WCS2017アナハイム世界大会レポート Day3編

前:WCS2017アナハイム世界大会レポート Day2編
barudoru.hatenablog.com

Day3は世界大会の最終日。TCG及びVGC各カテゴリの決勝戦が行われます。(ポッ拳の決勝戦はDay2)私は過去二度の世界大会ではDay2のスイスドローラウンドで敗退し観戦席で応援する側でしたが、今年は決勝戦まで勝ち上がり、なんと対戦を行う側になりました。
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世界チャンピオンまであと1勝、決勝の相手はオーストラリアのSam選手。

世界大会レポート最終回となる今回は、決勝戦の選出や立ち回りについて考えていたこと、決勝戦前後と帰国までのエピソードを中心に書きます。続きを読むからどうぞ。

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WCS2017アナハイム世界大会レポート Day2編

前:WCS2017アナハイム世界大会レポート Day1編
barudoru.hatenablog.com

アナハイムに着いてから2日目。ポケモンワールドチャンピオンシップス2017Day2の日がやってきました。前日のDay1は観戦だけでしたが、この日からいよいよ参戦します。

今回は対戦レポートが主になります。ライブ大会ではバトルビデオを撮れない仕様になっており、記憶とメモをもとに書いているので、曖昧なところや事実と異なる箇所があるかもしれませんがご了承ください。続きを読むからどうぞ。

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WCS2017アナハイム世界大会レポート Day0、Day1編

6/18に行われた全国大会で優勝し、日本代表になった私はアナハイムで行われたポケモンWCS2017世界大会に参加してきました。

世界大会への参加は2年ぶり3度目。今年はDay2を勝ち上がり、Day3の決勝戦に勝利して念願の世界チャンピオンになることができました。

このレポートで世界大会の楽しさや熱気を伝えることができれば幸いです。

アナハイムでの1週間、本当に沢山のことがありました。これまでに書いた世界大会レポートと比べて非常に長い内容となるため、3,4回に分けて書きます。今回は世界大会1日目であるDay1と、その前日まで(Day0と呼ぶことにします)のレポートです。
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【ポケモンWCS2017優勝】サイクルワルビアル+自然Zエルフーン

ポケモンWCS2017アナハイム世界大会にて使用したパーティ。
Day2スイスドロー予選を5-2で勝ち上がり、トップカットを4連勝。
世界チャンピオンになることができました!

構築経緯と概要

ワルガラカグヤについて

世界大会は全試合BO3のマッチ戦形式で行われます。この形式においては初見殺しやコンボに依存したパーティは二戦目・三戦目で相手に対処されやすいことから威力を発揮しづらいと言えます。反対にサイクル戦に重きを置く構築は有利。プレイングで勝負できるため技や持ち物が相手にバレるダメージが少なく、相手の技構成や立ち回り方を観察して柔軟に手を打つことができ勝ち筋を練りやすいです。これは過去に出た世界大会の教訓でもあります(2015年はサイクルが回しにくく選出の幅に乏しい雨パーティだったため、マッチ戦形式の世界大会では振るわなかった)。

そのため今回はサイクル戦主体の構築を組むことにしました。アローラダブルでサイクル戦できる並びの中でも魅力を感じたのが、日本の環境で開拓されていたワルガラカグヤです。

この組み合わせの特徴はこのルールで最も使用率の高いウインディを採用せず、代わりの炎枠としてアローラガラガラを、代わりの威嚇枠としてワルビアルを採用していることです。アローラガラガラの特性ひらいしんによって、最強のアタッカーであるカプ・コケコをはじめ電気タイプの攻撃を難なく防ぐことができます。また、ワルビアルが威嚇と地震(地面Z)でウインディアローラガラガラを抑え込んでいるため炎タイプへの対応能力も高いです。相手の電気・炎タイプの動きを制限することでこちらのテッカグヤを最大限活かせるようになり、豊富な耐性と回復手段でサイクル戦を主導することができます。他にもそれぞれの弱点を補い合えシナジーする部分は多く、交代を駆使して有利な局面を築きながら戦える組み合わせです。

また海外での認知度の低さも活用できると思いました。レヒレツルギウインディ(AFK)やガブコケコカグヤウインディ(GACT)といった定番の並びと比べ、ワルガラカグヤの並びは海外ではほぼ知られていませんでした。実際、Day2でワルビアルを使っていたのは81人中私だけでした。定番の並びに対しては相手も立ち回りを練習していることが多く交代読みをされて崩壊しやすいのに対し、普段見ない並びであれば初見の相手は立ち回りに手こずりサイクルでハメやすいと考えました。

ワルガラカグヤの物理3匹では倒しづらいウインディバンバドロに対する打点として、そして避雷針を活かすために採用したいのが水タイプ。この組み合わせの水枠としてはミロカロスが使われることが多いですが、ウインディに過剰なメタを張る必要はあまり感じず、より攻撃範囲が広く、フィールドの書き換え、状態異常対策も可能なメガネレヒレを添えることにしました。
弱点の電気・草・毒技を避雷針と交代で回避しつつ、有利対面で一貫性の高い水・フェアリーの全体攻撃を撃ち込むスタイルは扱いやすく強力です。単体攻撃技の威力も高く、ワルビアルのジメンZと絡めて相手のレヒレ・ブルルを倒すことでアドバンテージを稼ぎます。拘り眼鏡を持っていると守るを使えず、デンキZなどの初見殺しを受けやすい欠点はありますが、BO3形式故に初見殺しのダメージはある程度リカバーできるのもポイント。

自然Zエルフーンについて

ワルガラカグヤ+レヒレの構成には下記の3つの弱点があります。

1つめとして、この4匹は素早さと火力が不足気味なため、受け身になりがちで相手の高速ポケモンに上から殴られたり、積み技を使う猶予を与えがちなこと。ガブリアスは特に天敵であり、地面Zを絡めた集中攻撃でレヒレを突破されたり、剣の舞でサイクル戦をぶった切られる展開になりやすいです。

2点目として水タイプを弱点とすること。雨パーティやレヒレギャラドスやトリルオニシズクモには苦戦を免れません。

3点目としてZ技使用枠がワルビアルであり、このポケモンは弱点が多くキュウコン+コケコや雨パーティ、威嚇の刺さらない特殊偏重な構築など選出したくない相手が存在すること。ワルビアルの選出を控えた場合、Z技なしでマッチを戦うことになりパワー不足に陥りがちです。

これらの欠点を克服するにあたり、エルフーンを採用してフィールド+自然の力Zギミックを取り入れるのが最適だと考えました。

ワルガラカグヤの天敵となる前のめりな構築や積み技を使う構築に対して、自然の力・追い風・甘えるを優先度+1で繰り出せるエルフーンは相性が良いです。ミストフィールド下の自然の力Z(ラブリースターインパクト)によりスカーフ型も含めたガブリアスを対策でき、エレキフィールド下では水タイプに対する打点を持つことが可能。第二のZ技使いとして、ワルビアルを出しづらい相手にも選出していけます。パーティにフェアリーが3体となり毒タイプに弱い問題を抱えることになりましたが、ワルガラカグヤがいずれも毒耐性を持つことからカバーできるなど、両ギミックはうまく相性補完し合ってくれます。

要約するとワルビアルを軸にしたサイクル戦をメインの勝ち筋とし、それでは対処できない高速アタッカーや天候、積み系に対してはエルフーンを選出し自然の力・追い風で戦うというのがこのパーティの戦略方針です。WCS2017環境では使われるパーティが多彩で、各国からプレイヤーの集う世界大会となれば幅広い構築を意識する必要がありました。「ワルビアルを軸にしたサイクル戦」と「エルフーンを軸にした速攻」の2つの軸があることは多種の構築にメタを張るうえでとても有用でした。


個別解説

能力値
HP-こうげき-ぼうぎょ-とくこう-とくぼう-すばやさの順

努力値
H→HP / A→こうげき / B→ぼうぎょ / C→とくこう / D→とくぼう / S→すばやさ

カプ・レヒレ
【だくりゅう、ムーンフォースマジカルシャインれいとうビーム@こだわりメガネ/ミストメイカー】
171-☓-135-156-150-117 (H204,C212,S92) ひかえめ

C:相手のカプ・レヒレ(H175-D150)をムーンフォースで乱数2発 (84.8%)

このパーティの主砲。有利対面を作って、一貫性の強い水・フェアリーの全体技を撃ち込むことでダメージを稼いでいきます。特に濁流で拘ればウインディや鋼への交換を抑止できるため、エルフーンのラブリースターインパクト等も通しやすくなったり、威嚇を恐れずにテッカグヤ等の物理技を繰り出すことができます。

フィールドを取るのも重要な役目であり、エルフーンの自然の力のトリガーとなります。また、エレキ・サイコ・グラスフィールドを消して相手カプの火力を下げることでガラガラやテッカグヤの場持ちを助けます。

オードソックスなタイプ一致技3つに加えて、冷凍ビームを持たせました。仮想敵はカプ・ブルル。HAブルルなら8割以上、Dに大きく振っているものでも6割以上削ることができ、ワルビアルの地面Zなどと合わせて倒しきることができます。その他、チョッキボーマンダやD特化ガブリアスなど、眼鏡ムーンフォース耐え調整を施したドラゴンタイプを一撃で倒せるのも便利です。

黒い霧は持たせていませんが、イーブイバトンは環境に少なく、当たっても力負けすることはあまり無いので不要と判断しました。

ヒレの素早さは無振りテテフ(S115)を抜かないよう114以下にするのが主流ですが、ほとんどのテテフは準速ペリッパー抜きの118まで振っているものと考えます。したがって114で止めるよりは117まで引き上げ、レヒレミラーで上を取れる可能性を引き上げた方が良いと判断しました。想定通りレヒレミラーではほぼS勝負に負けず、先手でムーンフォースを当てることにより次のターン縛れるようになったり、追加効果を引いて特攻を下げることでダメージレースに勝つなど大いに役立ってくれました。


ワルビアル
【じしん、かみくだく、ちょうはつ、まもる@ジメンZ/いかく】
175-176-101-☓-101-138 (H36,A180,B4,D84,S204) いじっぱり

H:16n-1
A:カプ・コケコ(H146-B105)をダブルダメージ地震で乱数1発 (93.8%)
D:カプ・コケコ(C147)の眼鏡マジカルシャインダブルダメージを確定耐え、テッカグヤと並べた際に相手ポリゴン2のダウンロードで攻撃が上がるよう調整
S:準速85族抜き

ガブリアスと比べ種族値は劣るものの、威嚇があるためサイクル戦に向いており、レヒレテッカグヤの補佐に適しています。
氷が4倍弱点でないため、ポリゴン2ウツロイドの前で動かしやすいのもガブリアスには無い利点。イカサマ半減と挑発によって、世界大会で使用率の高かったバルジーナペルシアンにも刺さりました。

エルフーンとの選出の使い分けについては後述しますが、こちらは主にAFKやポリギガ、毒タイプ入りのスタンに対して選出することになります。持ち物をはたき落とされないこともあり、ベトベトンへの対応能力は非常に高いです。ウインディボーマンダと比べて岩技に耐性があり、ギガイアスに対して受け出ししながら威嚇を撒けるのも便利でした。

地震は地面Zのベースとしても強力な主力技。噛み砕くはその地震を(味方を巻き込むため)撃ちづらい状況での単体技として出番があります。挑発はバルジーナポリゴン2に対して使いたい技。積み技封じにも有効で、拘ったレヒレを起点に鈍いや瞑想を積まれる事態を回避できます。

ウインディを意識して素早さには気持ち多めに振りましたが、世界大会では遅いウインディが目立ったため、耐久の方に努力値を回しても良かったかもしれません。


エルフーン
【しぜんのちから、おいかぜ、あまえる、まもる@ノーマルZ/いたずらごころ
167-☓-105-141-96-136 (H252,C252,D4) ひかえめ

C:カミツルギ(H135-D51)、カプ・コケコ(H145-D95)をラブリースターインパクトで確定1発

自然の力Zはフィールドに応じた攻撃技となり、それを悪戯心により優先度+1で繰り出します。

ミストフィールド下ではムーンフォースとなり、Z技は威力175。ガブリアスはもちろん、耐久面に無振りのカプ・コケコも落とすことが可能。これらに縛られやすい眼鏡レヒレにとってはありがたいサポートとなります。カミツルギに関してはD振りや襷も多いため一撃で落とせることは少ないですが、ダメージを蓄積させておくことによってコケコで後から縛れるようになります。

エレキフィールド下では10万ボルトとなり、こちらもZ技は威力175。エレキフィールドの影響で1.5倍に強化されるため、タイプ一致のラブリースターインパクトと同等の火力を出せます。HP振りのカプ・レヒレオニシズクモを一撃で落とすことができ、対テッカグヤ(204-143)は高乱数1発 (75%)といったところ。フワライドは耐久無振りならシード込みでも倒すことができます。奇襲性が高く、パーティに乏しい水への打点を補うのに役立ってくれました。

以上のように自然の力Zは柔軟性、火力とも申し分ない性能ですが、相手からフィールド操作を受ける展開には注意しなければなりません。ガブリアスに向けてラブリースターインパクトを撃ちにいったところ、隣をコケコに交換されてスパーキングギガボルトに変えられてしまった・・というのはありがち。また、フィールドの5ターンが切れると自然の力はトライアタック(Z技威力160)となりタイプ不一致かつフィールドの恩恵もないため大幅に弱体化します。この点終盤は活躍しづらく、コケコのような「削った相手を一掃する役」としては不適です。先発から出して暴れたいところ。

追い風は優先度+1で繰り出せるため妨害を受けにくく、強力なS操作として機能します。防御寄りなパーティを前のめりに切り替えるスイッチのようなものであり、勝ち筋の1つとして多くの試合で役に立ってくれました。

甘えるは、相手の物理攻撃を弱めて味方の縛りを解除でき、耐久重視のこのパーティと噛み合うために採用しました。例として相手のスカガブに縛られているコケコ、カミツルギに縛られているレヒレ等を動かしやすくなります。ウインディに甘える場面は多く、フレアドライブの火力を下げることでこちらのテッカグヤを落とすのを困難にさせます。また、カビゴンの鈍い、カプ・ブルルのビルドアップなど積み技への対抗も可能。エルフーン自身を長持ちさせるのにも役立ち、相手のテッカグヤウインディに甘えるを通しておけば一発は攻撃を耐えてくれるようになります。

技スペースの都合上、アンコールや日本晴れは切らざるを得ませんでした。
特にアンコールがないことは積み技への対抗上不便ですが、
・技構成を知らない相手であればエルフーン=アンコール警戒して積まないことも多い
・鈍いやビルドアップを使った強化には甘えるが追いつく
・Z技によるアンコール回避という抜け道があるため確実な手段ではない
という3点から切っても問題ないかという判断に至りました。

テッカグヤ
【ヘビーボンバー、かえんほうしゃやどりぎのタネ、まもる@たべのこし/ビーストブースト】
199-122-143-114-144-89 (H212,A4,B156,D76,S60) しんちょう

H:8n-1
B:ウインディ(A178)のフレアドライブを高乱数耐え(93.7%)
BD:ワルビアル、ガラガラと並べた際ポリゴン2のダウンロードで攻撃が上がるよう調整
S:追い風下で最速カミツルギキュウコン(S177)抜き

高い耐久力と恵まれた耐性、豊富な回復手段を持つサイクル戦の中核。フェアリーの苦手分野であるカミツルギウツロイドに対して強く、フェアリー技と草技への耐性からワルビアルとのシナジーも抜群です。避雷針、ミストメイカー(によるエレキフィールド打ち消し)、威嚇、甘えると耐久面のサポートを味方から多くもらうことができ、やどりぎのタネによる回復を活かした詰ませ役としても働きます。

ウツロイドなどを即処理するためヘビーボンバーを持たせて物理メインにし、カミツルギを焼くために火炎放射を持たせています。
慎重な性格にして火力を下げてもカミツルギは倒せるので問題ないです。やどりぎのタネはこのポケモンの強みの一つとして必須で、それと噛み合う守るも当然持たせました。

持ち物は食べ残し。回復量ではピンチベリーに劣りがちですが、交替出しの際に受けたダメージを回復し満タンに近いHPを維持し続けることで「ウインディフレアドライブ耐え」を崩されず動かしやすくなるメリットがあります。もちろん宿り木回復による詰めを狙うのにも役立ち、準決勝1戦目で活きています。

ビーストブーストでBを上げるようにすべきか、Dを上げるようにすべきかは迷いました。Bを上げることでフレアドライブへの耐性を付けるのも魅力的でしたが、それ以外に役立つ場面が少なく、ポリゴン2テッカグヤトリトドンとの泥試合でも有利となるD上げを選ぶことにしました。


ガラガラ
フレアドライブ、シャドーボーン、かわらわり、まもる@ふといホネ/ひらいしん
167-103-131-☓-132-75 (H252,A20,B4,D156,S76) しんちょう

A:ウインディ(H197-B101)をシャドーボーンで確定2発、テッカグヤ(H204-B143)をフレアドライブで高乱数1発(81.3%)
HD:カプ・レヒレ(C161)の眼鏡(or瞑想1回)濁流ダブルダメージを確定耐え、カプ・テテフ(C182)のフィールドなしエスパーZを確定耐え
D:11n,テッカグヤと並べた際に相手ポリゴン2のダウンロードで攻撃が上がるよう調整
S:無振りベトベトン(S70)+6、追い風下で準速95族(S147)抜き

避雷針により相手の電気を腐らせられるのが強く、レヒレテッカグヤの補佐に欠かせないポケモン。タイプ相性で有利な相手は多く、コケコ、カミツルギポリゴン2テッカグヤウインディ等からはほとんど打点を受けないので、テッカグヤのような詰ませ役にもなります。エルフーンの自然の力Zでガブリアスやレヒレを倒すことに成功すれば、このポケモンで詰めて勝ち、ということにもなり得ます。フェローチェポリゴンZから打点を受けにくいところも評価しています。

タイプ一致技のフレアドライブとシャドーボーンは役割上ほぼ必須。3つめの技にはホネブーメランを覚えさせるのが一般的ですが、命中不安もあってあまり撃ちたい場面がありませんでした。トゲデマルは避雷針によって置物になるし、襷ウツロイドについてもパワージェムを一度耐えなければなりません。身代わりも検討しましたが、フレアドライブの反動とあいまってHPをゴリゴリ削られるのが厳しいです。

一方、この構築では壁+カビゴンが非常に辛く、天候を変えられないこともあってオーロラベールを止められません。その対策のために瓦割りを仕込むことにしました。アローラガラガラキュウコン+カビゴンバイバニラ+サンドパンの組み合わせに対しても出しやすいため、有効な対策となります。Day2ではこの技の出番が一度もありませんでしたが、Day3の決勝戦で最大の見せ場を得ました。

場持ちを重視し、慎重HDに近い努力値配分にしています。素早さに多く振ったのはガラガラミラーも意識。50族であるベトベトンハリテヤマを抜きたかったためというのもあります。これらに上を取られてはたき落とすで太いホネを落とされ、火力を大幅に損なう展開は避けたいです。



カプ・コケコ
10まんボルト、ほうでん、マジカルシャイン、まもる@いのちのたま/エレキメイカー】
145-☓-105-161-96-182 (C252,D4,S252) ひかえめ

高い素早さと火力、全体技を活かし、体力の少ない相手を一掃していきます。序盤にレヒレで削り、終盤にコケコで一掃するのは主要な勝ち筋の1つです。エレキフィールドを展開してエルフーンスパーキングギガボルトを撃たせることも含め、水タイプへの打点として重要な存在です。

定番のタイプ一致技、10万ボルトとマジカルシャインで広範囲を縛ります。そして放電は下記の通りこのパーティや環境とマッチする技。
・味方・及び相手の避雷針に妨害されない。世界大会では避雷針の使用率が非常に高かったため刺さった試合は多い。
・麻痺を狙える。相手のカミツルギウツロイドが麻痺してくれたら、こちらのレヒレとの優劣が逆転して圧倒的なアドバンテージ。
エレキフィールド下ではマジカルシャインより1.5倍威力が高く、ワルビアルエルフーンを横に置いた場合でも巻き込みやすい。

一方でボルトチェンジを持たせていないためフィールドの取り合いには弱く、先発出しはあまりしません。

スイーパーの役割を重視し、持ち物を命の珠、性格を控えめにして火力を最大限上げるようにしました。

主な選出

2Z構築であり、ワルビアルエルフーンは原則として同時選出せず、相手のパーティに応じてどちらかを選ぶことになります。また、多くの場合は先発レヒレ、後発テッカグヤの形を取ります。マッチ戦では型にはまった選出をすると相手に対策を打たれるので、二戦目以降は様々な出し方をしていました。出し方の多様さもサイクル構築、2Z構築の強みだと思います。

ワルビアルを選出する場合
 ◆先発:+
 ◇後発:+or
AFKやポリギガ、毒タイプ(ベトベトンウツロイド)入りのスタンダード構築に対してはワルビアルを選出します。

ヒレの全体技を軸に相手を削っていき、最後にコケコで一掃、もしくはテッカグヤで詰ませる勝ち筋を狙います。相手の初手がウインディ+レヒレの場合、威嚇込みの地面Zと眼鏡ムーンフォースでレヒレを集中攻撃して倒しにいくことが可能です。(威嚇で攻撃が下がったワルビアルの地面Zで相手のレヒレは6割程度削れます。これならウイのみが発動しないため、後続のムーンフォースでぴったり落とすことができます。)

AFKとのマッチ二戦目では相手がワルビレヒレを意識してカミツルギを初手に置きやすくなるため、先発にガラガラorテッカグヤを置いて迎え撃つなどしていました。


エルフーンを選出する場合
 ◆先発:+
 ◇後発:+or
フワライド系、雨パ、GACT、積み技軸の構築に対してはエルフーンを選出することが多いです。エルフーンの自然Zによってコケコ・ガブを縛ったり、甘える・追い風を使ってレヒレをサポートするほか、レヒレ→コケコバックしてスパーキングギガボルトで水タイプを奇襲したり、エルフーンをガラガラに引っ込めて避雷針で電気技を防ぐなど、多彩な動きができます。


Day2トップカット、Day3決勝戦 配信試合

■トップカット1回戦 vs たき選手(日本)

ポケモン 世界大会 WCS2017 top16 Day2【ポケモンワールドチャンピオンシップス2017】

■準々決勝 vs Nils Dunlop選手(スウェーデン

ポケモン 世界大会 WCS2017 top8 第一試合 Day2【ポケモンワールドチャンピオンシップス2017】


■準決勝 vs SNOW選手(日本)

ポケモン 世界大会 WCS2017 準決勝 Day2【ポケモンワールドチャンピオンシップス2017】


■決勝 vs Sam Pandelis選手(オーストラリア)

ポケモン WCS2017 世界大会 決勝戦 マスターカテゴリ 【アリーナ席最前列】


下記の大会レポート記事で対戦内容の解説なども行っています。こちらもぜひご覧ください。
barudoru.hatenablog.com
barudoru.hatenablog.com

【WCS2017全国大会優勝】雨アマガブ

WCS2017ジャパンチャンピオンシップスで使用したパーティ。
インターネット予選を総合27位で通過し、6月18日に行われたライブ大会で優勝。
日本一になることができました!

QRレンタルチーム(PGL)

概要

ぺリゴルによる選出誘導

第七世代で雨パには水Zとあめふらしペリッパーが加わり、「すいすい+スーパーアクアトルネードで相手1匹を縛りながら追い風を展開する」という強力な勝ち筋のもと動けるようになりました。この並びに対して、相手は先発で出し負けないようにすることが必須となります。選出画面でプレッシャーを与えて選出を誘導するにはうってつけです。

一方、WCS2017はアローラ図鑑ポケモンのみが使用可能な「制限ルール」であり、雨対策ができるポケモンのバリエーションは限られていると言えます。主に下記のポケモンが雨パ対策として採用されます。

選出画面でぺリゴルを見せてこれらのポケモンを先発に誘い有利な組み合わせで迎え撃つ。このコンセプトで構築を考えたとき、最もフィットする並びがアマージョ+スカーフガブリアスでした。

アマージョ+ガブリアスについて

同タイプのカミツルギカプ・ブルルと比べ種族値や特性で見劣りしがちなアマージョですが、このポケモンには「味方のガブリアス地震に巻き込みやすい」という長所があります。(カミツルギは地面技が等倍で、ブルルはグラスフィールドでこちらの地震を弱体化させてしまう)。スカーフガブリアス地震に巻き込みながら攻撃を選択できることで、以下のように雨対策として用いられるポケモン達に対して強い動きができます。

1,フェイント+地震

フェイントで守るやワイドガードを崩しながら地震を通すことができます。少量でもフェイントのダメージがあることが重要で、カプ・コケコの耐久調整を崩したり、ウツロイドの襷やトゲデマルの風船を割ることができます。

2,格闘Z+地震

飛び膝蹴りベースの格闘Zは威力195に達し、地震とあわせてポリゴン2を倒すことができます。ハリテ+ポリ2など、トリル補助の猫だましも女王の威厳により封じて集中攻撃を通すことが可能。

ただし、物理耐久に非常に多く振っているポリゴン2は集中しても落ちない場合があります。格闘Z+地震の集中攻撃で輝石持ちポリゴン2が落ちる確率の目安は下記の通り

集中攻撃をかけて落としきれない事態は本来なら不味いですが、それだけ防御に配分しているポリゴン2は特攻にほとんど努力値を割いていないため冷凍ビームで反撃されてもガブリアスは耐えるはず。ポリゴン2の体力がミリ残しなら次のターンアマージョのフェイントで縛れる点、メタグロスが控えているためポリゴン2にトリルを貼られても切り返せる点も考えるとさほど問題はないかと思いました。

3,トロピカルキック+地震

ポリゴン2と同じく雨パーティに対して初手で出てきやすいカプ・レヒレを、トロピカルキック+地震の集中で倒すことができます。レヒレは一般的に素早さを115以下にしているので(無振りカプ・テテフを抜くとフィールド合戦に負けるため)、こちらのアマージョ(S119)で抜いて上から殴ることができます。カプ・レヒレの隣にはトゲデマルが置かれることが多いですが、女王の威厳で猫だましを無効化しているうえに地震が4倍で通るのでほぼ置物となります。


構築を組んだ当初はガブリアスの相方としてマッシブーンを採用していました。しかしガブブーンの並びはマジカルシャインで一掃されます。「上を取って強引にフェアリーを倒してマジカルシャインを止める」方針で何とかできていた頃もあったものの、耐久調整コケコや「猫だまし+レヒレ」が環境に増えたことで難しくなりました。よりよい組み合わせを探していたところアマージョに行き着いた、というのがこの組み合わせに至った経緯です。

マイナーなポケモンであり種族値や技については相手も知識が無いことが多く、フェイントや格闘Zによる初見殺しは痛快でした。

威嚇に対する考え方と地面の一貫性

このように物理二匹で力押しをする戦術は通常のダブルバトルなら「いかく」により止められてしまう可能性が高いです。しかし、アローラダブルの威嚇枠は9割がウインディ

炎タイプであるウインディはペリゴルに対して初手で出てくることは非常に少ないです。選出される場合は基本的に後発に置かれますが、アマガブに対してウインディへ交代して威嚇を撒こうものならガブリアス地震が直撃します。威嚇込みのダブルダメージ地震で大半のウインディは確定2発であり(高確率でフィラのみ圏内に入らない)、最後っ屁の神速も女王の威厳により封じることができます。よって、ウインディへの交換で威嚇を撒かれてもダメージレースで不利にはなりません。

加えてこのルールでは優秀な浮遊持ちが少なく、地面の通りが非常に良いです。飛行タイプや浮遊持ちが控えていないパーティでは、ガブリアス地震を交代によって凌ぐのは困難。これらの点から、アマガブに対して「出し負け」をした相手は交代で体勢を立て直すのが難しいと言えます。


初手でこちらがアマガブを出し、雨対策選出と対面したらガッツポーズ。「威嚇枠がウインディ」で「地面技が一貫する」このルールの一般的なスタンであれば交代でアマガブの攻撃を凌ぎきることはできず、「出し勝ち」を利用して初手から一気に畳みかけることができます。

ぺリゴルを選出すべき相手について

ヒレ・ツルギ・ウインディを軸にした雨パ対策満載のAFKスタンにはアマガブを選出することが多いのに対し、コケコ・ガブ・カグヤ・ウインディを軸として組まれるGACT系のスタン構築に対してはぺリゴルをメインに選出を組むことが多いです。アマガブではテッカグヤが面倒なこと、大抵のGACTは雨対策が薄いためです。この場合の選出は「主な選出」の項で後述。

また、雨パミラーやフワライド、バルジーナ系など追い風中心の構築に対しても主にペリゴルを出していき、こちらも追い風を張って対抗します。これらの仮想敵を意識してペリッパーゴルダックの両名は臆病最速にしています。最速にすることでペリゴルミラーで有利に立ち回れるのはもちろんですが、ゴルダックが最速フワライドの上をとれるため、日本晴れより先にスーパーアクアトルネードを撃ったり、アンコールを仕掛けていくことが可能になります。

個別解説

ペリッパー
【ねっとう、ぼうふう、おいかぜ、まもる@きあいのタスキ/あめふらし
135-×-120-147-91-128 (C252,D4,S252) おくびょう

あめふらし要員。ゴルダックの強化はもちろん、アマージョメタグロスに対する炎技の軽減、スカガブの地震透かし、追い風によるS補助、など味方と多くのシナジーを発揮してくれます。暴風により、アマガブやゴルダックにとって面倒なカプ・ブルルマッシブーンを片付けてくれるので攻撃範囲の相性も優れています。

飛行技は当然雨と相性の良い暴風で、水技は熱湯を選択。最近はポリゴン2を集中で落とすための潮水が流行っていますが、このパーティにはポリゴン2対策要員が多く存在するため熱湯で十分と考えました。熱湯と暴風の追加効果発動確率は高く、頼りになります。

追い風を使えることもペリッパーの利点であり、ゴルダックの水Zで片方を縛りながらS操作を仕掛けるのが強力です。相手の追い風にも対抗でき、すいすいゴルダックの上を取ることを許しません。

性格を臆病にして最速にしたのは、主にミラー意識。加えて追い風展開後、確実にスカーフガブリアスを抜けます。115-130近辺は素早さの激戦区であり、素でウインディカプ・ブルルマッシブーンなどを抜ける可能性も高くなるため、最速にしておくことが役に立つ状況は多々あります。


ゴルダック
ハイドロポンプ、ねっとう、アンコール、まもる@ミズZ/すいすい】
155-×-98-147-101-150 (C252,D4,S252) おくびょう

キングドラやルンパッパの使えないこのルールでは定番のすいすい雨アタッカー。命中不安なハイドロポンプはあくまで水Zのベースとしてのみ考え、熱湯と両立することにしました。(水Zはハイドロポンプベースで威力185、熱湯ベースで威力160と威力が25違います)

アンコールはバルジーナやフワライドに刺さる技。これらの追い風・日本晴れをアンコールして交代を強要すればシードや軽業も帳消しにできます。水Z警戒の守るも狙い目です。冷凍ビームを切ったことにより攻撃範囲が狭くなりますが、対ドラゴンはコケコのシャインとガブのドラクロ、対草はペリッパーの暴風でそれぞれ補えると考えました。

性格を臆病にした理由は前述のとおり。雨が降っていない状態でも実数値150のSで動けるため、天候を取られた場合や雨が止んでしまった状態でも戦いやすくなります。


アマージョ
トロピカルキックとびひざげり、フェイント、まもる@カクトウZ/じょおうのいげん】
149-187-119-×-124-119 (H12,A236,B4,D44,S212) いじっぱり

A:11n
BD:ガブリアスと並べた際に相手ポリゴン2のダウンロードで特攻が上がらないよう調整
S:準速ペリッパー+2

味方のスカーフガブリアス地震に巻き込める、草タイプのアタッカー。レヒレトリトドンポリゴン2カビゴンらに刺さる草+格闘の攻撃範囲は雨パーティにとって重宝します。

女王の威厳は疑似サイコフィールドであり、猫だましを封じることで集中攻撃を通しやすくなります。パーティに高速低耐久ポケモンが多いため、体力が減って先制技で縛られる状況を回避できるのも優秀でした。サイコフィールドとの違いとして、自身と味方はフェイントやバレットパンチといった先制技を自由に使えます。

固有技トロピカルキックの追加効果が役に立つのは主にミミッキュオニシズクモバンバドロを上から殴るとき。交代先にも一貫し、テッカグヤウインディの攻撃を下げて有利な展開を作れる場合があります。

S115~118付近はこのルールのメジャーポケモンが多数存在する激戦区なのでそこから抜け出せるよう素早さに多く振っています。一般的な配分のレヒレはもちろん、ウインディも抜けてしまうことがあります。


ガブリアス
【じしん、いわなだれ、ドラゴンクロー、かえんほうしゃこだわりスカーフ/さめはだ】
183-198-115-90-111-151 (A236,D44,S228) いじっぱり

A:11n
BD:アマージョと並べた際に相手ポリゴン2のダウンロードで特攻が上がらないよう調整
S:スカーフ込みで最速フェローチェ+2

パーティに威嚇持ちがいないのでワルビアルも候補に挙がりそうですが、カミツルギに弱い点と打点不足がどうしてもネックなのでガブリアスを選びました。地面技の一貫するこのルールにおいてスカーフガブリアス地震は最高の全体技。アマージョをパートナーにすることにより、天敵であるポリゴン2やレヒレにも圧力をかけていくことができます。

ドラゴンクローはタイプ一致技としても使いやすく、ゴルダックが冷凍ビームを持っていない分の対ドラゴン打点を補えます。カミツルギを命中100で安全に焼くために炎のキバではなく火炎放射。あとはスカーフと絡めて強い岩雪崩を持たせています。

防御振りのポリゴン2により大きなダメージを与えたり、耐久調整コケコをフェイントなしでも落としやすくするため、性格・努力値配分は攻撃に寄せています。


メタグロス
【コメットパンチ、しねんのずつきアームハンマーバレットパンチとつげきチョッキ/クリアボディ
183-203-151-×-116-86 (H220,A236,B4,D44) いじっぱり
※S個体値23
H:8n-1
A:コメットパンチ+バレットパンチで145-105カプ・コケコを高乱数で倒せる(99.31%)
HB:A156ミミッキュのゴーストZ(威力140)を高乱数耐え(68.7%)、A178ウインディフレアドライブを高乱数耐え(75%)
S:アームハンマー1回で最遅ポリゴン2を下回る

ライブ大会で10戦全てに選出して活躍したMVP。上位で流行したブルルロイドやポリ2ガイアをはじめ刺さる並びは多く、このポケモンをうまく守って暴れさせることができれば相手に大きな損害を与えられます。味方のペリッパーとは相性抜群で、雨によって炎技を軽減してもらったり、ライジングランドオーバーを透かしてもらえます。

このルールで定番の鋼枠であるカミツルギテッカグヤと比べ、メタグロスのメリットになるのはバレットパンチの存在と、ポリ2ガイアへの対抗しやすさです。バレットパンチによってペリゴル・アマガブの両方にとって厄介なアローラキュウコンを簡単に始末できます。ポリ2ガイアに対しては、カミツルギならめざ炎で焼かれたり、テッカグヤなら岩技で押し切られてしまいますが、メタグロスなら基本的に押し負けません。また素早さ個体値を23にし、アームハンマー1回でポリゴン2の下をとれるようにしています。

持ち物には弱点保険や半分回復の木の実も候補に挙がりますが、特殊方面のZ技を確実に耐える耐久が欲しかったためチョッキを選びました。コケコの攻撃を耐えてコメットパンチ+バレットパンチで返り討ちにできます。クリアボディによる威嚇無効と強靭な物理耐久により、ウインディとも戦いやすいです。雨が降っていなくてもフレアドライブを1発は耐えるため、「隣をギガイアスに交換して雨を消しながらフレアドライブ」はケアできます。ただし鬼火には注意。


カプ・コケコ
10まんボルトマジカルシャイン、エレキボール、まもる@いのちのたま/エレキメイカー】
145-×-105-161-96-182 (C252,D4,S252) ひかえめ

バルジーナ・フワライド・テッカグヤといった特殊耐久の硬い飛行、こちらの水技が通りにくい水とドラゴンへの打点を担います。このパーティのカプ枠であり、ブルルやテテフのフィールドを奪うのも大事な役目。アマガブのカモであるトゲデマルや、ぺリゴルのカモであるガラガラといった避雷針ポケモンを誘う働きにも期待しています。

3枠目の技にはボルトチェンジや雷、放電、挑発、めざパ、吠えるなどの選択肢があり、インターネット予選では日程ごとに技を変えて色々試していましたが、最終的にエレキボールを選びました。これによりカビゴンギガイアスなど雨パーティで重くなりがちな鈍足ポケモンに特大の打点を持てます。エレキボールの威力はS45以下の最遅カビゴンギガイアスに対しては150、S60以下の最遅ポリゴン2ヤレユータンには120の威力となります。ポリゴン2は最遅でないものもいますが、その場合でも威力80は確保できるため撃っていく価値はあります。

性格は控えめ。命の珠も持たせて火力重視にしています。スカガブ、ゴルダックで相手のコケコを縛れることや追い風の恩恵を受けることを踏まえると最速にする必要は無いと判断しました。また、最速にしないのは一見エレキボールとアンチシナジーですが、主要な仮想敵である最遅カビゴンギガイアスポリゴン2ヤレユータンへのダメージは変わらないため問題ありません。


主な選出

パターン1

先発+
後発+or
相手のぺリゴル対策にカウンターする選出。レヒレカミツルギウインディを軸とするAFKや、トリトドンポリゴン2を入れて雨対策を厚くしているタイプのGACTに対して主に選出します。ドーブル系に対してもこの並びを出していき、フェイントと女王の威厳を駆使してドーブルの守りを打ち破ります。

パターン2

先発+or
後発+
後発にぺリゴルを置くタイプの選出。
雨対策薄めのGACTスタンやドレコーなどに対してこの選出を選ぶことが多いです。相手の雨対策ポケモンにダメージを与えて、ぺリゴルで一掃することを念頭に置き立ち回ります。ただし、キュウコンギガイアス入りのスタンに対してはゴルダックは選出しないようにし、天候依存を抑えるのが無難。

パターン3

先発+
後発+or
先発にぺリゴルを置くタイプの純雨選出。フワライド・バルジーナを軸とした追い風構築やぺリゴルミラーにはこの選出で戦いたいところです。

ライブ大会決勝トーナメント 対戦レポート

ライブ大会ではスイスドロー予選を4勝2敗で8位通過し、決勝トーナメントに進みます。決勝トーナメントの試合は全て配信台を引きました。3戦とも予選の再戦であったうえ、昼休みに公式でパーティの中身が公開されていたため、構築や戦い方はお互いに知っている状態でした。

【準々決勝】 vs てるるん選手

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初手にポリゴン2が来ると考え、それに圧力をかけるためぺリアマの初手を出したものの見当違いでした。トリル要員が二匹となればトリル起動を止めるのは困難、かつトリルアタッカーがオニシズクモであるためメタグロスでも対処が難しい、ということでこちらは非常に苦しい立ち回りを強いられることになります。しかし相手の選出にはペリッパーが刺さっていました。ペリッパーにとって脅威となるポリゴン2をまず処理し、集中攻撃を守るで防ぐ、火傷して役割を失ったメタグロスをクッションに使うなどしてトリルターンを凌ぎきり、最後にペリッパーで相手を制圧して勝ち。アマージョが麻痺したのは結果的に幸運でしたし、一つでも択を誤れば負けに直結する激戦でした。

【準決勝】 vs くいたん選手

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地面耐性のある二匹を並べ、ギガイアスを腐らせながら戦う方針。砂がくれガブリアスに集中攻撃するのはリスキーですが、それゆえ逆に守るは押されないだろうと予想(?)。チキってペリッパー引きをして砂隠れを消そうとすれば、交代読みで岩雪崩を撃たれる危険もあります。相手のガブリアスに対して両方当てれば爆アド、ドラゴンクローだけでも当たってくれれば死に出しペリッパーから次のターン両縛りにできると考えて集中攻撃。両方当てたので初手から一気に優勢となり勝ち。

【決勝】 vs じーん選手

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水技が一貫しているうえ、バルジーナ入りの追い風構築ということでこちらは雨選出。ペリゴルコケコの三者バルジーナを放置しながら片方を攻撃し続ければ有利に戦えると考えました。初戦は初手で択に勝ってブルルを倒し、その後もバルジーナ放置で2:1を取り続けて勝利。

二戦目、2T目のアンコール貫通草Zは頭から抜けていたので焦ったものの、バルジーナ放置を続行して追い風ターンを凌ぎ切ります。10万ボルトでバルジーナを落としきれたのが大きく、あとは先制技とコケコの素早さでひたすら上を取って勝利。

おわりに


ライブ大会で優勝し、日本一になることができました。
全国大会では3年前の2014年に準優勝、2年前の2015年に3位とあと一歩で日本一を逃し続けてきたため念願の優勝です。国内予選は主にBO1で行われるため雨パーティによる選出誘導が想定通りに決まったこと、またトップカットの上位勢に対してはペリグロスが非常に刺さっていたことが今回の優勝の決め手だったと思います。

しかし、次のステージである世界大会は全試合マッチ戦形式であり、この構築のコンセプトはあまり通用しないと考えます。マッチ戦向けの新しいパーティを練り、マッチ戦の立ち回りを練習し、万端な準備をしてアナハイム世界大会に臨みたいと思います。