第37回がにゅーオフで使用したパーティ。
予選6-1、決勝トーナメント3-1で準優勝でした。
また、WCSレートでも最高で2位となっています。
概要
■ゼルネアス+イベルタルについて
メガシンカ・ゲンシカイキ・Zワザが禁止されている環境においてトップクラスのパワーを誇るゼルネアスと、それらの道具禁止により「はたきおとす」強化の恩恵を受けているイベルタルの組み合わせ。
まずはタイプ相性面。ゼルネアスの天敵であるソルガレオ、日食ネクロズマ、メタグロス、ドータクン、ギルガルドの弱点をイベルタルで突くことができます。攻撃範囲の相性も良く、悪タイプの技とフェアリータイプの技を両方半減できるポケモンはクレッフィとクチートだけです。ジオコンや追い風を使った後の二匹の並びの制圧力は抜群と言えます。
2つめは、「イベルタルで相手を縛りながらゼルネアスでジオコンを積む」という状況を作りやすいこと。イベルタルは単体に対する破壊力に優れ、禁伝の中では高めな素早さと、特性と道具で強化された「はたきおとす」「ふいうち」により試合の中盤に相手一匹を縛る状況を作りやすいです。特に不意打ちは禁伝が使える先制攻撃技の中でも最大の火力。交代や守るで不意打ちが無効になっても、その隙にジオコントロールが積めるなら問題ありません。
■相手のゼルネアスをどう対策するか
イベルタルが相手のゼルネアスに弱く、こちらのゼルネアスも最速ではないためミラーで打ち負けやすいことを考えると、ゼルネアス対策は厚くしたいところ。このルールのゼルネアスは大抵ガオガエンと組んでおり、ナットレイやドータクンによる対処は怪しいと感じていたため、鋼タイプでありながらガエンに対しても強いツンデツンデをゼルネアス対策要員として採用しました。ツンデツンデはトリックルームも使用でき、相手ゼルネアスに守るを使われたとしても追い詰めることが容易です。防塵ゴーグルを持たせることでモロバレル、ドーブルからも行動を邪魔されません。
ただ、ゼルネアスのパートナーがグラードンである場合、断崖の剣で4倍弱点を突かれて縛られてしまうため分が悪いです。ジャイロボールもグラードンに対しては効き目薄。味方のイベルタル・ゼルネアスがグラードンを一撃で倒せるわけでもなく、グラゼルネに対する切り札になれるポケモンがいないかと探して辿りついたのがウインディでした。
このルールの炎タイプといえばガオガエンが真っ先に挙がると思いますが、悪タイプの仕事はイベルタルに任せればいい上、グラゼルネへの対応能力はウインディの方が優秀です。素早さに秀でているためグラードンの上を取って炎技を撃つことが可能。相手の「ひでり」で強化してもらえること、サンシリーズのグラードンはゲンシカイキできず炎に耐性が無いこともあって大ダメージを期待できます。さらにフェアリー技を半減できるためゼルネアスに対しても余裕をもって動くことができ、バークアウトで特攻を下げられます。相手ゼルネアスの特攻を下げておくと、ゼルネミラーで打ち勝つのもツンデでトリルを決めるのもやりやすくなります。そして最速ドーブルより速く動けることからゼルドーの並びに対しても確実にバークアウトを決めることができ、これが二匹にヒットした場合は「ドーブルのタスキを割りつつゼルネアスの特攻を下げる」という理想的な展開。フレアドライブとインファイトでそれぞれモロバレル、ガオガエンの弱点も突くことができ、グラゼルネの構築全体に刺さりやすいポケモンです。
ツンデツンデとウインディは水技でオーバーキルされてしまうため、残り2匹はカイオーガ構築に強いカプ・コケコとモロバレルを用意して完成。
個別解説
ゼルネアス
【ムーンフォース、マジカルシャイン、ジオコントロール、まもる@パワフルハーブ/フェアリーオーラ】
221-☓-115-198-118-135 (H156,C228,S124 ひかえめ)
C:11n、カプ・コケコ(H146-D95)をフェアリーオーラ込みのムーンフォースで確定1発、カイオーガ(H175-D161)をC2段階up+フェアリーオーラ込みのムーンフォースで確定1発、
S:最速ルンパッパ(S134)抜き、S1段階アップで最速カプ・コケコ(S200)抜き
このパーティの大黒柱。ジオコントロールからの制圧力が圧倒的なのはもちろん、積んでいない状態でも禁伝上位クラスのパワーを備えています。相手にジオコンを警戒させ、吠える読みでジオコンせずに攻撃したり、集中攻撃読みで守ったりしているだけでもアドバンテージが取りやすいです。イベルタル、ウインディとパーティに中速ポケモンが多いため、それらとともに、ジオコンを嫌って守らずに動いてきたグラードンやガオガエンを集中攻撃して倒しにいったりもしていました。
ジオコントロールを積んで全抜きを狙う場合は、威嚇、バークアウト、エレキネット、怒りの粉といったパーティの諸々のサポートを活用することになります。カプ・コケコのフリーフォールとも相性が良く、相手の高速ポケモンを持ち上げその間にジオコンを積む ⇒ 次のターンコケコが相手ポケモンを降ろし、ジオコンしてSが逆転した直後のゼルネアスが守れない相手を一方的に倒す、という流れで相手に何もさせず撃破できます。
攻撃技はフェアリーオーラの恩恵を受けるフェアリー技のみで、持ち物はジオコンとコンボで使うパワフルハーブとしているテンプレ通りの構成。努力値配分と性格についてはスカーフコケコよりジオコン後に遅く動きたいことや味方のイベルタルとの同速を嫌って最速にはしていません。素早さを135にしておくと、ジオコン後に確実にすいすいルンパッパを抜ける安心感があり、さらにエレキネットの入った相手カプ・コケコを抜くことができたり、ジオコン+相手コケコからのエレキネットを受けてSが1段階アップ状態となった時に相手コケコを抜けるメリットがあります。
イベルタル
【はたきおとす、ふいうち、おいかぜ、まもる@くろいメガネ/ダークオーラ】
201-175-115-☓-127-166 (A188,D68,S252 ようき)
HD:カプ・テテフ(C200)のムーンフォースを確定耐え、カイオーガ(C222)の雨+しおふき(ダブルダメージ)を確定耐え、カプ・コケコ(C147)の10まんボルトを高乱数耐え(81.2%)
ゼルネアスと対をなす禁伝枠。先述の通りゼルネアスとは攻撃範囲の相性が良く、相手を縛ることによるジオコン補佐、ジオコン後にゼルネアスと力を合わせて相手を仕留めていくアタッカー役と幅広くこなせます。パーティに地面弱点が3匹いるため、大地の力・断崖の剣に対し受け出しする浮遊枠としても便利。ただ、味方のゼルネアスのフェアリーオーラが相手のフェアリー技を強化してしまったり、同じくカプ・コケコのエレキメイカーで相手の電気技を強化してしまう場面もあるため、少々運用には気を遣います。
こちらも攻撃技はダークオーラの恩恵を受ける悪タイプの技のみ。ダークオーラ×黒いメガネの補正で1.6倍もの強化になり、叩き落とすと不意打ちで広範囲を縛ることができます。叩き落とすはZクリスタルやメガを持てないサンルールで追加効果を狙いやすく、威力も侮れない技。ふいうちはスカーフカイオーガの潮吹きの威力を削いだり、S操作に対抗したりと幅広い場面で有用な技です。最後の技には追い風を持たせており、主に相手の追い風に対抗して使います。叩き落とすでチョッキや火力アイテムを削いでおいたり、不意打ちでスカーフ潮吹きオーガの出鼻を挫いたり、相手の追い風にこちらの追い風で対抗したりと、総じて「序盤戦」に向いており、終盤戦向けのゼルネアスとは使い分けやすいと感じます。
素早さはソルガレオ・ルナアーラを抜くためにやはり最速がベスト。相手ゼルネアスのジオコン前に叩き落とすでパワフルハーブ破壊を狙えたり、特性の発動順で確実にカイオーガらのスカーフの有無が分かるために不意打ちを使うかどうかの判断材料になったり、最速にすることが多方面で役立ちます。
ツンデツンデ
【ジャイロボール、いわなだれ、トリックルーム、まもる@ぼうじんゴーグル/ビーストブースト】
167-201-231-☓-123-18 (H244,A252,D12 ゆうかん最遅)
トリックルーム要員とトリル下アタッカーの両方をこなせ、一匹で役割を完結させている偉いポケモンです。鋼タイプでありながらガオガエンに対して強く、防塵ゴーグルによりキノコの胞子対策もできるため、トリル対策をモロバレルとガオガエンに頼っている相手を一匹で壊滅させてしまえることもあります。
ゼルネアスを最大の仮想敵としていますが、交代際にジオコン後のマジシャムンフォを受けてしまうとジリ貧なので、受け出しは慎重に。ガエンゼルネなどの並びを起点にしたいところですが、こちらにダメージ蓄積があると集中攻撃で倒されてトリックルームを使わせてもらえないこともあります。この点、ウインディのバークアウトと威嚇で先にガエンゼルネの火力を削いでおくと安心です。
一般的にツンデツンデはビーストブーストで攻撃を上げられる性格さみしがり(B個体値も下げる)が良いとされていますが、このルールではガオガエンのフレドラでゴリ押しを狙われることが多く、Bを削らない方が強いと感じたので勇敢にしています。なお、さみしがりでB個体値を下げたものだとA最大ガオガエンの馬鹿力・けたぐりで確定1発になるのに対し、勇敢でB個体値31、HPに252振りのツンデツンデなら高確率で1発耐えられます。ガエンの格闘技に怯えなくて良いという点でも勇敢推しです。ビーストブーストでBが上がった状態だとグラードンの断崖の剣ダブルダメージも確定耐えするほどタフです。
ウインディ
【フレアドライブ、インファイト、バークアウト、まもる@フィラのみ/いかく】
172-176-100-108-100-143 (H52,A236,S220 いじっぱり)
H:ピンチベリーと相性の良い4n
A:11n
S:準速90族抜き
先述の通りグラゼルネ対策を主としていますが、単純に威嚇持ち+炎技により鋼を倒せるポケモンとしても便利なため、ゼルネアスのお供として多く選出します。ガオガエンと比べて悪タイプがありませんが、対ルナアーラ・ネクロズマなどの悪タイプとしての役割はイベルタルに任せればよく、「ダークオーラでガオガエンの叩き落とすが強化される」という点も大したメリットを感じませんでした。むしろ悪タイプが無いおかげで余裕をもってフェアリー技に耐えられ、突然の気合玉や馬鹿力で計算を狂わされる心配もありません。猫だましが無いのは不便ですが、代わりに素早さが高く、イベルタルorゼルネアスと並べて相手を縛る動きに向いています。
技威力と汎用性を重視してフレアドライブを使える物理型にし、持ち物はその反動を補えるピンチベリー。サブウェポンにはインファイトを持たせ、ガオガエンへの打点としました。時々ツンデツンデやヒードランへの打点としても重宝します。バークアウトはゼルドー対策の技で、ダークオーラの恩恵を受けても威力に期待できませんが、ドーブルらのタスキを落とすことができます。神速、ワイルドボルトなどは欲しいと思う場面があまりなく、無難に守るを持たせています。
性格は意地っ張りで、素早さは準速グラードン抜き。陽気グラードンを使われると困るのですが、サンシリーズではグラードンが最速で使われることはほぼ無い(ゲンシカイキが存在しないため同速勝負をする意味が薄い)と考えているため、143で十分かと思いました。
カプ・コケコ
【10まんボルト、ボルトチェンジ、エレキネット、フリーフォール@こだわりスカーフ/エレキメイカー】
145-121-105-147-96-200 (C252,D4,S252 おくびょう)
スカーフオーガにも上から殴れるスカーフ型のコケコ。特性の発動順でスカーフ持ちがバレるため奇襲にはならないですが、カイオーガを一旦引かせることができれば十分。引かせた後に追い風やジオコントロールを味方が使っておけばスカーフオーガは脅威ではなくなります。その他、スカーフ込みで300に達する素早さによって葉緑素やすいすい持ちの上を取ることもでき、それらの相手に封殺されず確実に行動できます。
技は汎用性の高い10万ボルトとボルトチェンジに加え、サポート技としてエレキネット、フリーフォールを持たせました。エレキネットにより相手の素早さをダウンさせておけば、イベルタルによって縛ったりゼルネアスで上を取ってジオコンを積むことに繋げられます。フリーフォールはゼルネアスのジオコンの隙を作るのに便利で、スカーフコケコ>ジオコンゼルネアスのS関係であることからフリフォで降りてきた相手をゼルネアスの攻撃でそのまま仕留めてしまえます。なお禁伝の多くは200kgオーバーのため持ちあがりません。マジカルシャインを持たせていませんが、これを撃ちたい相手は地面タイプのグラードン程度で、そのグラードンに対してはコケコをあまり出さないため不要だと思います。フェアリー打点はゼルネアスの仕事です。
エレキメイカーによるエレキフィールド展開は、眠りを防いだり、サイコフィールドを打ち消すのに便利ですが、相手のカイオーガの雷を強化してしまいイベルタルを倒されうることや、こちらのモロバレルのキノコの胞子の妨げになることに注意して運用しなければなりません。
モロバレル
【ヘドロばくだん、キノコのほうし、いかりのこな、まもる@オッカのみ/さいせいりょく】
221-☓-93-105-143-31 (H252,B20,D236 なまいき最遅)
HB:イベルタル(A183)のいのちのたま+ダークオーラ+はたきおとす(持ち物あり)を確定耐え、日食ネクロズマ(A229)のフォトンゲイザーを威嚇込みで確定耐え、ルナアーラ(C189)のサイコショックを確定耐え
D:11n
怒りの粉で攻撃を引きつけ、キノコの胞子で眠らせ、ジオコンの起点作りをします。貴重な電気耐性持ちでもあり、コケコ対策として用いることも多いです。もちろんトリル対策にも向いているのですが、環境で多用される防塵ゴーグルに警戒が必要です。味方イベルタルがはたき落とすで防塵ゴーグルを落としてくれていると躍動できます。
攻撃技はクリアスモッグや草結びなども候補に挙がりますが、コケコやレヒレがパーティで重めなことを考えてヘドロ爆弾を選びました。対草でもヘドロ爆弾の出番は多く、ルンパッパやアマージョ、ラランテスといったこのルールで多く使われる草タイプの弱点を突いたり、モロバレル同士の殴り合いにも有用です。
また、ガオガエンのフレアドライブ、グラードンの炎のパンチで突破を狙われやすいため持ち物にはオッカのみを持たせました。対ガオガエンでは物理耐久に多く振ってフレドラを耐えるように調整している人も多いですが、ガオガエンの配分は多種多様なので耐久調整が難しいと感じ、オッカに頼ることにしました。オッカのおかげでモロバレルを落とそうとする相手の計算を狂わせて眠らせることができ、その隙にゼルネアスでジオコンを積む戦術が非常に強力でした。
オッカを持たせたことで物理耐久に努力値を振る意味が薄くなり、ほぼ特殊耐久に特化しています。これだけの特防があればカイオーガやゼルネアスの攻撃にも余裕をもって耐えることができ、特殊技環境で戦いやすいです。
- 基本選出
vsゼルネアス系
先発:ウインディ+ゼルネアスorモロバレル
後発:ツンデツンデ+イベルタルorモロバレルorゼルネアス
対ゼルネアスでは初手からジオコンの起点を作られないよう先発にイベルタルを出すのは避けます。相手のジオコンに対してこちらもジオコンを積んだり、バークアウトで特攻を下げたりしながら対応しつつ、スキを見てツンデツンデのトリックルームを狙いたいところ。対グラゼルネでは「グラードンを倒してツンデツンデで詰め」「ゼルネアスを倒してイベルタルで詰め」などのプランを立てて立ち回ると手堅いです。
vsカイオーガ系
先発:イベルタル+モロバレルorカプ・コケコ
後発:ゼルネアス+モロバレルorウインディ
カイオーガ入りのパーティを相手にした場合、スカーフカイオーガ+猫だまし、あるいはスカーフカイオーガ+アマージョorテテフをケアしてコケコ+イベルタルの初手を出すのが無難です。カイオーガの隣のポケモンからコケコに猫だましされる可能性は高いですが、その隙にイベルタルを動かして不意打ち・叩き落とす・追い風のいずれかを使ってカイオーガのパワーか素早さを削いでコケコが退場すれば、後発ゼルネアスのジオコンの起点にすることができます。
使用感など
ゼルネアスのジオコントロール、ツンデツンデのトリックルームは試合の流れを一ターンでひっくり返す大技。数的不利になってでも、これらの補助技を通せるような有利盤面を整え、終盤に巻き返すのが主力の戦法でした。実際がにゅーオフでの対戦では、ほとんどが先に一匹を失うのと引き換えに盤面有利を作って巻き返す方法で勝っており、数的有利を取って受け回しで勝つことの多かった全国ダブルとは勝ち方が異なることを実感しました。
根源の波動・断崖の剣・青い炎・雷撃・聖なる炎・亜空切断などを使う他の禁伝と違い、イベゼルネは命中率100の技のみで戦えることが魅力です。また取り巻きにもパワーウィップを使うポケモンなどは採用しておらず、岩雪崩・バークアウト・エレキネット以外の技の命中率を100で固め、技外しによるプランの崩壊を防いでいます。こうした高い命中率はレートでもオフでも高い勝率を出せた要因であり、GSルールでも命中率は大事です。
コロコロオンラインの記事
コロコロオンラインにはこのパーティの改良版を載せています。QRレンタルチームもこちらにあります。
corocoro.jp
さらにムーンシリーズ対応版も載せていますのでぜひ御覧ください。
corocoro.jp