WCS2017アナハイム世界大会レポート Day3編

前:WCS2017アナハイム世界大会レポート Day2編
barudoru.hatenablog.com

Day3は世界大会の最終日。TCG及びVGC各カテゴリの決勝戦が行われます。(ポッ拳の決勝戦はDay2)私は過去二度の世界大会ではDay2のスイスドローラウンドで敗退し観戦席で応援する側でしたが、今年は決勝戦まで勝ち上がり、なんと対戦を行う側になりました。
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世界チャンピオンまであと1勝、決勝の相手はオーストラリアのSam選手。

世界大会レポート最終回となる今回は、決勝戦の選出や立ち回りについて考えていたこと、決勝戦前後と帰国までのエピソードを中心に書きます。続きを読むからどうぞ。


Day3

Day3の決勝戦にはDay2の対戦と大きく違うところがあります。それはパーティの中身がお互いに公開された状態で戦うという点です。Day2の後、パーティシートに記入した情報をもとに海外のポケモンWCS公式サイトにてパーティの6匹、技、持ち物、性格、特性が公開されます。この日の朝は自分の部屋で相手パーティの対策を考えていました。

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↑こちらが私のパーティ(構築記事

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↑そして決勝戦の相手、Sam選手のパーティ

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相手側のパーティは、一見カプ・テテフを軸にした構築に見えます。特に目を引くのがテテフデンジュモクの並び。アローラダブルの環境初期から少ないながらも見かける組み合わせでした。このルールでの電気タイプはカプ・コケコが筆頭に挙げられるものの、テテフとコケコを両立するとフィールドを取り合ってしまいます。そこでフィールドに依存しない電気タイプであるデンジュモクを採用している、というわけです。二匹とも中速である点やテテフで先制技を無効にできるという点を踏まえて追い風と組むことが多く、バルジーナが追い風役に起用されています。

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特徴的な要素として、鋼タイプが不在、積み技が3種類、半分回復の木の実が3つ、吹雪を持たないサポート特化キュウコン等が挙げられます。耐性の優秀な鋼タイプのポケモンを採用せず、かつ積み技を多く起用していることから、サイクルをほとんど回さずにサポート+積み技で制圧していくというパワースタイルが構築からも感じ取れます。パーティ相性はこちらが不利といったところ。前日のDay2初戦でYoshiとの試合に敗れたように、私のサイクルパーティは積みパーティが苦手。そのうえ、積みパーティに対抗するポケモンであるエルフーンがサイコフィールドを持つテテフと悪タイプ・挑発を持つバルジーナに対して相性が悪いです。

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デンジュモクの性格が臆病、というのも頭を抱える要素でした。Sに補正の無い性格であれば最大実数値が135であるためこちらのワルビアル(S138)で抜くことができるのですが、臆病だと抜ける見込みは少ないです。その場合、ジメンZよりマジカルシャインを先に撃たれてしまうため撃ち合いでは不利。
他に刺さる要素が少ないこともあってワルビアルの選出は控えざるを得ませんでした。これまでずっと推してきたワルビアルを選出しないのは心細いですが・・仕方ないです。
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勝戦の後に知ったことですがデンジュモクのSは138だったらしいです。つまりデンジュモクワルビアルは同速。準速85族抜き。考えることは同じですね・・

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一方でこちらにとってポジティブな要素が2つありました。1つは、相手のパーティは鋼タイプと毒タイプが不在なのでこちらのメイン打点であるフェアリー技が一貫しやすいこと。もう1つはガラガラが瓦割りを持っていることです。相手は積み技のサポートをキュウコンオーロラベールに頼っている節があり、それを破壊できます。オーロラベールを割ってダメージを太くしていけば、HPが25%以下に減ることが発動条件となる半分回復の木の実も発動しづらくなります。前日のDay2は出番無しだったこの技が決勝戦で切り札になるとは・・

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相手の選出を予想するのは困難でした。テテフ軸の構築で定番の先発はテテフジーナやテテフウインディ。ただ、カプ・テテフは瞑想型であり、エルフーンの悪戯心への抑えにもなることを考えると後発から出てくるかもしれません。こちらが瓦割りを持っていることを相手は知っているためキュウコンは出てこないかもしれないし、デンジュモクは避雷針を警戒して出てこないかもしれません。

相手の構築にとって軸となるガブリアスカプ・テテフの2匹は出される可能性が高いとして、後はテッカグヤ処理のためデンジュモクorウインディ、サポート要員としてバルジーナorキュウコン、という選出を予想しました。

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こちらの選出はやや消去法で決めることになります。前述の通りワルビアルの選出は避け、テテフやバルジーナの前に腐る危険があるエルフーンも出さないことにします。まずはレヒレテッカグヤ、コケコ、ガラガラの4匹で戦ってみようと思いました。ガラガラは基本的に後発に置くポケモンですが、今回は先発として出し、テテフ、デンジュモクキュウコンらに圧力をかけていく、もし相手先発がバルジーナガブリアスであればテッカグヤに引く、そういう方針を立てます。

公開情報としてキュウコンの技構成などを知ることができたのはありがたいですが、逆にこちらのポケモンの技構成も相手に知られています。エルフーンにアンコールが無いことやガラガラが瓦割りを持っていることを相手に知られてしまうのはやや厳しい点です。だいたいの戦略を練り、朝9時ごろ部屋を出て会場に向かいます。




会場

Day3のコンベンションセンター。決勝戦まで時間があり、まだ人の数は少なめ。会場を1周歩いてみるものの日本人とはあまり会えず寂しいです。

前日にポケモンカードの試合が行われていたエリアが決勝戦出場選手の待機エリアとなります。ここに10時に集合します。この後、一人で会場を出歩くことはできません。決勝戦出場選手が行方不明にならないよう、待機エリアを離れて会場を歩く際は必ずスタッフの付き添いが必要になります。

マスターカテゴリ決勝戦のスタッフは3人でした。私とSam選手を含めて5人でしばらく過ごします。日本語が話せるスタッフは通訳でもあるBenさんだけでした。

紫のTシャツを着ているBenさんはDay1・Day2でもインタビューの和英通訳をされていた方です。10時を過ぎてからは会場を出歩けず、日本人とも話せず寂しい思いをしていましたが、Benさんが話しかけてくれたり、またSam選手との会話を通訳してくれたりしたおかげで和みました。

待機エリアに入ってしばらく時間が経ってから、決勝戦の説明を受け、Day3のデジタル選手証を受け取ります。

「Masters Division Final」の文字に震えました。このデジタル選手証を持つプレイヤーは、世界で私とSam選手の二人だけ。いよいよだという気がしてきます。

現地時間の12時ごろ、TCG部門の決勝が始まります。私達5人も観客席に移動です。

ポッ拳の決勝戦は前日に行われていたので、この日はTCGとVGCの決勝戦が各カテゴリ行われます。決勝戦TCGのジュニア、シニア、マスター、そしてVGCのジュニア、シニア、マスターの順番。つまり・・私とSam選手の試合が最後のトリというわけです。WCS2017というビッグイベントを締めくるる勝負、そう考えるとドキドキします。

TCG部門の決勝が始まったときは観客席の前の方の列にいました。私はポケモンカードのルールや環境について大体分かります。ただ・・観戦する気分ではありませんでした。やはり自分の対戦のことで頭が一杯です。

昔から夢見てきた世界大会決勝戦、しかしパーティ相性の悪さがずっと気にかかります。BO1なら択が噛み合えばパーティ相性が多少悪くても勝てることはありますが、BO3のマッチ戦はそういう誤魔化しも効かないので相性を覆すのは容易ではありません。パーティの中身が公開されているため、初見殺しの動きも難しいです。晴れ舞台どころか公開処刑になっちゃうんじゃないか・・と鬱ロイドな感じf:id:barudoru:20170626234145p:plain

気持ちが晴れないでいる時、とあるプレイヤーからお届け物がありました。

Sejun Park「I SEND POWER!!!!
韓国のSejunからZリングを受け取ります。

3年前、パチリスを活躍させ世界一になったSejunf:id:barudoru:20171029105610p:plain
ワシントンの会場で観客席から決勝戦を観てカッコイイなと憧れたものです。その憧れのプレイヤーから「Barudoru、頑張って!応援してる」と言われました。感極まって熱い抱擁をしているところをバッチリ写真に収められていました。

さらにもう1つ、今度は日本人の方から贈り物を戴きました。たくさんのメッセージが書かれた日の丸の羽織、日本の国旗です。


国旗を用意してメッセージを集めてくれたのはハラサキさん、アナハイム行きの飛行機に乗る前にビクティニワルビアルポケモンカードをくれたハラサキシュウ君のお父さんです。私のために骨を折ってくれたハラサキさんに、そして私にたくさんのメッセージをくれた日本のプレイヤー、子どもたち、親御さんに本当に感謝が絶えません。この日、日本人とほとんど話せず心細かった自分にとって、これほど嬉しいものはありませんでした。私が世界一強いポケモントレーナーかどうかは決勝を戦ってみないと分かりませんが、少なくとも今私は世界一幸せなポケモントレーナーなのだろうと思いました。たくさんの応援に応えたい、必ず勝つことを誓います。


私は今まで何度か大舞台での対戦を経験してきました。ポケモンフェスタ2007福岡大会決勝、ポケモンWCS2014全国大会決勝、ポケモンWCS2017全国大会決勝。そして今回は世界大会の決勝。世界一をかけた頂上決戦、日の丸を背負う戦いとあって、これまで自分が経験してきたバトルのなかでも最大の戦いです。プレッシャーはもちろん感じますが、自分らしいプレイをしようと心を落ち着けます。




勝戦

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VGC部門のシニアカテゴリ決勝が終わったすぐ後にマスターカテゴリ決勝の準備が行われます。私もステージに上がってゲーム機などの準備をします。ワルビアル人形もしっかりセットしました。その後、対戦相手のSam選手、スタッフのBenさんと共に一旦ステージ裏で待機します。

Benさんから説明を受けます。
「これからWolfe Glickのムービーが流れます。それが終わり次第、決勝戦が始まります。司会のAnnaから呼ばれたら出ていってください」
ステージ裏でWolfeのムービーの音声を聞いていました。ムービーが終わり、いよいよステージに上がるときが来ます。

いざ最終決戦へ。

■Twitchの海外実況
youtu.be

ニコニコ生放送(実況:サントスさん、解説:シャロンさん、森本さん)
youtu.be

■この対戦から4年後に作った解説動画
youtu.be


司会「From Japan! Ryota Otsubo!

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手を振って出ていきました。ガッツポーズを作った場面、「頑張るドル」と心のなかで呟いています。
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大勢の観客が見えました。こんなにたくさんの人の前で対戦をするのは初めてです。いくつか日の丸が振られているのが目に入って嬉しくなりました。

Sam選手の入場を迎えた後、ヘッドホンを装着。実は、世界大会決勝のBGMはこのヘッドホンからは聞こえません。ヘッドホンは耳栓のようなもので、ザーザー音と、対戦相手の声、スタッフの声だけが聞こえます。専用BGMが聞けないのは残念ですが、仕方ないです。このBGMを聞くと舞い上がって冷静な立ち回りができないかもしれないし、それでもいいと割り切りました。今必要なのは、熱くなることよりも落ち着いて頭を働かせることです。

Benさん「スタッフの声は聞こえますか?」
「聞こえます」と私は返事をします。ヘッドホンの調整など諸々が済んでから選出画面に進みます。
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WCS2017 Masters Division Final
vs Sam Pandelis選手

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相手の選出時間は5秒ぐらい。公開されているこちらのパーティ情報を見て戦略を決めてきているようです。こちらも選出は固まっていますが、落ち着くために少し時間をかけます。

4匹を選び、決勝戦スタートです!


イラストは@roxas_vgcさんから頂きました。

R11-1 先発 後発
相手 f:id:barudoru:20170223233328p:plainf:id:barudoru:20170303211808p:plain f:id:barudoru:20170303205715p:plainf:id:barudoru:20171015224635p:plain
自分 f:id:barudoru:20170303205327p:plainf:id:barudoru:20161220213945p:plain f:id:barudoru:20161220225044p:plainf:id:barudoru:20161220213754p:plain


■1ターン目f:id:barudoru:20170303205327p:plainf:id:barudoru:20161220213945p:plainvsf:id:barudoru:20170223233328p:plainf:id:barudoru:20170303211808p:plain
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相手の初手はキュウコンガブリアス。ガラガラを初手に持ってきたことが災いしこちらの出し負けです。ガブリアスはガラガラを、カプ・レヒレガブリアスを、ガラガラはキュウコンをそれぞれ一撃で倒すことが可能。一見、放置できそうなキュウコンですが、厄介なことに金縛りを持っています。また、こちらのカプ・レヒレがメガネであることは相手も知っているはずです。

ここでキュウコンを放置した場合、次のターンに金縛りで眼鏡レヒレを封じられ、ガブリアスの絶好の起点にされてしまいます。キュウコンを止めるためには、ガラガラの攻撃で倒すしかありません。キュウコンが襷や守るを持っていないことは分かっています。ガブリアスにガラガラが縛られているとはいえ、レヒレもまたガブリアスに圧力をかけています。こちらの安定択が「ガラガラ守る、レヒレガブリアスを攻撃」である以上、ガブリアスが地面Zを消費してガラガラを殴りにいくのにはリスクがあります。

恐らく、ガブリアスは守るもしくは交代、キュウコンオーロラベールから入ってくるものと考えます。それならば、ガラガラを動かしてキュウコンを倒すプレイングは可能です。

技選択を終え、1ターン目開始。キュウコンオーロラベールガブリアスは守らず剣の舞を使っていました。レヒレムーンフォースガブリアスに耐えられます。結果的に冷凍ビームを撃つべきでしたが、積みパーティに対して冷凍ビームで拘るのは危険だというのが頭にあり撃てませんでした。光の粘土+オーロラベールを貼ったキュウコンをガラガラのフレアドライブで倒すことには成功しますが・・

■2ターン目f:id:barudoru:20170303205327p:plainf:id:barudoru:20161220213945p:plainvsf:id:barudoru:20170303211808p:plainf:id:barudoru:20171015224635p:plain
キュウコンの裏からオーロラベールに守られたデンジュモクが登場。状況的に金縛りを持ったキュウコンを倒さざるを得なかったとはいえ、やはり無償降臨は苦しいです。デンジュモクは間違いなく蛍火を積むとして、ガブリアスは岩雪崩でガラガラを落としつつレヒレの怯みを狙ってくるかなと思いました。レヒレが怯むと厳しいですが、ガラガラは守る、その間レヒレの攻撃でガブリアスを攻撃、と切り返すしかありません。

ここも予想は当たらず、ガブリアスの技は地面Zでした。守るを貫通してガラガラを倒されます。結果論ではテッカグヤに引くのが正解でしたが雪崩を警戒していたためそのプレイはできませんでした。

ガブリアスムーンフォースで倒して3-2としますが、その間デンジュモクは蛍火。攻撃面防御面が超強化されたデンジュモクに対し、レヒレ・コケコ・カグヤでは勝つのは絶望的です・・

■3ターン目f:id:barudoru:20170303205327p:plainf:id:barudoru:20161220225044p:plainvsf:id:barudoru:20170303205715p:plainf:id:barudoru:20171015224635p:plain
相手の最後のポケモンバルジーナでした。対してこちらはコケコをまだ出さず、テッカグヤを先に出します。エレキフィールドで相手のデンジュモクを強化するのが嫌だったのと、マジカルシャイン圏内に追い込みコケコで最後にデンジュモクを倒す展開を狙っていました。

ここから勝利するのは正直難しいため、ピンポイント読みを通して勝ちを拾う方針で立ち回ります。デンジュモクを温存するのが相手の勝ち筋。「デンジュモク守る、バルジーナ追い風」のプレイに賭けてバルジーナムーンフォースと宿り木を集中します。

デンジュモクは守ってはおらずマジカルシャインワルビアルへの交代を警戒していた節があります。バルジーナの挑発でテッカグヤの宿り木は封じられ、ほぼ勝ち筋がなくなります。

■4ターン目f:id:barudoru:20170303205327p:plainf:id:barudoru:20161220225044p:plainvsf:id:barudoru:20170303205715p:plainf:id:barudoru:20171015224635p:plain
10万ボルトでレヒレが倒され、ビーストブーストでさらに特攻を上げられます。追い風をバルジーナに展開され、状況はさらに悪くなります。

■5ターン目f:id:barudoru:20161220225044p:plainf:id:barudoru:20161220213754p:plainvsf:id:barudoru:20170303205715p:plainf:id:barudoru:20171015224635p:plain
コケコを守らせ、挑発でやることがなくなったテッカグヤを動かすしかありません。

何とか10万ボルトを守るで防げたものの苦しいです。バルジーナは羽休めで回復し、ヘビーボンバーで落としきれませんでした。

■6ターン目f:id:barudoru:20161220225044p:plainf:id:barudoru:20161220213754p:plainvsf:id:barudoru:20170303205715p:plainf:id:barudoru:20171015224635p:plain
Cが4段階upしたデンジュモクエレキフィールド10万ボルトを流石にコケコは耐えきれません。コケコが落とされたこのターンをもって降参ボタンを押します。

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この試合は選出負けでした。こちらがデンジュモクに薄い選出をしたのが反省点。相手はガブリアスバルジーナでガラガラを倒せるようにして最大限デンジュモクを活かせるような選出をしています。一晩考えてきただけあって、とても理にかなった、完成された選出です。テテフを出していないのは単純に選出の枠が足りなかったからでしょう。

こちらは選出を見直す必要に迫られます。臆病デンジュモクに抜かれる可能性が高いワルビアルはやはり出せない、となればエルフーンの出番です。Day2で何度も窮地を救ってくれたこのポケモンに望みを託します。

R11-2 先発 後発
相手 f:id:barudoru:20170223233328p:plainf:id:barudoru:20170303211808p:plain f:id:barudoru:20170303205715p:plainf:id:barudoru:20171015224635p:plain
自分 f:id:barudoru:20170303205327p:plainf:id:barudoru:20170830222957p:plain f:id:barudoru:20161220213945p:plainf:id:barudoru:20161220213754p:plain

今回も相手は選出を即決。2戦目・3戦目の選出を予め決めていたかもしれないので、即決されたからといって同じ選出とは限りません。テテフへの警戒はしつつ、エルフーンを動かす方針にします。

■1ターン目f:id:barudoru:20170303205327p:plainf:id:barudoru:20170830222957p:plainvsf:id:barudoru:20170223233328p:plainf:id:barudoru:20170303211808p:plain
エルフーンが自然の力Z型であることは相手も知っているはずなので、間違いなくガブリアスは守るか交代、もしくはカプ・テテフを出してサイコフィールドを展開してくると考えられます。それを意識してこちらのエルフーンは追い風から入ります。相手のキュウコンに吹雪が無いことは分かっていたためエルフーンを動かしやすいです。

予想通りガブリアスは交代。引き先がデンジュモクだったのは少し意外でしたが、フェアリーZを受けて半分回復のきのみを発動させるつもりだったのでしょう。相手のキュウコンオーロラベール。こちらのレヒレマジカルシャインで相手二匹を攻撃、デンジュモクは思ったより柔らかいです。
追い風を展開したことで、次のターンは金縛りされる前にもう一度マジカルシャインを撃てます。

■2ターン目f:id:barudoru:20170303205327p:plainf:id:barudoru:20170830222957p:plainvsf:id:barudoru:20170223233328p:plainf:id:barudoru:20171015224635p:plain
避雷針でデンジュモクの電気技を防ぐのと、オーロラベールの除去を狙ってエルフーンをガラガラへ交代します。レヒレマジカルシャインデンジュモクには守られ、その後にレヒレキュウコンの金縛りを受けます。悪あがき状態となったカプ・レヒレ、次のターンは交代を強いられる状況となります。

■3ターン目f:id:barudoru:20170303205327p:plainf:id:barudoru:20161220213945p:plainvsf:id:barudoru:20170223233328p:plainf:id:barudoru:20171015224635p:plain
しぶしぶレヒレを引きます。まだ4匹目を見せたくないのとガブリアスへの交代を懸念してエルフーンへの交代。ガラガラのフレアドライブならデンジュモクを倒せそうですが、交代される可能性もあるしガブリアスと対面する前に瓦割りで壁を壊しておきたいです。ただデンジュモクを瓦割りで殴るとちょうどイアのみが発動しそう。キュウコン方向へ瓦割りを選択します。

デンジュモクはここで蛍火。放置不可能になりました。瓦割りが通って壁は破壊するものの、キュウコンの凍える風でガラガラの素早さが下がり、デンジュモクに抜かれてしまいます。

■4ターン目f:id:barudoru:20170830222957p:plainf:id:barudoru:20161220213945p:plainvsf:id:barudoru:20170223233328p:plainf:id:barudoru:20171015224635p:plain
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難しい盤面でした。
凍える風でSが下がったガラガラは追い風下でもデンジュモクを抜けず、縛れていません。エルフーンのフェアリーZならデンジュモクを上から落とせそうですが、これを守られた場合、Z技を失った挙句イアのみを発動させてしまいます。しかしムーンフォースで落とせるかは怪しい・・あと1回あられダメージを蓄積させたいところ。再度のオーロラベール展開を狙うキュウコンにも対処が必要です。エルフーンで上から倒すことはできますが、その間にデンジュモクからマジカルシャインを撃たれて倒されてしまうのは避けたいです。というのはテッカグヤを選出していない以上エルフーンを失うと対ガブリアスが厳しいため。考えた末、エルフーンに一旦守るを指示し、ガラガラはキュウコン方向に瓦割りを選択します。マジカルシャインを撃たれた場合のケアをしつつ、キュウコンオーロラベール再展開を妨害できるように動きます。

相手のデンジュモクは動いていました。めちゃ強気です。マジカルシャインエルフーンは防ぎます。キュウコンは再度オーロラベールを展開しましたが、ガラガラの瓦割りでそれを破壊しつつ倒します。これで4-3。

相手のラスト1匹はバルジーナでした。1本目と同じ選出です。

■5ターン目f:id:barudoru:20170830222957p:plainf:id:barudoru:20161220213945p:plainvsf:id:barudoru:20171015224635p:plainf:id:barudoru:20170303205715p:plain
さすがにデンジュモクエルフーンムーンフォース圏内のはず。デンジュモクを倒しながら、仕事がないガラガラを一旦レヒレに下げておくことにします。

デンジュモクは動いており、ムーンフォースで処理。これまで警戒していたイアのみを発動させずに倒すことに成功します。その間にバルジーナは追い風。ミストフィールドが終了します。

4-2と数の差をつけますが、後で振り返るとこのターンレヒレを出すべきではありませんでした。ミストフィールドが終わってしまい、エルフーンガブリアスに圧力をかけられなくなります。エルフーンを使う以上、フィールド管理を怠ってはいけませんでした。

■6ターン目f:id:barudoru:20170303205327p:plainf:id:barudoru:20170830222957p:plainvsf:id:barudoru:20170303211808p:plainf:id:barudoru:20170303205715p:plain
ミストフィールドを再展開するためには一旦レヒレを引けば良いのですが、それを読まれて剣の舞を使われる可能性に怯えます。ここまでの試合、相手は何度も強気の積み技を通していました。ミストフィールド下のエルフーンならガブリアスを縛れるとはいえ、バルジーナに上手いこと挑発を通されて動きを封じられてしまい、ガブリアスに無双されては負け筋となります。相手のガブリアスは剣の舞前提の耐久振りの可能性が高いし地面Zを撃たれてもレヒレは耐えるだろう、1試合目でレヒレバルジーナより速いのを見ていたので、集中攻撃を選ばれても問題ないだろうとレヒレは突っ張ることにします。ガブリアスが守る可能性も十分にあるため、エルフーンは守らせバルジーナの挑発を防げるようにしておきます。

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耐えなかったか・・
地面Zでレヒレが倒されてしまいます。
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後に知った話では相手のガブリアスのAは177。
25%の低乱数だったようです。

とはいえ、堅実にいくならレヒレを引っ込めておくべきでした。そもそも前のターンにレヒレを出したのが失敗なのですが。負け筋を引きたくなくてやったプレイングが負け筋を引き寄せてしまうという展開。これでミストフィールドは再展開不可能になり、せっかく温存したZも腐る形。

相手側のみに追い風が吹いている厳しい状況。ここから勝つにはどうすれば良いか。エルフーンの甘えるでガブリアスのAを下げて地震をコケコが耐えるようにして、10万ボルトでバルジーナを攻撃する手もあります。ただバルジーナはHD特化なら中乱数で珠エレキフィールド10万を耐え切れます・・レヒレより遅く動いていたのを考えるとその可能性もあります。

では、ガブリアスをあらかじめ削っておき、最後にコケコを出して一掃するような展開を作れないかと考えました。そのためには追い風をこちらも展開し、なおかつガブリアスを4割以上削る必要があります。それを可能にする手を思いつきました。ちょっと危険なやり方ですが・・

■7ターン目f:id:barudoru:20161220213945p:plainf:id:barudoru:20170830222957p:plainvsf:id:barudoru:20170303211808p:plainf:id:barudoru:20170303205715p:plain
コケコはまだ出さず、まずはガラガラを出します。そしてエルフーンで追い風を貼りながら、ガラガラでガブリアスを殴る、これによって最終的にコケコで一掃する盤面を作ろうと考えたのでした。ガラガラはバルジーナガブリアスの両方に縛られており、どちらかがガラガラを殴ってくればこちらの負けは濃厚です。しかし、ガラガラは縛られているうえに一見大した仕事ができないため、「ガラガラ守る、エルフーン追い風」という手を読んでガラガラを殴ってこない可能性は十分考えられます。

特にバルジーナは間違いなくエルフーンに挑発すると思うので問題はガブリアス。このポケモンが剣の舞を使ってくれるかどうか。こちらのラスト1匹がコケコだと相手が分かっているなら剣の舞を積む必要が無いのでそのまま殴ってくるかもしれませんが、まだコケコを見せてはいないため相手には剣の舞を積む誘因があります。加えてエルフーンの甘えると相殺で攻撃を上げにいくという線もあります。この賭け、どうかうまくいってくれ。
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うまくいきました!ガブリアスの選択は剣の舞。その隙に撃ったシャドーボーンによりガブリアスのHPは4割以上削れ、マジカルシャインの圏内に入ります。エルフーンは追い風を展開。返しにバルジーナの挑発を受けます。

■8ターン目f:id:barudoru:20161220213945p:plainf:id:barudoru:20170830222957p:plainvsf:id:barudoru:20170303211808p:plainf:id:barudoru:20170303205715p:plain
後はどうやってコケコを出すか。エルフーンをコケコに交代するのはとてもリスキー。悪あがきで自主退場させたいです。ガラガラは守らせます。

ガブリアスの岩雪崩でエルフーンが倒れ・・倒れず、HP4で耐えます。背筋が凍る思いでした。もし追加効果で怯んで自主退場できなかったら・・しかし、バルジーナイカサマで倒されその心配はなくなりました。ここで地震を撃たず、岩雪崩+イカサマの集中をしてきたことから察するに、相手はこちらのラスト1匹がテッカグヤの可能性を考え、交代を読んでいたと思われます。

■9ターン目f:id:barudoru:20161220213945p:plainf:id:barudoru:20161220213754p:plainvsf:id:barudoru:20170303211808p:plainf:id:barudoru:20170303205715p:plain
反撃の準備が整いました。私の構築のスイーパー、カプ・コケコが無償降臨。ガブリアスマジカルシャイン圏内で、相手の追い風が止んでこちらの追い風だけが残っています。

このターンガブリアスは守るを使い、その間にバルジーナをマジシャ・フレドラの集中攻撃で落とします。

■10ターン目f:id:barudoru:20161220213945p:plainf:id:barudoru:20161220213754p:plainvsf:id:barudoru:20170303211808p:plain
マジカルシャインガブリアスを撃破。勝利し、1-1とします。
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序盤は有利な展開で、中盤傾きかけたところを終盤立て直しました。危うい試合でしたが、瓦割りできっちりオーロラベールを割ってフェアリー技で攻めれば十分勝機があることが分かり、三戦目には自信を持って臨みます。

ファイナルマッチのラストゲーム・・
WCS2017最後のバトルです。

ここまでの2試合を通して一つ作戦を考えました。「初手でエルフーンとガラガラを出し、ガラガラをカプ・レヒレに交代してミストフィールドを起動、ガブリアスに自然の力Zを撃ち込む。」要は初手でガブリアスを奇襲し一気に勝負をつけようという作戦です。この戦術は、相手のいくつかの手に対してケアができます。第一に、キュウコンガブリアスがテテフに交代したとしても、素早さの遅いガラガラは交代の順番が後になり、テテフ→レヒレの順番で特性が起動するためサイコフィールドを打ち消してラブリースターインパクトを通せます。第二に、ガブリアスに守られたとしても、ダメージを蓄積させオーロラベール込みで眼鏡ムーンフォースの圏内に持っていくことが可能。カプ・レヒレを2ターン目から出すことでキュウコンの金縛りに怯えることなく行動でき、「守るを前ターンに使用済みでかつムーンフォース圏内にもなったガブリアス」を確実に落とすことができます。

ガブリアスさえ倒せれば、このマッチの鍵を握るポケモン・・ガラガラで暴れられます。ガブリアスが先発から来ないならそれはそれでガラガラが動きやすいです。この作戦を胸に最後の大勝負に挑みます。


イラストは@TextFontさんから頂きました。

R11-3 先発 後発
相手 f:id:barudoru:20170223233328p:plainf:id:barudoru:20170303211808p:plain f:id:barudoru:20170303205715p:plainf:id:barudoru:20171015224635p:plain
自分 f:id:barudoru:20170830222957p:plainf:id:barudoru:20161220213945p:plain f:id:barudoru:20170303205327p:plainf:id:barudoru:20161220213754p:plain

■1ターン目f:id:barudoru:20170830222957p:plainf:id:barudoru:20161220213945p:plainvsf:id:barudoru:20170223233328p:plainf:id:barudoru:20170303211808p:plain
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相手の先発は変わりません。やはり完成された選出のようですが、カプ・テテフへの警戒もしておきます。こちらは作戦通り、ガラガラをレヒレに交代。自然の力Zでガブリアスを狙います。

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私は椅子から転げ落ちました・・というのは冗談ですが、上手いことこちらの作戦に対処されてしまいました。悪戯心で優先度の上がった技は悪タイプに効かないため、バルジーナへの交代で自然の力Zを無効化されます。さらにキュウコンオーロラベールを展開。

とはいえ、このターンはZ技を失っただけでこちらがダメージを受けたわけではありません。カプ・レヒレも次のターンは金縛りを恐れずに動くことができます。切り替えていくことにします。

■2ターン目f:id:barudoru:20170303205327p:plainf:id:barudoru:20170830222957p:plainvsf:id:barudoru:20170223233328p:plainf:id:barudoru:20170303205715p:plain
相手側はサポートポケモンが2匹並んでいる状況。しかし、フェアリーの一貫があるためデンジュモクガブリアスに交代されたとしてもダメージは望めます。マジカルシャインと追い風を選択。

対して相手は挑発と凍える風でした。挑発を受けたエルフーンは次のターン交代せざるを得ません。また、レヒレは凍える風を受けたことで追い風下でも恐らくキュウコン以下の素早さになっているため、上から金縛りを使われることを意識しなければなりません。

■3ターン目f:id:barudoru:20170303205327p:plainf:id:barudoru:20170830222957p:plainvsf:id:barudoru:20170223233328p:plainf:id:barudoru:20170303205715p:plain
悪あがき状態を嫌って両交代を選択します。エルフーンの交代が確実なこのターン、交代読みイカサマが狙われる可能性を踏まえてエルフーン側にコケコを、レヒレ側にガラガラを出すことにします。

予想通り、イカサマはエルフーン方向。無事コケコで受けます。一方、キュウコンは金縛りではなくもう一度凍える風を使ってきました。レヒレのSの実数値が分かっている私は追い風&S1段階ダウン状態のレヒレキュウコンより遅いと考えていましたが、相手側の視点では抜けるか自信が無かったのかもしれません。速いレヒレもちらほら見かけていた環境であり、2本目において地面Zでレヒレが倒れたことからCS振りに近いレヒレを想定されていた可能性もあります。

■4ターン目f:id:barudoru:20161220213945p:plainf:id:barudoru:20161220213754p:plainvsf:id:barudoru:20170223233328p:plainf:id:barudoru:20170303205715p:plain
エレキフィールド下、より多くのダメージが狙えるのは放電です。しかし、それを読んでデンジュモクガブリアスに交代されることは十分に考えられる状況。マジカルシャインを撃つことにしました。

相手の交代は無し。マジカルシャインで相手二匹を削ります。ところがマジカルシャインキュウコンの金縛りで封じられてしまいます。マジカルシャインを読んでガブリアスへの交代を行わず、逆に後攻金縛りで封じに来たプレイングは流石です。これで相手はガブリアスデンジュモクへの交代が容易になりました。その間、ガラガラはバルジーナイカサマを耐えて瓦割りでオーロラベールを破壊。光の粘土込みの壁破壊に成功したことは大きいです。前のターンに、交代読みのイカサマに対応できたことが幸いしました。

■5ターン目f:id:barudoru:20161220213945p:plainf:id:barudoru:20161220213754p:plainvsf:id:barudoru:20170223233328p:plainf:id:barudoru:20170303205715p:plain
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カプ・コケコで相手二匹を両縛りできているものの、マジカルシャインは使えません。こうなると相手二匹のどちらかは間違いなくガブリアスに交代します。ガブリアスに備えるべく、先回りしてガラガラをエルフーンと交代しておきます。相手側が交代するのは果たしてキュウコンバルジーナか・・キュウコンに行動を許せばオーロラベールを再度展開される、バルジーナに行動を許せば追い風を再度展開される、どっちも嫌です。交代しない方を読んで、10万ボルトで攻撃したいですが、どちらのポケモンも交代があり得る状況。ここはエルフーンを巻き込んででも、放電を撃つのが最善手と判断しました。
昨日のたきさんとの試合で巻き込み放電が急所に当たったことが脳裏をよぎりますが・・今回はそんなことは無いと願いたい。

ガブリアスに交代したのはキュウコン側でした。バルジーナは放電で倒します。放電に巻き込まれたエルフーンには麻痺も急所もありませんでした。エルフーンが偉かったです、もしくはコケコが偉かったのかもしれないですね。

倒れたバルジーナの代わりに、デンジュモクが繰り出されます。もはやラスボスの風格をもつデンジュモク・・同時にこちらの追い風が止みます。

■6ターン目f:id:barudoru:20161220213754p:plainf:id:barudoru:20170830222957p:plainvsf:id:barudoru:20171015224635p:plainf:id:barudoru:20170303211808p:plain
3ターン目に凍える風を入れられている影響で、コケコの素早さは相手に劣っています。そのうえ金縛りでマジカルシャインも使えません。ここはコケコを捨てるしかありません。エルフーンで追い風を展開し、次に繋ぐことにします。

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ガブリアスの攻撃は地面Z。カプ・コケコはこれで落とされました。ライジングランドオーバーキル・・コケコの守るや交代も許さない手です。ですが、ここで相手に地面Zを使わせたことで後発のレヒレが戦いやすくなりました。JCS、全国大会、世界大会とずっとパーティに入れて戦ってきたカプ・コケコの最後の活躍でした。

その間にエルフーンは追い風、デンジュモクは蛍火。ここでエルフーンを落としてくれていれば、追い風下でレヒレガラガラを並べて必勝のルートを作れそうでしたが・・ここは相手も上手いです。

倒れたコケコに代えてレヒレを出します。こちらの場に追い風、さらに主力アタッカーのカプ・レヒレ、相手の場にオーロラベール無し、攻撃を非常に通しやすい盤面です。逆に追い風のターンを凌がれてしまえば、カプ・コケコを失ったこちらは一転して上から縛られる形となります。絶対に逃すことのできないビッグチャンスです。

■7ターン目f:id:barudoru:20170303205327p:plainf:id:barudoru:20170830222957p:plainvsf:id:barudoru:20171015224635p:plainf:id:barudoru:20170303211808p:plain
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追い風下、こちらにはデンジュモクの脅威に対抗する手段が2つあります。一つはエルフーンをガラガラに交代し、特性避雷針で電気技を無効にすること。もう一つはエルフーンカプ・レヒレの集中攻撃で一気に落としにかかること。電気vs水タイプで後発に避雷針という戦況にあって、前者の「ガラガラバックしながらカプ・レヒレムーンフォースガブリアスを倒す」というプレイングは、最も相手が想定しやすい手だと思いました。それならばデンジュモクは守るを使わずマジカルシャインでガラガラを迎え撃ちにくる可能性が高く、後者のプレイング・・集中攻撃でデンジュモクを倒すことを私は考えます。ガブリアスには地面Zがもう無いため、デンジュガブの両方が守らず動いてきても、十中八九こちらが勝てます。

厄介なのは「デンジュモク守る、ガブリアスが攻撃」というプレイングをされた場合。全国ダブルのメガガルーラグロウパンチを積んだ後守ることが多いように、相手が慎重派なら積んだデンジュモクには守るを使わせるかもしれません。ただ、Sam選手は1本目の3ターン目/2本目の5ターン目と積んだデンジュモクを積極的に動かす立ち回りをしており、消極的なプレイをここでするとは思えませんでした。また、エルフーンカプ・レヒレの集中攻撃でデンジュモクを落としきれるかは一見分かりづらいはずです。エルフーンデンジュモクの殴り合いはなかなかレアケース。かくいう私も落としきれるか少し不安でした。

デンジュモクが守るを使う可能性は低く、集中攻撃は通せると考えます。1ターン目のようにまたうまく流されるかもしれませんが・・自分の読みを信じてエルフーンカプ・レヒレデンジュモクへの集中攻撃を指示します。

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ガブリアスが守る、そしてデンジュモクは守っていません!後は、集中攻撃のダメージ量でデンジュモクを落とせるのかが唯一の気がかり。

エルフーンの特攻は141でレヒレの特攻は156@こだわりメガネ。つまりレヒレエルフーンの1.5倍以上の火力を出せます。エルフーンムーンフォース4割削れば、レヒレムーンフォースで6割以上削ることができ、倒せる計算になります。最初のエルフーンムーンフォース、ダメージ量は・・
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4割を越えている!ここで勝利を、優勝を確信しました。
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続くカプ・レヒレムーンフォースによって、計算通りデンジュモクを仕留めます。「S操作」と「集中攻撃」、ダブルバトルのアドバンテージを取る基本2つをもって試合の流れを引き寄せます。

■8ターン目f:id:barudoru:20170303205327p:plainf:id:barudoru:20170830222957p:plainvsf:id:barudoru:20170223233328p:plainf:id:barudoru:20170303211808p:plain
最後の技選択は慎重に。分散攻撃です。エルフーンキュウコンを、カプ・レヒレガブリアスを、それぞれムーンフォースで倒して決着を着けます。

ムーンフォースガブリアスを倒した瞬間の喜びは忘れられません。苦しい場面が幾つもありましたが、選出した4匹が各々の役割を果たして勝つことができました。

Final f:id:barudoru:20161220214552p:plainf:id:barudoru:20170223233328p:plainf:id:barudoru:20170303205715p:plainf:id:barudoru:20161220214507p:plainf:id:barudoru:20170303211808p:plainf:id:barudoru:20171015224635p:plain ☓◯◯ WIN

優勝の瞬間を、多くの方が写真や動画に収めていました。


↑サンムーンのディレクターである大森滋さんの撮影した動画


↑海外の方が撮影した動画。マッチ3本目の決着は11:38秒~13:10秒辺り。
RYOTAコールの様子も映っていますw
動画に映っている通り、多くの方が席を立って拍手をしてこの勝負を讃えてくれました。

対戦後、Sam選手は一切の悪態をつかず、私を抱擁し讃えに来てくれた上、スタッフにも握手をするなど素晴らしい態度でした。試合には勝ったものの、Sam選手の礼儀正しさには完敗です。是非見習いたいです。

最強で最高の対戦相手でした。


優勝インタビューに答えます。
youtu.be

Q「強くなるためのアドバイス、あったら教えてください」
A「負けた試合を振り返ること、それを繰り返すことがとても大事だと思います。」
こう答えましたが、後で「ソシャゲをしない」の回答をして欲しかったなぁと日本勢から残念がられました笑




Closing Selemony

Closing Selemony(閉会式・表彰式)はマスターカテゴリ決勝戦の直後でした。

youtu.be

私は一番最後に登場。増田順一さんと握手をして、ポケモンWCSのシンボルであるピカチュウのトロフィーを受け取ります。



トロフィーの重さはリアルピカチュウという感じ。ずっと欲しかったものをようやく手に入れることができました。

閉会式が終わった後もこのトロフィーを抱きかかえて壇上に残り、「Let's GO RYOTA!」のコールを受け続けました。私は「Thank you! Thank you!」と何度も叫びました。泣きそうでした。本当にたくさんの方に応援してもらって、祝福してもらって、人生で一番幸せな時でした。

その後も夢のような時間が続きます。

海外の新聞社複数からインタビューを受けます。Benさんが通訳をしてくれました。そして株式会社ポケモンからもインタビューを受けます。ゲームフリーク増田順一さん、大森滋さんとも話をしました。増田さんは私が持っていた国旗を嬉しそうに見ていました。
増田さん「君、レモネードさんって名前だったの?」
私「えっ」

寄せ書きの中に一つだけ書いてあった「がんばレモネード」を見てそう思ったそうです。「頑張るドル!」とたくさん書いてあるのに何故だ(^_^;)そもそもレモネードさんはアナハイムに来てないはずなのに誰が書いたんだ・・(犯人はアンニュイさんでした)レモネード氏(※)と間違われるのは大変不本意なので慌てて訂正しました。

※レモネード氏・・関東のVGCプレイヤー。王者の印を持たせたカプ・コケコのマジカルシャインで怯みを狙ってきたり、「放電はS操作」と主張するなど悪事が絶えない。


大森さんは決勝戦の対戦内容にとても感動している様子でした。


私は「ウルトラサンムーン楽しみにしてます!」と伝えます。短い時間でしたが二人とお話できて光栄でした。


優勝トロフィーを包装してもらい、その他の記念品を受け取った後、会場のコンベンションセンターを後にします。会場の外で、今度はサインぜめが待っていました。海外の方には漢字で、日本の方にはローマ字でサインをします。大勢の方と握手をしたり、ツーショットを撮ったり、ちょっとした有名人気分を味わいます。


サインを書いている間、重いトロフィーを持ってもらい申し訳ないです・・この一日、Benさんには本当にお世話になりました。通訳だけでなく、待ち時間に話しかけてくれたり、Sam選手との会話の通訳をしてくれたり親身に接して頂きました。厚くお礼をします。Benさんは「Ryotaさんのおかげで楽しかった」と言ってくれました。本当に、良い人です。
「See you in Nashville!」
来年の再会を誓って別れます。

世界大会のスタッフはBenさんのように気さくで親しみやすい方ばかりです。TPCi(株式会社ポケモンインターナショナル)の社員のほか、大勢のボランティアも世界大会のスタッフとして参加しているそうです。彼らの支えのおかげでこの素晴らしいイベントがあることに深く感謝したいです。


ホテルの自分の部屋に戻ります。ようやく一人になると、心の底から込み上げてくるものを抑えきれなくなりました。泣きます。ベッドの上に国旗を広げ、その上にワルビアルエルフーンの人形、大会を共に戦った3DS、記念品のカードを並べて一枚の写真を撮り、ツイッターに優勝の報告をします。

祝勝会

夕方、祝勝会を兼ねた世界大会の打ち上げです。ステーキハウスでステーキを食べます。


↑2日前のツイートを自分で回収する形となりました。


Day1、Day2に参加したマスターカテゴリ日本勢のほとんどが来てくれて、優勝を祝ってもらいました。過去の世界大会では日本人はバラバラに打ち上げをやっていて、なかなか一同に会することはなかったのでとても珍しい機会です。

ステーキも美味しく最高の気分でした。


ステーキハウスからマリオットに戻ると、ロビーで海外勢と過ごします。(グダグダな英語で頑張ってやり取りしました・・)ドイツのYoshiやスペインのPokeAlex、韓国のSejunやアメリカのWolfeとAaron、そして決勝戦で戦ったオーストラリアのSamもいました。

Samから「Masters Division Final」のデジタル選手証を使って対戦しようと誘われます。もちろんOK。

勝戦の4本目です。世界大会決勝のBGM、フィールドを使うことができます。久しぶりの勝ち負け関係ない勝負。決勝戦の時は聞けなかったBGMを聞きながら楽しいバトルをしました。一試合終わると、SamはAaronに3DSを譲ります。君も戦ってみないかい?的な感じで。Aaronは喜んでこれに乗りました。こうしてAaronがプレイするSamのパーティと戦うことになりました。

ギャラリーが集まってきます。


盛り上がって楽しい勝負でした!

このデジタル選手証を使えば、あと92回決勝戦を戦えます。BO99?しかし、帰国後に参加を解除しました。もったいないですが、これを解除しないことにはバトルボックスも解除できません。格別な愛着が芽生えたこの6匹は今後も使いたいし、ポケリフレもしてあげたいのです。

私は深夜2時ごろまでロビーにいました。
「See you in Nashville!」
海外勢に挨拶して回り、自分の部屋に戻って寝ます。私にとって最高の一日が終わりました。

帰国

Day3の翌日(現地の8月21日)は世界大会の予備日。SNOWさん、ショウダイさん、mashさん、たきさん、ぶらありさん、コウさん、ウォルフォンさん、アンニュイさん、柚樹さんと夢の国ディズニーランドで遊びました。

そして最終日(現地の8月22日)、ついにアメリカを去る日がやってきました。枕元に最後のチップを置き、部屋で荷造りをします。お土産や記念品は数え切れないほどあり、かさばらないよう、工夫を凝らしてバッグに詰めます。両肩にショルダーバッグ、背中にはウェルカムキットのリュックサック、そしてキャリーバッグを引きずりつ両手でトロフィーを持つ重装備状態でした。


チェックアウトの手続きを完了し、バスに乗ってロサンゼルス空港を目指します。

私の最後のミッションはトロフィー🏆を無事に自分の家に持って帰ること。WCSのトロフィーは過去に壊れた例もあるらしいですが、ピカチュウの耳やしっぽを見ていると確かに壊れやすそう。

トロフィーちゃんをバスの窓側に座らせ、大事に持って帰ります。ところが、トロフィーは手荷物として飛行機の機内に持ち込めないらしくフライト中は預けることになりました。空港の職員にくれぐれも大事に扱ってほしいと泣いて頼みます。

「何が入ってるの?」「優勝トロフィーです」「おめでとう!」「ありがとうございます!」というやり取りがありました。取扱注意のシールを何ヶ所にも貼ってもらいました。

現地時間の13時に飛行機に乗ります。


↑このイラストは決勝戦の翌日にかたやまさん(@kata2yama)からいただきました。細かいところも凝っていて、ポケモンと共に優勝した感のある、とても素晴らしいイラストです。

10時間の長いフライトでしたが、この世界大会を思い出しながら余韻に浸っているとあっという間でした。でも日本に着いたら翌日から仕事ということを考えると気が重い・・。しばらくWCSロスが続くことになりそうです。。

日本時間8月23日水曜日17時ごろ、成田空港に到着。全国各地から集まった日本代表団もここで解散です。別れを惜しみます。

私は成田空港から福岡空港に向かいます。福岡空港では家族が迎えてくれ、ありがたいことに私の住居まで車で送ってもらいます。途中、サービスエリアで久々の和食を食べます。

自宅に到着。果たしてトロフィーは無事なのか?ドキドキしつつ、トロフィーの梱包を解きます。

中身のトロフィーは・・無事でした!ホッとしました。ミッション完了です。トロフィーを部屋に飾ります。

こうして私のひと夏の冒険は終わったのでした。


終わりに

私がダブルバトルをはじめたのは10年前。その時の動画が今も残っています。

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ダイヤモンド・パールの発売から約1年が経った2007年7月16日。この日開催された「ポケモンリーグDP2007福岡大会」で私はダブルバトルの対人戦を初めて体験します。ダブルバトルはよく分からないけど公式大会は面白そう、1勝できたらいいなというノリでしたが、8連勝し、決勝戦まで進みます。決勝戦では負け、準優勝。全国大会には行けずに終わってしまうのですが、この日触れたダブルバトルの面白さ、大舞台で大勝負をする快感はずっと忘れられませんでした。この大会でミガワリさんやユウヤさんと会ったことががにゅーオフに参加するきっかけの一つとなり、ここから私はダブルバトル勢になります。

そんな2007年の夏から10年後の2017年の夏、私は世界大会決勝の舞台に立っていました。
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そして、優勝。ダブルバトルを始めてからちょうど10年経って世界一になったことはとても感慨深いです。

ダブルバトルには読み合いや立ち回りの楽しさ、公式大会の存在といった多くの魅力がありますが、私にとって一番の魅力はパーティ構築を考える楽しさでした。メタられる側のメジャーな構築を使うより、メタる側に立つ方が工夫のし甲斐があって好みです。環境に刺さるポケモンや戦術を考察し、それをランダムマッチで回して試行錯誤し、「勝てるパーティ」に育てていきます。この方法で勝つには環境の分析が欠かせず、誰も開拓していないポケモンや戦術は土台をイチから自分で作っていく必要があるので遠回りになることも多いですが、それも楽しみながらやっています。

世界大会で使った構築もまた、練っていて楽しいものでした。
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6匹のポケモンの誰が欠けても、24個の技のどれが欠けても、今回の優勝はありませんでした。そういう意味では今回の構築は成功だったと思います。煮詰めてきたこのパーティで優勝できたことが本当に嬉しいです。


来年の世界大会の開催地はナッシュビル。今年優勝した私は来年も出場権があり、リアルチャンピオン防衛戦を戦うことになります。

多くの強豪プレイヤーとまた熱いバトルができることを本当に楽しみにしています。

今年の世界大会レポートは以上となります。Day0、Day1編から始まり長い記事でしたが、最後まで読んでくださった方、ありがとうございました!