドロポンプ、ほうでん、まもる@いのちのたま/ふゆう/テラス鋼】
H:10n-1
S:準速バンギラス抜き
「いのちのたま」をもたせたアタッカー。水+電気の攻撃範囲が優秀で、ディンルー、ヘイラッシャ、ギャラドス、アーマーガアなどの硬いポケモンやテラス水・テラス炎を切ったポケモンの処理を得意としています。
耐性のおかげでゴールドラッシュや熱風などの全体技に強く、特性「ふゆう」で地震も回避できます。味方のセグレイブの地震に巻き込まれないのはもちろん、アタッカーディンルーやヘイラッシャから地面技で弱点を突かれたり地割れに落とされないのもありがたいです。テラス権が余っている場合は「鋼テラスタル」を行使し、フリドラや草技に耐性をつけていく動きもできます。勿論、鋼+浮遊の噛み合いも抜群。
攻撃技は定番の「10まんボルト」と「ハイドロポンプ」。災の器込でもHDヘイラッシャとディンルーをそれぞれ6割削る火力があり、セグレイブの攻撃と合わせて落とせる計算になります。
巻き込み全体技の「ほうでん」は主に地面テラスセグレイブと組み合わせて使うことになりますが、単純に守ると組み合わせて使うのも有効です。サーフゴーやコノヨザルのように水テラを切ったうえでこの指とまれに守られているポケモンに対しても攻撃を仕掛けていけます。
テツノツツミ
163-×-135-150-97-182(H252,B4,C44,D132,S76 おくびょう)
【フリーズドライ、こごえるかぜ、アンコール、まもる@ブーストエナジー/クォークチャージ/テラス飛行】
HB:カイリュー(A204)の拘り鉢巻+災いの剣+ノーマルテラスタル+神速を確定耐え
HD:ハバタクカミ(C187)のテラスタルムーンフォースを確定耐え
味方のセグレイブ・水ロトムとタイプの被るポケモンですが、この二匹は先発が多いので序盤に出して失うこともあり、終盤に氷打点や水タイプの弱点を突く手段が不足することも多々ありました。「フリーズドライ」により水を含めた多くの弱点を突けるテツノツツミはこの課題の解決にうってつけで、自身の水耐性も相まってイルカマンや寿司、雨に対して特に強く出れるのが魅力的でした。
コンボ、積み技の対策として「アンコール」をもたせ、合体寿司に対しては地震を固定して「飛行テラスタル」を切り、浮いている味方と並べてアンコールすることでハメられるようにしました。ハイドロポンプは持たせていませんが相手が警戒して守ってくれることも多いので、そこをアンコールで固定できるとおいしいところ。
様子見して相手の守るを釣るのも有効な手になるためこちらも「まもる」持ちです。セグレイブ、ロトムの全体攻撃に巻き込まれないよう使うこともあります。
配分は低い耐久を補うことに注力しています。だいたいのツツミハバカミはS180辺りに調整していると思ったので、こちらの素早さは182にしました。「ブーストエナジー」+「クォークチャージ」込みの素早さは273で、上から「こごえるかぜ」を撃ってS操作する仕事も重要です。
サーフゴー
187-×-116-166-112-143(H196,B4,C100,D4,S204 おくびょう)
【ゴールドラッシュ、シャドーボール、パワージェム、トリック@こだわりスカーフ/おうごんのからだ/テラス岩】
HB:パオジアン(A172)の災の剣+ふいうちを確定耐え、テラス地面セグレイブ(A216)のダブルダメージ地震を確定耐え
HD:ハバタクカミ(C187)のシャドーボールを確定耐え
S:最速ドラパルト(S213)抜き
主に後発を任せており、体力の削れたハバタクカミやテツノツツミを「こだわりスカーフ」+「ゴールドラッシュ」or「シャドーボール」で狩っていきたいです。ブーストエナジー込みのカミツツミは抜けないし、パオジアンの不意打ちで上から殴られることもありますが、逆にそれらの要素のおかげでスカーフサフゴの警戒は薄いと感じました。万が一上を取られても、耐久調整しているためシャドボや不意打ちは耐えられます。
耐性も多く、「おうごんのからだ」の補助技無効も強いため、受け出しも得意としています。その場合は交代際のダメージで耐久調整が崩れることに注意が必要です。
テラスタイプはかなり迷いましたが「テラスタル岩」を選択し、「パワージェム」の強化と炎耐性の付与を狙います。テラス水と違ってテラスタルしなくても炎タイプに打点を持てる選択肢になるのが気に入っています。元のタイプとテラスタイプで地面が一貫するのが欠点ですが、味方に浮いているポケモンが二匹いるので地面技は交代で透かすことでカバーできると考えています。
「トリック」を持たせてトリックルームの起動役にスカーフを渡すことを狙います。剣の舞やビルドアップを狙ってきそうな相手に渡すのも有効で、ツツミのアンコールで積み技を固定してからトリックする方法ならより安全です。
ウインディ
196-171-106-×-102-116(H244,A204,B44,D12,S4 いじっぱり)
【フレアドライブ、インファイト、しんそく、まもる@オボンのみ/いかく/テラス草】
HB:イダイナキバ(A201)のぶちかましを高乱数耐え(81.3%)
HD:ハバタクカミ(C187)の拘りメガネ+パワージェムを確定耐え
「いかく」で物理に強いポケモンであり、このポケモンが構築にいるおかげでパオカイなど高圧的な物理の初手が選ばれにくいです。レギュC後半は特殊メインの環境に変わっていったためかクリアチャーム所持率が徐々に下がっていったのも追い風に感じました。
水ロトムを伴って選出すればそれぞれの特性とタイプで弱点を補いあい、ほとんどの先発に対抗できます。ウインディの炎攻撃技or鬼火を警戒させて相手に炎・水テラスを切らせて、水ロトムで弱点を突く流れもキレイです。
「フレアドライブ」をメインとする物理型。ハバタクカミを倒すためにはやはり物理打点が必要になります。反動を含めたダメージ蓄積は「オボンのみ」で補います。
サブ技に「インファイト」をもたせ、バンギラスやイーユイをワンパンすることも狙っています。「しんそく」も高性能な先制技として必須。構築に悪タイプがおらずイエアルマが厳しいためバークアウトをもたせるか迷いましたが、バクアしても力負けしたり、外したり、弱点保険を踏んだり、負けん気持ちに睨まれてそもそもトリパに出せないという事があったため不採用にしました。
インファイトを見せると拘り鉢巻と判定してくれる相手もいるためか「まもる」で集中攻撃を防ぐ動きも有効でした。特に水テラバで奇襲を狙われた際に守るを押しながら隣のロトムで放電が撃てるとかなりのアドが取れます。
主な選出
対壁構築、ディンルー系、イルカマン系
ディンルーラッシャや壁構築といった硬い先発を意識した布陣です。セグロトムの広い攻撃範囲と全体攻撃の手数で硬い並びを崩し、後発のハバカミやパオジアンをサフゴアローで一掃していきます。
ラッシャディンルーの並びが相手ならまずはラッシャから巨剣10万で落としにいきます。オボンを発動させない程度に巨剣でラッシャを削れるため、そのまま10万ボルトで落ちてくれることが多いです。
対追い風系、ミミズズ系、ほか威嚇の刺さる構築
追い風に対して追い風で対抗するのも手ですが、こちらは拘り鉢巻やメガネがないので力負けしてしまいやすいです。このため先発での追い風合戦を避ける方向で立ち回ります。
ファイアロー、ヤミカラスに対してはウインディを守らせながらロトムに放電を使わせるのがとても効果的。タスキなどで耐えられても次のターンにウインディの神速で縛れます。アローの隣のイーユイやサーフゴーがテラス水を切ってウインディにテラバーストでも狙っていようものならなおのこと美味しいです。
対イッカコノヨ、コンボ系、高速系
先発:セグレイブ+ファイアロー
後発:ロトム水+テツノツツミorサーフゴー
イッカコノヨに対しては追い風地震が回答として堅実で、たいていのコノヨザルはブレイブバードや鬼火を警戒して炎テラを切ってくれるので地震が直撃します。水テラを切られた場合に備えて水ロトムも後発に置くと安泰です。
相手がイッカコノヨ偽装だとしてもアタッカーイッカネズミを追い風で抜けるようにすれば不利にはなりづらく、セグアローで間違いはないと思っています。
対毒寿司
先発:テツノツツミ+サーフゴー
後発:セグレイブ+ファイアローorロトム水
キラフロルをサーフゴーで処理したいところ。合体するにしてもしないにしてもサーフゴーのトリックをヘイラッシャに撃つプレイングが有効です。合体して地震を撃とうものなら飛行テラスツツミとアローorロトムでハメれるし、合体しないあくび型なら自由な行動を封じて使いにくくできます。こちらの構築の半分はどくびしが効かないポケモンなので毒化粧を恐れずに物理で殴っても良いと思います。
ちなみにディンルーラッシャフロル全部入った欲張りセットを相手にした際、体感フロルラッシャが先発に来やすいのでツツミサフゴで応戦します。
終わりに
全体的にテツノカイナが重たかったのが反省点です。ハバタクカミが構築に入っていないのもあってセグレイブの地震で弱点を突くしかないものの、威嚇や壁で固められ剣舞を積まれると厳しくなります。ライブ大会での二回の負けは壁カイナとギャラカイナだったのでまさにこの手の構築。本戦でも一度負けているためもう少し厚めに対策すべきだったかもしれません。
厄災がいないこの構築ですら重かったのだからテツノカイナはやはり環境に刺さっていたのだろうと思いますし、カイナを壁でサポートする構築で日本一を取ったシャルナークさんの環境読みには感心するばかりです。
あと1勝でWCSを逃したのは悔しいですが、今年は予選抜けが3回目の繰り上げとギリギリだったしライブ大会の上位層とは構築レベルの違いも感じたので、世界大会権利を取れなかったのも実力相応な結果だったかなと納得しています。来年こそ世界大会に舞い戻ることを目指して頑張りたいです。
ちゃがまさんからイラストを頂きました。ありがとうございます!