6/28、29に行われたオンライン全国大会、PJNOで使用したパーティです。
Day1を6勝1敗で通過、Day2ではトーナメント初戦で負け、ベスト32という結果でした。
概要と構築経緯
イエブリの課題とエースバーン
このパーティはDLCの新技「ワイドフォース」を活用できるイエッサンブリムオンを軸に組みました。
ワイドフォースは久々に登場した強力な全体技。サイコフィールド中の威力は120と、5世代以前の吹雪に匹敵します。
ただ、パワーは強化されたといってもイエッサンブリムオンの弱点が改善されたわけではなく、以下のようにいくつも課題があります。
- 1,バークアウトや光の壁、守るによるトリックルームターン枯らし
- 2,エスパー技が通らないあくタイプ
- 3,この指止まれで防げず怯んだらトリル阻止されてしまう岩雪崩
- 4,撃ち合ったら力負け必至なアシレーヌやニンフィアの全体技ハイパーボイス
- 5,サイコフィールドを上書きするゴリランダーのグラスメイカー
- 6,トリックルームを封じる封印やトリル返し
特に一番上のトリルターン枯らしのプレイングについては、全国大会レベルのプレイヤーなら当然のようにやってくるだろうと予想。交代や守るで4ターンを稼がれ、後発ダイマックスに捲られて一掃されるのが目に見えています。
そこで考えたのは序盤から積極的に攻撃を仕掛け、相手のポケモンを3匹に減らすなり、総合体力を削るなりした後にトリルを決めていく戦い方です。相手のポケモンが消耗した状態でトリルすることに成功すれば、相手はサイクルや守るでトリルターンを逃げ切るのが困難になるはず。
このコンセプトに沿って序盤の相手を削る役割に相応しいと考えたのがエースバーン。きあいのタスキ持ちでダイマックスしない型です。
攻撃範囲の広さ、技威力の高さ、リベロのタイプ変更による防御のしぶとさから序盤のダメージ稼ぎは得意、それに加えて上記のイエブリの弱点のうち、2の悪タイプや3の岩雪崩持ちをとびひざげりで、4の全体攻撃フェアリー軍団をダストシュートで、5のゴリランダーを火炎ボールで、6のトリルや封印持ちを挑発で、それぞれ弱点を突いて縛るなり行動を封じるなりでき、非常に相性が良いと考えました。
相方にサマヨールを付け、サイドチェンジとナイトヘッドでエースバーンの補助をします。
このポケモンは高耐久であるため初手からトリックルームを強いられるようなことは少なく、頃合いを見てトリルできるのでコンセプトと合っています。
試合中盤のトリルは凌ぐのが非常に難しく、何とかターンを稼ごうとトリル中にダイマックスを切ってくる相手が多いですが、そうやって半ば強制的にダイマックスを切らせたところにキョダイテンバツの混乱状態を与えると効果的です。ダイマックスターンを混乱自傷で空費させると試合を決定づけるレベルのアドバンテージを得られます。
バンバドロとフシギバナについて
イエッサンブリムオン構築といえば、イエッサンブリムオンサマヨールコータスドサイドン@1の形がシーズン1の頃から使われていて、海外でもとても有名です。教え技解禁から大会本番まで時間が無かった(10日ぐらい)こともあって、当初はこの並びをベースに構築することを考えていました。
ただ、コータスとドサイドンはパワーこそ高いものの上から弱点を突かれるのが非常に辛く、トリックルームへの依存がかなり強いと感じます。このパーティが目指すのはスイッチトリパのように隙を見てトリックルームを展開する戦い方なので、トリルを大前提にするこの2匹は合わないと判断。またワイドフォースの登場でイエブリ自体が強力な全体攻撃技要員になったこともあって取り巻きにはパワーより安定感を求めるようになりました。
そのためコータスとドサイドンはパーティに入れず、4倍弱点がなく非トリル下でも動きやすいバンバドロとフシギバナを採用。
バンバドロも水草弱点はありますが、4倍ではないのでチョッキとダイマックスで十分に耐えられ、ドサイドンの役割であったバンドリの対策やトリル下の物理アタッカーといった要素を引き継げます。特性持久力によって相手を詰ませることもできるので、まず水タイプを倒してからバンバドロで詰めといったようにゲームプランを作りやすいです。
そしてフシギバナはパーティ全体で打点の少ない水タイプ・地面タイプへの打点を担当する相性補完役として採用。ゴリランダーアシレーヌガオガエンのいわゆる御三家サイクルに強く、環境に刺さるポケモンです。コータスとセットでないので葉緑素がもったいなく見えますが、ブリムオンやエースバーンのダイバーンから晴れ起動したり、相手の晴れにタダ乗りもできるので案外役に立ちます。
個別解説
能力値
HP-こうげき-ぼうぎょ-とくこう-とくぼう-すばやさの順
努力値
H→HP / A→こうげき / B→ぼうぎょ / C→とくこう / D→とくぼう / S→すばやさ
ブリムオン
【ワイドフォース、マジカルシャイン、マジカルフレイム、トリックルーム@いのちのたま/マジックミラー】
164-×-116-206-123-30 (H252,B4,C252 れいせい) ※最遅 キョダイマックス個体
メインアタッカー。ほぼ恩恵がないダイフェアリーよりキョダイテンバツの方が強いのでキョダイマックス個体。相手のダイマックスポケモンを混乱させると効果的なので合わせダイマを狙いたいです。
タイプ一致ダイマックス技のベースとする技はそれぞれ「ワイドフォース」と「マジカルシャイン」。両方とも全体技なので、トリル中に削れた相手をスイープするだけならダイマックスせずに全体攻撃していく選択肢もあります。
基本的にはダイサイコでフィールドを貼るよりキョダイテンバツで混乱を狙う方が優先。もちろんサイコフィールド展開時は威力重視でダイサイコを選ぶこともありますが、悪タイプに交代されて無効にされるとダイマターン、トリルターン両方を損してしまうので、キョダイテンバツを軸に攻めた方が裏目がないです。
「マジカルフレイム」はコータスのいないこのパーティにとって貴重な炎技で、鋼タイプを倒す手段として重宝。ダイバーンで天候を変えて水技のダメージを減らしたりフシギバナのようりょくそを発動させたり、テクニカルに立ち回れます。
自身も「トリックルーム」の使い手ですが、このパーティではほぼサマヨールにトリルしてもらうことが多く、ブリムオンがトリルする状況は少ないです。というのもトリックルームを使うターンはダイマックスもできず無防備になり大ダメージを受けるため、その後ダイマックスアタッカーとして活用するのが難しくなるからです。ブリムオンでトリルするなら相手をエースバーンで縛るか、イエッサン♀のこの指とまれで守ってやる必要があります。ダイウォールのベースにもなり、ブリムオンが守りながら隣のサマヨールでトリルすることもあります。
トリル中に攻めきることを意識して持ち物は「いのちのたま」、性格「れいせい」で特攻に全振りの最大火力です。
特性は「マジックミラー」で挑発やねむりごなが効きません。ただしガオガエンの捨て台詞を受けるとこちらが退場しなければならなくなるので要注意。サマヨールのサイドチェンジで回避したり、トリル下で優先して倒すなど対応が必要です。
イエッサン♀
【ワイドフォース、このゆびとまれ、てだすけ、まもる@ナモのみ/サイコメイカー】
175-×-128-118-125-81 (H236,B252,C20 のんき) ※最遅
H: 16n-1
ブリムオンとタイプは被っているものの弱点は被っていないベストパートナー。「サイコメイカー」でフィールドを展開しワイドフォースの強化など恩恵を与えます。ゴースト技を無効にできるのが便利なのでドラパルトに対抗するために選出するのが主になります。また、ゴリランダーのグラスフィールドを塗り替えられるのもありがたい。ドラパルトもゴリランダーも入っていない相手にはあまり出しません。
ドラパゴリラを意識して配分は物理耐久に寄せていて「このゆびとまれ」「てだすけ」によるサポートを中心に動きます。攻撃技として「ワイドフォース」を持たせていて、サポーターとは思えないほどの火力を発揮してくれます。味方と足並みを揃えて動くために「まもる」持ちです。
最遅にしているとはいえ、無振り60族の下は取れないのでアシレーヌなどには注意が必要です。最遅以外のゴリランダーよりは遅いので、フィールド合戦に勝ちやすく初手にも出しやすいです。
持ち物はエースバーンのダイアークなどでワンパンされることを防ぐための「ナモのみ」。この指とまれによる盾役としての役割を果たすため性格「のんき」で防御面を厚くしました。
エースバーン
【かえんボール、とびひざげり、ダストシュート、ちょうはつ@きあいのタスキ/リベロ】
156-168-95-×-95-188 (H4,A252,S252 ようき)
序盤に相手を削る切り込み隊長。「きあいのタスキ」と「リベロ」によるタイプ変更は防御面でも攻撃面でも強く、タイプ一致技を連打してダメージを与えていきます。
主となる技は「ダストシュート」と「とびひざげり」の2つ。威力が高く大半のメジャーポケモンの弱点を抑えられ、特に先発で見ることの多いアシレーヌを倒すためにアイへではなくダスシュを採用しています。毒タイプと格闘タイプの技はダイマックス時に威力が下がるので、そういう意味でも非ダイマックス型向き。
ただ、ダスシュは命中率80%、飛び膝は外しや守られたときの反動があるので安定はしておらず、弱点を突けない相手などには「かえんボール」を軸に戦います。炎技はアーマーガアをはじめとした鋼タイプへの打点としても必要です。
「ちょうはつ」は相手の挑発・封印を妨害してこちらのサマヨールのトリルを通す動きができ、相手のサマヨールを腐らせるのにも便利です。リベロであくタイプに変わるので、イエッサンからワイドフォースを撃たれても無効にできるというおまけがあります。
他に欲しい技としてにどげりがありました。サマヨールのお見通しでタスキが見えたバンギラスやキリキザンを狩れるのではないかと。技スペースの都合で結局持たせませんでしたが、PJNOではタスキバンギがかなり多かったので欲しい場面はやはりありました。またスイッチトリルの動きを念頭におくと、円滑に交代できるとんぼ返りやトリル下でも先制攻撃できる不意打ちも欲しいのですが、これらも技スペース問題で却下しています。
耐久はタスキに任せてAS全振り。性格「ようき」で最速ですがミラーの同速が面倒なので、トリルやリベロ後に弱点を突く(例えばダイアークを撃った相手のエースバーンに飛び膝を撃つ)ことを意識して多少素早さを下げてもいいかもしれません。
サマヨール
【ナイトヘッド、トリックルーム、サイドチェンジ、いたみわけ@しんかのきせき/おみとおし】
147-×-187-×-163-27 (H252,B156,D100 のんき) ※最遅
HB:ドラパルト(A187)の命の珠+ダイホロウ(威力130)を最高乱数以外耐え
エースバーンのお供としてよく初手から出していきます。「しんかのきせき」のおかげで非常に硬く、トリル要員として最も信頼のおけるポケモン。シリーズ5からはポリゴン2が取って代わるかもしれませんが、「おみとおし」で持ち物チェックして弱点保険や気合のタスキの有無を確かめるのは剣盾環境において強い動きであり、躊躇わずにガンガン攻めたいエースバーンと噛み合います。
攻撃手段の「ナイトヘッド」、コンセプトの「トリックルーム」は確定技として、残り2つの技は「サイドチェンジ」「いたみわけ」を持たせることにしました。どちらも自身の場持ちを良くすることにもつながる技で、特にサイドチェンジはエースバーンのリベロタイプチェンジと合わせて相手の攻撃をぶれさせることができ嫌らしい動きをします。相手アタッカーはトリル下のブリムオンで倒してもらう方針のため、攻撃力を下げる鬼火や能力アップを打ち消す黒い霧は持たせませんでした。味方の火力補助になる手助けについては検討しても良さそうです。
このパーティでは対ドラパルトにかなり不安を抱えており、ダイホロウを耐えてトリルを貼れるかは非常に重要なので性格は「のんき」で努力値配分は物理耐久にかなり寄せたものにしました。
挑発を使いうる相手には注意が必要。タスキバンギのように挑発見え見えな相手に対してはサイチェンやナイヘを使ったり、こちらのエースバーンの挑発で挑発封じしておく立ち回りが有効です。
バンバドロ
【10まんばりき、ヘビーボンバー、ボディプレス、いわなだれ@とつげきチョッキ/じきゅうりょく】
207-194-120-×-106-36 (H252,A252,D4 ゆうかん) ※最遅
ガオガエン、バンギラス、ドリュウズらの対策に必要な地面タイプです。ドサイドンと比べて4倍弱点がなく、ダイマックスしなくても扱いやすいのでブリムオンと柔軟にダイマックスを使い分けることができます。場持ちを良くするため「とつげきチョッキ」持ちです。
味方に浮いているポケモンがいないので地面技は地震ではなく「10まんばりき」。威力130ダイアースのベースとなり、味方のサマヨール共々特殊耐久を上げられるとかなり打たれ強くなります。
「ヘビーボンバー」は体重がだいたい180kg以下の相手に対して最大威力の120を出すことができ、ダイマックスしていないトゲキッスやニンフィアへの攻撃手段になります。威力130ダイスチルのベースにもなり、ダイマックス終了後にボディプレスの火力を上げることを見据えてダイアースより優先して使うこともあります。
「ボディプレス」はダイスチルと特性の「じきゅうりょく」で上げた防御を活かしてバンギラスやドリュウズに大ダメージを狙えます。持久力バンバドロを無視して隣を殴る相手も多いですが、そこでサマヨールのサイドチェンジを使うとうまいこと積ませてもらえます。
「いわなだれ」はギャラドスやリザードンへの打点。特にこのパーティのリザードン対処はバンバドロのダイロック任せになります。
持久力+ボディプレスを活かすなら物理耐久を底上げしてもいいのですが、それ以外の技でトリル中に攻めてもらうことも大事なので性格「ゆうかん」で攻撃に全振りとしています。ドサイドンより遅いもののブリムオンやコータスよりは早いのでそれらが相手ならトリルせずに攻めたいところ。
フシギバナ
【ヘドロばくだん、リーフストーム、だいちのちから、まもる@たつじんのおび/ようりょくそ】
187-×-103-167-120-101 (H252,C252,S4 ひかえめ)
弱点を突ける範囲が広く、水草炎の御三家でサイクルしてくる相手に刺さりやすいポケモンです。特にエースバーンで弱点を突けない水タイプに対して攻撃面でも防御面でも有効な働きをします。
タイプ一致技として「ヘドロばくだん」「リーフストーム」を持たせ、炎・毒・鋼タイプには「だいちのちから」で役割破壊を狙います。この大地の力の存在がラフレシアら他の草タイプと比べて大きく、ガオガエンやジュラルドンで止まらないのが優秀。「まもる」は味方がトリルやダイバーンを使ってくれるのを待ったり、あるいは逆にトリルターン切れを待つのに使えます。
ダイマックス権はブリムオンやバンバドロに譲ることがほとんどですが、このポケモンが刺さっている相手ならダイマックスを切っていくこともあります。各技のダイマックス適性も高く、シリーズ5ではスリップダメージ効果のあるキョダイベンタツを入手するためさらに強くなるでしょう。(この記事のレンタルチームに入っているフシギバナはキョダイマックス個体です)
このパーティにはコータスやキュウコンが入っていませんが、ダイバーンと組み合わせて特性「ようりょくそ」を自発的に発動させられることもあります。
持ち物は広い攻撃範囲を活かせる「たつじんのおび」。命の珠がブリムオンに取られているからというのもありますが、反動がないので高い耐久とも噛み合います。
性格は「ひかえめ」。トリル下で動くことを意識して素早さは4振りにとどめています。葉緑素を活用できることもあるので最遅にしませんでした。HPに全振りできたおかげでなかなか硬く、攻防両面で頼りになるポケモンです。
主な選出
基本選出
先発:エースバーン+サマヨール
後発:ブリムオン+イエッサン♀orフシギバナorバンバドロ
8割ぐらいこの選出です。エースバーンの攻撃範囲が広く、様々な相手を縛ったり挑発で止めにいくことができ、さらにタスキ持ち+高耐久サマヨールという布陣は縛られにくく動かしやすいことから序盤戦を有利に進められます。ナイトヘッドを選び削りを入れてからトリルしていく動かし方が強いですが、サマヨールを動かす余裕があまりなさそうなら初手からトリルを仕掛けにいくのも良いです。相手のポケモンを削ってからトリルすると相手はトリルターンを逃げ切るのが困難になるでしょう。
後発は相手がドラパルト入りならイエッサン♀を用意し、ダイホロウをこの指で吸ってあげたいところ。ほか、御三家サイクル系ならフシギバナ、バンドリ系ならバンバドロと相手に刺さるものを選んでいきます。
対戦動画
このパーティを使って参加したPJNOの対戦動画をyoutubeのチャンネルに上げています。
記事の内容に沿った解説をしているのでぜひご覧ください!
www.youtube.com