【WCS2018】サナガエン

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QRレンタルチーム(PGL)
WCS2018ナッシュビル世界大会で使用したパーティ。
Day1で6勝3敗。Day2への進出は叶わずという結果になりました。


概要

■サナガエン+地面Zランドロスについて
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全試合BO3形式で行われる世界大会に参加するにあたって、去年の大会で優勝したワルビレヒレのようにマッチ戦に向いたサイクル寄りの並びを使うことにしました。選んだのはサナガエンランド。威嚇2枚を駆使し、サイクルを回しながら全体技で削っていく形はパワーが高く、自分の得意戦術でもあります。

この3匹の組み合わせにおいて、霊獣ランドロスリザードン対策などの用途からスカーフで使われることがほとんどです。ただ、スカーフランドロスは物理型の場合はサーナイトを巻き込む地震が使いづらく、特殊型の場合は火力に難があります。そこで味方を巻き込まない地面Z技、「ライジングランドオーバー」を使う物理型の霊獣ランドロスメガサーナイトと組ませてみたいと考えました。

ランドロスにスカーフを持たせない場合、「相手のリザードンが重くなる」「パーティ全体の素早さが遅くなるためハイボでダメージを与えた相手にトドメを刺すことが難しくなる」などの懸念がありますが、その点は高速ポケモンのカプ・コケコを採用して補完します。f:id:barudoru:20180701145246p:plain

ただし、レヒレではなくコケコをカプ枠にしたサナガエンは、大地の力・ヘドロばくだん・めざ氷で全員の弱点を突かれ、相手の特殊ランドロスに弱くなりがちです。そこでカプ・コケコをチョッキ+めざ氷持ちにし、ランドに反撃できるようにすることで解決を図っています。

今回のパーティはこのサナガエン+地面Zランドロス+チョッキコケコを基本選出として構築しました。サーナイトで相手を削る→最後にコケコで一掃、という流れを目指します。

ハイパーボイス+地面Z」の動きにより、相手が飛行タイプへ交代して地面Zを透かしてきても交代先のランドロスボーマンダハイパーボイスのダメージを蓄積させることができます。Day1の配信1回戦でもドリュウズ→霊獣ボルトロスの交換時にハイパーボイスで大ダメージを与えています。

ハイパーボイス+地面Z」を使ううえで重要なのは素早さ順をメガサーナイト>霊獣ランドロスにすることです。

霊獣ランドロスを先に動かすと、ライジングランドオーバーを相手に耐えられてピンチベリーが発動、その後ハイパーボイスが通って仕留めきれず・・という残念な展開になりがちです。一方、メガサーナイトが先に動いてハイパーボイスのダメージを与えてからライジングランドオーバーをぶち込めば、ピンチベリーの発動なくカプ・レヒレトリトドンを落とせる可能性が高いです。対ミミッキュにおいても、物理耐久に振っているものでなければハイパーボイスでばけのかわを剥がして地面Zで倒せるためトリルを妨害できます。ピンチベリーや化けの皮があるから集中攻撃されても大丈夫、と油断している隙を突くことができ、特にカプ・レヒレはカモにすることができました。さらにメガサナを巻き込んで地震を撃ちたいとき(対ピッピマリルリ等)でもハイボ⇒地震の順に動けば、地震サーナイトが倒れてハイボを撃てなくなる事態を防ぐことができます。

メガサーナイトのSは144。もともと構築を組み始めた当初は126ぐらいだったのですが、準速カプ・レヒレやそれ抜き調整のポケモンドーブルニドクインらが台頭するに従って求められるSは早くなり、準速ランドロス抜きのラインで落ち着きました。トリル持ちのサナにしては速すぎると思われるかもしれませんが、リザテテフやゲンガー系をはじめ145以上の素早さで固めたパーティも多く見かけるためこの素早さでもなおトリックルームは強力でした。マッチ戦では1試合目において相手のポケモンサーナイトより速いか遅いかまずは見極め、それをもって2戦目・3戦目でトリックルームを利用するかどうかのプランを立てていきます。

そしてサーナイトの相方、霊獣ランドロスの素早さはS143の準速。メガサーナイトとSが1しか変わらないため、相手ポケモンの素早さチェックにうってつけです。特性「いかく」の発動順で素早さの優劣が分かるのも見逃せません(サーナイトのトレースはメガシンカ前の素早さで起動するためS判定としてはあまり意味が無い)。

「メガサナで抜けるポケモンはだいたいランドロスでも抜ける」「ランドロスで抜けるポケモンはだいたいメガサナでも抜ける」と判断しながら戦えるのは縛り関係を確かめたりトリックルームを使うかの判断をする上で重宝しました。


メタグロス対策について
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メガサーナイト構築にとって必ず直面する課題が対メガメタグロスです。特に今回のパーティではスカーフでない霊獣ランドロスを採用していることから、アイアンヘッドと冷凍パンチでサナランドの両方が縛られる懸念があり、厳しい相手と言えます。

その対策としてヒートロトムを採用。思念の頭突きの無いメガメタグロスであればヒートロトムへの打点はほとんどなく、逆に炎技によって一撃で倒せます。サンダーやモロバレルといった定番のメガメタグロス取り巻きからもダメージを受けにくいことからグロス構築への強さはかなりのものです。

とはいえヒートロトムガオガエンとタイプが被っており、水・岩の弱点が共通します。特に水タイプはパーティで弱点3匹という状態になり、水Zが非常に苦しいです。当のメガメタグロス構築もカプ・レヒレオニシズクモなど水タイプがほぼパーティに入っています。そこでトリトドンを採用し、特性呼び水により水技を吸い取ってもらうようにしました。5世代から続くヒートドンの並びは堅固で、トドンを倒そうとする草タイプは炎Zで焼いてしまえます。

対岩に関しても、このルールで代表的な岩技使いであるウツロイドと霊獣ランドロストリトドンで4倍弱点を突くことが可能です。
カプ・テテフやドラゴンタイプに力押しされやすいというトドン+ロトムの欠点はサナガエン側が補ってくれるため組み合わせ同士のシナジーがありました。


■タイプの偏りについて
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電気二匹、地面二匹、炎二匹という偏ったパーティバランスではあるものの、ここまで厚く鋼タイプを対策したおかげでメガサーナイトが非常に動きやすいです。例えば炎枠がガオガエン1体だけなら「ガオガエンを倒されてしまうとテッカグヤナットレイで詰み」となりガオガエンを大切にして戦わなければならない窮屈な展開になりがちですが、もう1匹の炎タイプを用意しておくことで余裕を持って戦えます。

ヒートロトムトリトドンがそれぞれの特性「ふゆう」「よびみず」で弱点を減らしてくれているおかげで、タイプ被りの欠点も意外と少なめです。ただ、草タイプへの打点を炎技に頼っている手前、雨+カプ・ブルルの組み合わせが非常に苦手。こればかりは勝ち目が薄く、当たらないことを祈っていました。(・・Day1で2回当たりました^^;)

電気弱点のポケモンが存在せず、逆に電気に耐性を持つポケモンが4匹いることから、相手が避雷針持ち以外の電気タイプを選出してくることはかなり少なめ。全国ダブルにおいて多くのパーティはサンダー、カプ・コケコの「デンキZ」をZ枠としており、それらが選出されないことで相手のZワザモーションを見ることも体感少なくなります。その場合はこちらだけ一方的にZワザを使うことになり、ダメージレースで差をつけやすいです。


個別解説

f:id:barudoru:20140517124426p:plainメガサーナイト
ハイパーボイスサイコショックトリックルーム、まもる@サーナイトナイト/トレース→フェアリースキン
175-☓-94-203-155-144 (H252,B68,S188 ひかえめ)

メガシンカ前:175-☓-94-159-135-124
HD:メガゲンガー(C222)のヘドロばくだんを確定耐え
S:準速霊獣ランドロス(S143)+1

威嚇によって低い防御を補ってもらいつつ、ハイパーボイスを通して戦います。命中100で通りの良い全体技を撃てるのは他のポケモンにはない最大の利点であり、プレイングを楽にしてくれます。フェアリー技を半減する主なタイプといえば炎と鋼ですが、VGC2018の環境で最も使われている炎タイプはフェアリー等倍のガオガエンで、最も使われている鋼タイプは特防が紙であるカミツルギなので、ヒードランギルガルドがバリバリ使われていた6世代全国ダブルの頃よりハイボの通りが良くなったと感じます。
毒タイプはもちろんエスパー技で弱点を突くことができ、ウツロイドを意識してサイコキネシスではなくサイコショックを用います。

メガシンカ前の特性はトレース。相手依存かつ対象を選べないため狙って活かすのは難しい特性ですが、相手の威嚇をトレースしてガエンランドマンダに反射できると美味しく、その他ではポリゴン2のダウンロードなどを得られた時に直接のアドバンテージになります。ウツロイドフェローチェのビーストブーストをトレースできた場合、メガシンカせずにサイコショックでそれらを倒して能力を上げにいくプレイングもできますが、上を取られている以上、欲張らずにメガシンカして特防を上げておいた方が良いことも多いです。○○メイカー系や日照りをトレースしてしまうと相手に有利なフィールドや天候を展開して得をさせてしまう危険もあるため気を付けたいところ。その一方で雨パのペリッパーあめふらしをトレースし、「しめったいわ」の適用が無い雨を降らせられる・・といった状況もあるので限界雨などと勝負する時は頭の片隅に置いておくと良いです。(メガシンカ前の素早さが準速ペリッパーより速いため意外と決まりやすいようです)

先述のハイボ⇒地面Zの流れを決めるために素早さは味方の霊獣ランドロスより速くする必要があり、144まで振っています。ここまでの速さがあればキノコの胞子を狙うキノガッサドーブル、物理アタッカーであるキリキザンメガバンギラス、トレンドのポケモンである準速レヒレニドクイン、諸々のマイナーポケモンも抜いてしまえるため役に立つことは多いです。

また、クリアボディを活かすためにメガシンカを渋るメタグロスや、S振りの甘いカミツルギリザードンも抜いてしまえるため思いがけず機能することも。サナガエンミラーではサーナイトのSが勝負に直結するため優位に戦えます。相手のスカーフランドロスに対しては、ガエンの叩き落とすかトリトドンの凍える風で素早さを下げておけばこちらが抜けるようになります。メガシンカ前でも124の素早さがあるため、すいすいをトレースしてルンパッパを抜き、上から攻撃できることも稀にあります。

トリックルームについては基本的にマッチ二戦目以降、相手が高速ポケモンを多用している場合に使います。サナガエンに対して相手はモロバレルカビゴントリトドンガオガエンなどトリルカウンターのポケモンを選出してくるのが定石であるため、一戦目から積極的にトリルを仕掛けにいくことは少ないです。トリル返し、追い風・凍える風への対抗手段としても活用します。

このポケモンと後述の霊獣ランドロスは似たような努力値配分をしています。性格補正を特攻・攻撃にかけ、合計ステータスで得をするようにし、残りは耐久に回して縛られる状況を減らします。特にメガサーナイトはUBのような種族値をしているので、低い能力を努力値で補うのが効率的です。


f:id:barudoru:20140517125139p:plainランドロス霊獣
【じしん、いわなだれ、とんぼがえり、まもる@ジメンZ/いかく】
185-181-110-☓-112-143 (H164,D92,S252 いじっぱり)

HD:いのちのたまカプ・コケコ(C147)、サンダー(C194)のめざめるパワー氷を最高乱数以外耐え
S:準速

WCS2017で使用したワルビアルと同じく威嚇と地面Zを備え、メガサーナイトと非常に相性の良いポケモンです。地震をベースにしたライジングランドオーバーの威力は180。ハイパーボイスと合わせてほとんどのポケモンを倒せるうえ、相手がランドロスボーマンダへの交代で地面Zを避けようとしてもハイパーボイスのダメージが通るため安定行動になりやすいです。

サブ技は無難に汎用性の高い岩雪崩ととんぼ返りを持たせています。剣の舞が欲しくなることもありますが、対雨でとんぼ返りが欲しくなることが多く(トリトドンをちらつかせて水技を撃たせないようにしながらとんぼ返りでルンパッパにダメージを与える)、この技構成に決まりました。

準速にしてランドロスミラーに強くする一方で、不意のめざパ氷などに備えたり受け出しの機会を増やせるよう、特殊耐久にも多めに振りました。Day1ではメガゲンガーのシャドボちょうど2発で落とされる場面が多かったためあと少しだけ特殊耐久があればと感じましたが・・素早さも削れないため難しいです。性格を慎重や陽気にすることも検討して良かったかもしれません。


f:id:barudoru:20180321133458p:plainガオガエン
フレアドライブ、はたきおとす、ねこだまし、まもる@マゴのみ/いかく】
200-154-111-☓-129-91 (H236,A36,B4,D148,S84 いじっぱり)

HD:カプ・コケコ(C147)のEF+スパーキングギガボルトを確定耐え、ペリッパー(C161)の雨+ねっとうを最高乱数以外耐え、カプ・テテフ(C200)のムーンフォースを確定2発耐え、カプ・テテフ(C182)のきあいだまを確定耐え
S:無振り70族抜き、凍える風の2回入ったメガメタグロス(S178)抜き

猫だましと威嚇、炎+悪のタイプを持つサポーター。後述しますが、サーナイトと共に初手に並べることは少なく、1ターン目でサナランドを並べて初手ランドバックガエンで繰り出す立ち回りを多用します。

トリックルームを絡めたアタッカー、相手のトリルへの対抗、草タイプ対策、鋼タイプ対策とメガサナ構築においては数えきれないほどの役割を担えます。トドン+ロトムの苦手なカプ・テテフに対応する役も任せています。コケコのエレキメイカーでサイコフィールドを打ち消し、猫だまし+フレアドライブと連撃すれば耐久無振りのCSテテフを落とせるのは覚えておきたい要素です。

また、こちらがコケコガエンorランドガエンの並びならガエン引きをしながらボルチェンorとんぼ返り⇒ガエンへの交代をすることで「実質横にサイドチェンジ」することができ、これによってエスパーZを受けたり威嚇を再度使うようなプレイもできます。

霊獣ランドロスとの組み合わせで威嚇を繰り返す戦術は強力です。両者に一貫する水タイプの攻撃には(たとえ選出していなくても)トリトドンが睨みを効かせていることもあって威嚇回しは有効に働きやすいです。威嚇回しの天敵である負けん気キリキザンに対しては(守るを貫通する)炎Zヒートロトムが強く、勝ち気ミロカロスに対してはトリトドンでマークしています。

叩き落とすはBO1でも汎用性の高い技ですが、BO3形式ではさらに強力な技。相手の持ち物をチェックできるほか、前の試合で相手ポケモンがZクリスタル持ちと分かっていればその場合は叩き落とすを使わずフレアドライブで攻める、といった判断ができるようになります。悪技が叩き落とすだとエレキシードクレセリアが崩しにくそうですが、サナガエンの並びを作れば瞑想クレセは放置できるため、2:1で戦い続ければそのうちクレセリアだけが生き残ることになり、ガエンで詰めていけます。

守るは単純な汎用性と味方のランドロス地震に巻き込まれないよう採用しましたが、他の技ももっと検討すべきだったかもしれません。また、素早さに関しては凍える風の恩恵を受けることやガエンミラーを考えて気持ち早めにしていますが、こご風込みで最速ブルルを抜けるようSを94まで上げておけば一試合拾えたので後悔しています。


f:id:barudoru:20161220213754p:plainカプ・コケコ
10まんボルトボルトチェンジマジカルシャイン、めざめるパワー氷@とつげきチョッキ/エレキメイカー】
159-☓-106-140-107-180 (H108,B4,C196,D92,S108 おくびょう)

H:16n-1
HD:とつげきチョッキ込みでカプ・テテフ(C200)のムーンフォースを最高乱数二連で引かない限り耐え。メガゲンガー(C222)のヘドロばくだんを高乱数耐え(75%)
S:最速メタグロス(S178)+2

このパーティのカプ枠。副フェアリー枠としてサーナイトとともに対ジャラランガや対メガボーマンダを担うほか、エレキフィールドモロバレルらの眠り技を防ぎます。「メガサーナイトで雑に削り、高速ポケモンであるコケコでトドメを刺す」という流れは単純ながらも強力な勝ち筋です。こちらのランドガエンにとって苦手な相手のレヒレミロカロスの弱点を突けること、ランドがスカーフで無い分、リザードンを上から叩けるポケモンが欲しかったことなど多くの点で構築にマッチするカプ枠です。

突撃チョッキはコケコには珍しい持ち物ですが、これを持たせるとメガサーナイトに匹敵する特殊耐久を得られます。高い特殊耐久は以下のようなメリットをもたらします。
1,対スカーフf:id:barudoru:20170626234145p:plainf:id:barudoru:20140517125139p:plain
毒や地面の一貫しがちなこのパーティにとって、特殊スカーフランドやスカーフウツロイドに怯えず動けるのは大きいです。とりわけ特殊ランドはサナガエンコケコランドの基本選出にとって最大の天敵であったため、これをチョッキ+めざ氷コケコで迎え撃てるようにする意義は大きいと考えました。
2,縛っている相手の強気突っ張り対策f:id:barudoru:20140517123726p:plainf:id:barudoru:20140517124420p:plain
コケコを使っていると必ず直面する問題なのですが、縛っているはずのメガリザードンYミロカロスが強気にコケコに突っ張ってくる場合があります。
チョッキでDを固めておけばこうした拓負けをしても致命傷を負わずに済み、被害を最小限に抑えられます。
3,対コケコキザン、コケコグロスf:id:barudoru:20161220213754p:plainf:id:barudoru:20140517125036p:plain
コケコミラーになったとき、相手は電気Zと先制攻撃技の集中でコケコを倒そうとしてくることが多いです。チョッキを用いてこの集中を耐えて反撃できると大きくアドバンテージを稼げます。
4,フィールド奪取f:id:barudoru:20170303205327p:plainf:id:barudoru:20161220214552p:plain
チョッキによって上がった特防のおかげでテテフやレヒレへの後出しにリスクが少なく、万が一交代際にZワザが直撃しても耐えることができます。出した後はボルチェンでもう一度引っ込むという流れでフィールド合戦を優勢に進められます。

その他にも耐久が上がるメリットは数えきれず、ゲンジャラ、晴れパ、雨パなどとの勝負を楽にしてくれます。逆にデメリットとしては火力アイテムを持てないこと、守るを使えないことの二点が挙げられますが、前者の火力不足に関しては味方のメガサーナイトが全体技のハイパーボイスで相手を削ってくれるために火力アイテムなしのパワーでも事足りることが多く、後者の守るを持てないことについては、そもそもチョッキにより縛られる状況が少なくなったこととコケコの弱点の少なさによりさほど気になりません。ただ、味方のメガサナの張ったトリルを守るで凌げないところだけは悩みどころです。

素早さは最低限メガメタグロスを抜ける程度に振りました。よくあるS179のメガゲンガーを意識してそれプラス1の調整。


f:id:barudoru:20140517124717p:plainヒートロトム
10まんボルト、オーバーヒート、サイドチェンジ、まもる@ホノオZ/ふゆう】
143-☓-127-145-127-146 (H140,C156,S212 おくびょう)

H:16n-1
C:最堅モロバレル(H221-D145)を炎Zで乱数1発 (93.8%)
HD:カプ・テテフ(C200)のPFサイコキネシスを確定耐え
S:準速ランドロス(S143)+3、最速ウォーグル(S145)+1

コケコと並ぶ電気枠、ガエンと並ぶ炎枠であり、一見タイプ被りがキツそうですが浮遊で地面弱点を消せるおかげで意外と辛くありません。むしろ電気二匹・炎二匹の体制によって対ウォーグルテッカグヤハッサムナットレイキリキザンなどがとても楽になります。

持ち物はホノオZ。互いに弱点を突き合う水タイプへの対抗上、ヒートロトムはデンキZを持たせることが多いですが、このパーティではトリトドンの呼び水で水技をけん制できているうえ、耐久水タイプに強いポケモンを多数用意しているので不要かと思いました。ホノオZはオーバーヒートをベースにして威力195の大技。オバヒのように特攻が下がるデメリットがなく命中率も安定している点は評価できます。オーバーヒートでは一撃で倒せるか怪しかったメガメタグロスモロバレルギルガルドも炎Zなら確実に倒せます。耐久無振りの霊獣ランドロスなら一撃で倒すことが可能で、特にテテフグロスパーティは初手にランドグロスと並べてくることが多いので、ガエンロトムの猫炎Zでスカーフランドロスを撃墜する流れが強いです。

守るでZワザを防がれると本来は損になることが多いのですが、炎Zの場合はそうとも言えません。カミツルギはオーバーキルなので守るを使われても貫通して一撃で焼いてしまえます。自身より遅いカミツルギは絶好のカモです。サナガエンの苦手なキリキザントゲデマルに対しては、守られたとしても襷を剥がしながら大ダメージを与えることができます。

Z技はアンコールを無視できるため、トゲデマルライチュウのアンコールに対抗して使う手もあります。また、Zクリスタルは叩き落とすで落とされないため、ガオガエンからほとんど打点を受けずに立ち回れるメリットもあります。霊獣ランドロスと2Zで、この二匹を同時選出することもありますが、浮遊持ちであるロトムを選出しているなら霊獣ランドロス地震を撃ちやすいことになるため、問題に感じたことはあまりないです。

サイドチェンジはヒートロトムの豊富な耐性を活かすことのできる技。アメリカのICでサイチェンロトムが優勝したことから警戒されるかなとも思いましたが、勝ちを拾いにいける技なのでやはり持たせておいて損は無いと思います。

このポケモン種族値が低く、努力値配分は迷いどころ。互いに弱点を突き合う関係にあるカプ・レヒレは確実に抜いておきたい、雪崩を上から撃たれたくないので霊獣ランドロスも抜きたい、と考えていくうちにどんどんスピードアップしていき、性格臆病でSを146(最速ウォーグル抜き)まで引き上げることにしました。S138(準速カプ・レヒレ抜き)~144(準速霊獣ランドロス抜き)まではこのルールの激戦区の素早さラインと感じているので、この一帯を抜ける素早さはとても重宝します。メガサーナイトと同様、叩き落とすや凍える風で相手の準速スカーフランドロスの素早さを1段階落としておけば上から攻撃できるようになるのもポイントです。


f:id:barudoru:20140517124601p:plainトリトドン
【だいちのちから、こごえるかぜ、クリアスモッグ、まもる@ウイのみ/よびみず】
216-☓-110-134-103-62 (H236,B172,C76,D4,S20 ひかえめ)

C:ウツロイド(H185-D151)をだいちのちからで高乱数1発 (87.5%)
HB:霊獣ランドロス(A197)のライジングランドオーバーを確定耐え
S:最遅ゴチルゼル-1

水弱点を3匹有するこのパーティにとってはありがたい呼び水要員です。ヒートロトムと組めばカプ・レヒレオニシズクモに対して一方的に強い布陣ができ、こちらの威嚇勢にとって脅威となるかちきミロカロスの対処にも向いています。対雨パーティでは、普通に扱うとルンパッパから縛られてしまいますが、後発に置いて「トリトドンへの交代で水技を吸い取る動き」をちらつかせつつ戦うようにすれば有利な拓を押しつけていけます。

地面タイプであることも重要で、ウツロイドアーゴヨンに対して一方的に強いことはそれらに弱いサナガエンにとってありがたい要素。デンキZに対する引き先にもなります。メガメタグロスに対しても強く、ロトムトドンの布陣を並べれば思念の頭突きを切ったメタグロスからほとんど打点を受けません。

特殊地面技である大地の力は確定として、もう1つの攻撃技(浮いているポケモンに対する攻撃手段)を何にするかで悩みました。
熱湯、濁流、冷凍ビーム、凍える風の4つの候補がありましたが、味方のメガサナ、ランド、ヒートムがちょうどS操作の恩恵を受けやすい素早さの位置にあることもあって凍える風をチョイスしました。メガバンギラスメガボーマンダの竜の舞によるSアップを打ち消すのにも最適です。相手の交代先にも一貫しやすいため使いやすく、例えば相手がカミツルギに交代した際に凍える風が入れば、味方の霊獣ランドロスヒートロトムでそのまま縛れるようになることがあります。耐久無振りの陽気ASカミツルギなら凍える風の後にメガサナで縛ることも可能。

クリアスモッグは対瞑想クレセリアや瞑想レヒレ用。サーナイトトリックルームを絡めるとより安全に能力アップを打ち消せます。他にもミロカロスの勝ち気で上がった特攻を消すのにも使えます。ただ、Day1ではカプ・ブルルに苦しめられることが多かったため、ヘドロばくだんを持たせるべきだったかもしれません。

素早さについて、このパーティでは積極的にトリルを狙わないため最遅にはせず、自身もこご風の恩恵を受けられることに期待してそこそこ伸ばしています。こご風の入ったガオガエンならだいたい抜くことができます。


主な選出

■基本選出
先発:サーナイトランドロス
後発:ガオガエン、カプ・コケコorトリトドンorヒートロトム
サーナイトの相方といえば一般的にはガオガエンですが、私はサナランドを先発に出し、ガオガエンを後発に用意することが多いです。ガオガエンやガルーラの多用される現環境ではサナガエンと並べても1ターン目は猫だまし交換に終わることが多く、それよりは1ターン目でサーナイトを守らせながらランドロスをガエンに交代し、2ターン目から猫ハイボor猫トリルの動きをした方が良い展開を作りやすいと考えます。また、サナガエンの先発は相手にレヒレを出されると出し負けてしまうことが多いですが、サナランドならハイボ+地面Zにより先発レヒレを突破しにいくことができます。先発の出し負けをすることが少なく、安定しやすい布陣です。


■勝ち気、負けん気、天邪鬼対策
先発:カプ・コケコ、ヒートロトムorサーナイト
後発:ガオガエンランドロス霊獣orサーナイト
相手のパーティに勝ち気負けん気持ちがいる場合、ランドもガエンも初手には出しにくいです。そうした相手は先発に出てくることが多いのでコケコでまず迎え撃ちにいき、相手が威嚇メタ特性のポケモンを出していなければボルトチェンジで引っ込んで威嚇する動きが手堅いです。

電気2匹、威嚇2匹のこのパーティにとって、トゲデマル+ウォーグルなど避雷針+負けん気勝ち気の組み合わせは非常に重く見えますが、デマルorライチュウウォーグルに関してはコケコロトムで選出すればあちらからの打点もないため、シャイン・オバヒ(炎Z)で撃ち合いに勝てます。ミロカロス+避雷針はトリトドンメガサーナイトで対応。バシャキザン、コケコキザンに対してもコケコロトムなら対処しやすく、キザンの守るを貫通するロトムの炎Zと相手の意表を突くコケコの耐久を活かして試合を有利に進められます。


■対メガメタグロス
先発:ヒートロトムサーナイトorガオガエン
後発:相手に応じて
グロスのコツは「グロスがいない間にサーナイトを動かす」ことだと思っています。ヒートロトムトリトドンガオガエンらで圧をかけたり、威嚇を撒いたりしてメタグロスを引かせ、その間にサーナイトグロスの取り巻きを削っておくように立ち回ります。グロス構築には基本的に他の鋼タイプが入っていないし、炎枠もガオガエンであることが多いためハイパーボイスの通りが良いです。グロスの取り巻きであるテテフ、レヒレ、ガエンあたりからトリトドンロトムを削られすぎないようにしたいところです。


反省点

負けん気、勝ち気、天の邪鬼について定番のものは対策したつもりでしたが、「メガゲンガー+負けん気エンペルト」や「メガライボルト+負けん気ウォーグル+毒毒クレセリア」というイレギュラーなものにうまく対応できず、世界大会のDay1では苦しめられました。後ほど対戦レポートの記事を作成するつもりなのでそちらで詳しく書きたいと思います。


対戦動画

www.youtube.com