WCS2017アナハイム世界大会レポート Day0、Day1編

6/18に行われた全国大会で優勝し、日本代表になった私はアナハイムで行われたポケモンWCS2017世界大会に参加してきました。

世界大会への参加は2年ぶり3度目。今年はDay2を勝ち上がり、Day3の決勝戦に勝利して念願の世界チャンピオンになることができました。

このレポートで世界大会の楽しさや熱気を伝えることができれば幸いです。

アナハイムでの1週間、本当に沢山のことがありました。これまでに書いた世界大会レポートと比べて非常に長い内容となるため、3,4回に分けて書きます。今回は世界大会1日目であるDay1と、その前日まで(Day0と呼ぶことにします)のレポートです。
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出発


世界大会への出発は8月17日、木曜日でした。
私の旅路は最寄り駅→福岡空港→成田空港→ロサンゼルス空港→アナハイム、というものです。

成田空港で出国審査を終えてロサンゼルス行きの飛行機を待っている間、日本代表のメンバーと続々再会しました。

マスターカテゴリの喰いタンさん、コウさん、アンニュイさん、ウォルフォンさん、柚樹さんと全国大会以来の再会。アナハイムではこの社会人メンバーで動くことが多くなりました。

シニアカテゴリのハラサキシュウ君の一家とも再会。シュウ君は2年前の2015年の全国大会ジュニアチャンピオン。ボストンの世界大会で知り合い、以来、親御さんを通じて何度もフレンド対戦をしています。ハラサキ君一家から「世界大会に向けてのお守り」として封筒を頂きました。開けてみると2枚のポケモンカードが入っていました。


「勝利」を象徴するポケモン、ビクティニ
そして今回の相棒、ワルビアル
この2枚のカードに込められた意味、すぐに分かりました。目頭が熱くなります。何より嬉しいお守りです。ありがとうございます。相棒のワルビアルと共に勝利の星を目指す!燃えていました。

17時ごろ、搭乗が始まります。2件のツイートをして、日本を発ちました。

機内


ロサンゼルス空港まで飛行機で10時間。

機内では通路側の席でした。
通路を挟んで右隣にはシニア全国ベスト4のフクシマ君とその家族、左隣の席はジュニア全国ベスト4のイ君とその家族、真後ろの席は同じくジュニアベスト4のアサリ君とその家族、という具合でジュニア・シニアのプレイヤー、ご家族に囲まれていました。

ほぼ初対面でしたがロサンゼルスに着く頃には皆さんと仲良くなりました。この3日後、決勝戦で羽織る国旗に寄せ書きをしてもらうことになります。


映画を観て機内食を食べた後、消灯。ここでしっかり寝て時差に対応しコンディションを整えたいところです。戦いはもう始まっていると言えます。

アイマスク、空気まくら、耳栓、スリッパと完全装備。絶対に眠る気でいました・・!

・・

眠れません

夜行バスに乗っている感覚。機内は揺れるし体勢もきついです。結局1時間も眠れませんでした・・

ロサンゼルス


アメリカ、ロサンゼルス空港に到着しました。

1時間近く並び入国審査を完了させます。


アメリカ西海岸のカリフォルニア州。肌が痛くなるぐらい日差しが強いです。乾燥していて、コンタクトをしている目が痛くなります。しかし、日本のような蒸し暑さはなく、涼しい気候でした。


アナハイムまでバスで1時間。

ロサンゼルスの名前の由来や歴史・・

そういったバスガイドの話を耳で聞きながら、久しぶりに見るアメリカの景色に見入っていました。


アナハイム

カリフォルニア州アナハイム市に到着したのは現地時間の2時過ぎ。

5日間宿泊するホテル、マリオットに入ります。マリオットのロビーは各国から集まった選手で賑わっていました。

自分の部屋で休めるのはまだ先。まずはオリエンテーションを受け、旅行についてや大会ルールについての説明を受けます。だいたい事前にもらった資料に載っていた内容でした。

その後、部屋の鍵を受け取り、自分の部屋に向かいます。しかし鍵が開きません・・部屋番号を間違えたようです。「705号室」と思っていたら別館の「7050号室」でした。マリオットはダンジョンのようなホテルで自分の部屋を見つけるのに苦労しました。


現地時間の15時半ごろ、ようやく部屋にたどり着きました。今日から5日間、ここが私の城です(≧▽≦)

16時から選手チェックインに並ぶので30分の休憩です。シャワーを浴び、荷物を軽くして部屋を出ます。ウォルフォンさんと待ち合わせをして選手チェックインに並びました。

選手チェックインの自分の番になりました。Day1に参加する選手はここでデジタル選手証の受け取り(つまりバトルボックスのロック)を済ませる必要があります。私はDay2からの参加なのでその必要はなく、ウェルカムキットの受け取りのみでした。

受付のスタッフはとてもフレンドリーに対応してくれました。


ウェルカムキットの中には選手証、帽子、Tシャツ、プレイマット等々一式が入っていました。
これを受け取ることが世界大会の楽しみの1つです。

夕方、全国大会で知り合ったホソイさん一家の部屋にお邪魔しました。ホソイサヤカちゃんは今年のジュニア全国チャンピオン、その兄のホソイケンシン君はシニアカテゴリのDay1から出ます。二人は私と同じようなパーティを使うとのことなので、立ち回り方や苦手なパーティへの対処法についてアドバイスしました。二人とも素直にアドバイスを聞いてくれてこっちも嬉しくなりました。


アナハイム(たそがれのすがた)

最初の晩餐はウォルフォンさん、柚樹さん、ワイルドさん、アンニュイさん、コウさんとピザを食べに行きました。途中、関空組のぶらありさん、たきさん、mashさんとすれ違い挨拶します。

ピザとハンバーガーはアメリカで食べるものの定番。美味しいです。


夜のアナハイム

一日ほとんど休む間もなく動き続けて疲れました。さすがに眠れるでしょう。

・・

眠れません。
時差に慣れておらず、すぐに目覚めてしまいます。早く眠らないと、コンディションを万全にしないと、そう焦っているとますます眠れない悪循環(@_@)

過去の世界大会ではこんなことはなかったのですが・・
辛い夜でした。

Day1

世界大会Day1の朝です。全国大会でベスト8以上に入るとDay2から参加できるシード扱いになるため、この日私は対戦がありません。開会式を見たり、日本勢の応援をしたり、というのが主になります。寝不足であまり体調が良くなかったので助かります。

朝6時、シャワーを浴びてから出かけます。


マリオットから歩いて10分ぐらいの場所にセブンイレブンがあります。コンビニで朝飯を買って食べる。日本での生活と何ら変わらない安心感。


フルーツの盛り合わせが1ドルで売っていました。店員にオススメされて買います。アナハイムでは毎朝食べていました。


ねむけざまし。朝から一本飲んでビーストブーストしていくことにしました。


世界大会が行われるアナハイムコンベンションセンター。


開場時間である8時になってから会場に入ります。

世界の頂点を決める場所、その迫力、演出の豪華さ、あまりの興奮に眠気が吹っ飛びます。心の底から燃えました。


トロフィーは金銀銅で大きさが違うようです。
やはり一番大きいやつを狙っていきたい!

オープニングセレモニーは現地時間の9時から。
会場の前の方の席に座り首を長くして待ちます

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開会式は上記の動画になります。カウントダウンのBGMはお祭りが始まる感があっていいですよね。現地で聞いて以来ずっと耳に残っていて、何度も聴いています。30カウントの後、WCS2017オープニングセレモニーが始まります。

まずは今大会に参加する44カ国の紹介ムービー。カナダ、アメリカ、メキシコ、エルサルバドル、コスタリカ、コロンビア、ベネズエラ、エクアドル、ペルー、ボリビア、パラグアイ、チリ、アルゼンチン、ブラジル、日本、韓国、台湾、香港、フィリピン、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランド、ポルトガル、スペイン、フランス、アイルランド、イギリス、スイス、ルクセンブルク、ベルギー、オランダ、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシア、スロヴァキア、チェコ、ドイツ、イタリア、南アフリカ。

文字通り世界中からポケモンプレイヤーが集う大会となっていますね。

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」

日本の番になった時、ゼンリョクで叫びました。

株式会社ポケモンの石原恒和さんとゲームフリークの増田順一さんがステージに登場。今年も何か新情報の発表があるようです。去年はマケンカニとポケカのGX技でしたね。

ジャラランガZ!??全体技のZ技。しかも全能力上昇という破格の性能です。フェアリーが猛威を振るう現状にあって、フェアリー4倍弱点のジャラランガだから許される、フェアリーに対して無効のドラゴン技だから許される性能という感じでしょうか。


オープニングセレモニーが終わり、選手が対戦卓に着きます。対戦形式はスイスドロー。BO3のマッチ戦。マスターカテゴリDay1通過の条件は「☓-2」以上、ラウンド数は7ラウンドと発表されます。つまり、5-2がボーダー。5勝0敗、5勝1敗、5勝2敗のいずれかの成績なら抜けられるというわけです。

Let's the battle begin!
私はDay2からのシードなのでこの日は対戦がありませんが、応援したい人はたくさんいるし、環境調査もしておきたい。それから会場の雰囲気に慣れておきたいです。


会場ではマスターカテゴリの試合を最大4試合まで同時に観戦できます。見た感じ目立つのはカプ・ブルルの使用率の高さ。

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第一試合では2年前の世界王者であるビエラさんとSNOWさんの日本人対決が早速行われていました。注目の集まるビエラさんのパーティはギガルガン。全国大会で喰いタンさんが3位に入賞してから一躍有名になった組み合わせです。

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前年優勝者のWolfe GlickはDay1からの参加。
アメリカ人同士、ミミッキュミラー、トリルミラーのこの試合に勝ってDay2を決めたようでした。リージョナルの放送を観ていても感じましたが、アメリカ勢はカビゴンの使い手が非常に多かった印象です。

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観戦していたなかで一番ヤバイと思ったパーティ、コケコライチュウピッピカビゴン。

守るを貫通するライトニングサーフライドで麻痺を撒いて最速腹太鼓カビゴンで暴れる。麻痺に頼らなくともテッカグヤやトリトドンは最速カビゴンの餌食にされる。アメリカ勢何人かで共有している構築らしくたびたび配信に映ります。

初めて見る戦術でした。最速カビゴンのSは90・・私のテッカグヤのSは89・・どうしよう、Day2までに配分を変えた方がいいだろうか。その場合代わりにどの能力を下げる・・?
あれこれ悩んでいましたが日本人選手が最終ラウンドで勝ってこの手のパーティは壊滅したようでテッカグヤの配分変更は止めにします。


インターバルの間に流れるムービーにも見入ります。


S操作を使う主要なポケモン、威嚇を使う主要なポケモンなど、アローラダブルについてまとめた画像もインターバル中に流れます。海外ポケモン公式のガチ対戦への力の入れようは素晴らしいです。

第三ラウンドが行われている辺りで睡魔に襲われます。寝不足もありますが、ずっと座ってモニターを観てばかりだとどうしても眠くなります・・

一旦部屋に戻ったり、物販に行ったりと動き回りました。


会場の外ではPokemonGOのガルーラ狩りが行われています。世界大会の期間中、会場近辺で出現率が高くなるとのことでした。


人が並んでいない時間を狙って物販に行きました。お土産とがにゅーオフの景品を買います。

ジュニア・シニアカテゴリはマスターより早くDay1が終わり、応援していたケンシン君とシュウ君は無事抜けられたようでした。一安心です。

19時ごろ、マスターカテゴリもDay1全日程が終わります。

マスターカテゴリで最も早くDay1を通過したのはウォルフォンさんでした。全勝の5-0は凄すぎる・・世界一取れますよ。

最終的に日本人は24人中10人が抜けることになります。ラストチャレンジが廃止され、世界大会がDay1,Day2形式になってから3年経ちますが、2015年は抜ける条件が緩すぎる、2016年は反対に厳しすぎると言われていました。

5-2がボーダーとなった今年はバランスが良かった、という声をよく聞きました。


結局のところ、世界大会の環境はよく分からずじまいでした。序盤のラウンドではよく映っていたカプ・ブルルも終盤のラウンドには数を減らしています。

さすがにプールの広いアローラダブルとあって使われる構築は多種多様。トップメタが絞りきれません。自分のパーティは何も変更せずに臨むことにしました。


やはり世界大会に出るプレイヤーはプレイングも構築も本当に上手い。これ以上のレベルとなるDay2で自分は本当に勝てるのか、内心不安でした。

私は日本チャンピオン。しかし自分の強さは「パーティの強さ」、すなわち構築の完成度や使い慣れ具合、環境への刺さり具合といった要素に依存します。

世界大会で使う予定のパーティは全国大会で優勝した雨パーティと全く違うタイプのもの。
まだ実績の少ない新しいパーティで果たして勝てるでしょうか。

不安なので誰かとフレ戦したい。アンニュイさんが勝負を受けてくれました。

こちらのテッカグヤが相手のカミツルギのハサミギロチンを2回避け、マッチ戦に勝ちました。
なんて技使ってくるんだ・・

とりあえず運試しはバッチリ(?)この試合で自覚を鍛えたのか、テッカグヤはDay2を通して目覚ましい活躍を見せてくれることになります


対戦後、アンニュイさんに自分の構築のことを話します。アンニュイさんが興味を持って聞いてくれるので夢中になって話しました。
「こういう工夫をしているんです」「こういうとこが不安なんです」

話していくうちに、これまで時間をかけてパーティを練ってきたことを思い出し、自信が湧いてきました。

晩御飯を食べて部屋に戻ると、試験前日の受験生のごとく立ち回りの最後の確認をしました。
レート戦・フレ戦の対戦メモとバトルビデオに一通り目を通します。

全国大会が終わってからの2ヶ月、過去二度の世界大会での失敗や成功を踏まえ、マッチ戦で勝つために使うべき構築について自分なりに考えました。

その結果がこのパーティ。ランダムマッチでの練習でメジャーな構築や並びに対する立ち回り方を決め、友人にマッチ戦の相手を頼んでBO3の特訓をしてきました。

やるべきことはやった。このパーティならきっと結果を出せるだろうと自信を持つことにしました。


ポケリフレ。一匹一匹に想いを込めます。ダクリュウ...アテテクレ..タノンダゾ

パーティシートとポケモンの技や能力値、持ち物の最終確認をしてから横になります。もう体が時差に慣れたのかこの夜はよく眠れました。
といっても多分3時間も寝てないのですが・・よく眠れたと自己暗示することにしました。


この2日間だけでたくさんのことがありました。
旅行気分はもう終わり、明日はいよいよWCS2017に参戦です。


Day2編につづく
barudoru.hatenablog.com