【WCS2017全国大会優勝】雨アマガブ

WCS2017ジャパンチャンピオンシップスで使用したパーティ。
インターネット予選を総合27位で通過し、6月18日に行われたライブ大会で優勝。
日本一になることができました!

QRレンタルチーム(PGL)

概要

ぺリゴルによる選出誘導

第七世代で雨パには水Zとあめふらしペリッパーが加わり、「すいすい+スーパーアクアトルネードで相手1匹を縛りながら追い風を展開する」という強力な勝ち筋のもと動けるようになりました。この並びに対して、相手は先発で出し負けないようにすることが必須となります。選出画面でプレッシャーを与えて選出を誘導するにはうってつけです。

一方、WCS2017はアローラ図鑑ポケモンのみが使用可能な「制限ルール」であり、雨対策ができるポケモンのバリエーションは限られていると言えます。主に下記のポケモンが雨パ対策として採用されます。

選出画面でぺリゴルを見せてこれらのポケモンを先発に誘い有利な組み合わせで迎え撃つ。このコンセプトで構築を考えたとき、最もフィットする並びがアマージョ+スカーフガブリアスでした。

アマージョ+ガブリアスについて

同タイプのカミツルギカプ・ブルルと比べ種族値や特性で見劣りしがちなアマージョですが、このポケモンには「味方のガブリアス地震に巻き込みやすい」という長所があります。(カミツルギは地面技が等倍で、ブルルはグラスフィールドでこちらの地震を弱体化させてしまう)。スカーフガブリアス地震に巻き込みながら攻撃を選択できることで、以下のように雨対策として用いられるポケモン達に対して強い動きができます。

1,フェイント+地震

フェイントで守るやワイドガードを崩しながら地震を通すことができます。少量でもフェイントのダメージがあることが重要で、カプ・コケコの耐久調整を崩したり、ウツロイドの襷やトゲデマルの風船を割ることができます。

2,格闘Z+地震

飛び膝蹴りベースの格闘Zは威力195に達し、地震とあわせてポリゴン2を倒すことができます。ハリテ+ポリ2など、トリル補助の猫だましも女王の威厳により封じて集中攻撃を通すことが可能。

ただし、物理耐久に非常に多く振っているポリゴン2は集中しても落ちない場合があります。格闘Z+地震の集中攻撃で輝石持ちポリゴン2が落ちる確率の目安は下記の通り

集中攻撃をかけて落としきれない事態は本来なら不味いですが、それだけ防御に配分しているポリゴン2は特攻にほとんど努力値を割いていないため冷凍ビームで反撃されてもガブリアスは耐えるはず。ポリゴン2の体力がミリ残しなら次のターンアマージョのフェイントで縛れる点、メタグロスが控えているためポリゴン2にトリルを貼られても切り返せる点も考えるとさほど問題はないかと思いました。

3,トロピカルキック+地震

ポリゴン2と同じく雨パーティに対して初手で出てきやすいカプ・レヒレを、トロピカルキック+地震の集中で倒すことができます。レヒレは一般的に素早さを115以下にしているので(無振りカプ・テテフを抜くとフィールド合戦に負けるため)、こちらのアマージョ(S119)で抜いて上から殴ることができます。カプ・レヒレの隣にはトゲデマルが置かれることが多いですが、女王の威厳で猫だましを無効化しているうえに地震が4倍で通るのでほぼ置物となります。


構築を組んだ当初はガブリアスの相方としてマッシブーンを採用していました。しかしガブブーンの並びはマジカルシャインで一掃されます。「上を取って強引にフェアリーを倒してマジカルシャインを止める」方針で何とかできていた頃もあったものの、耐久調整コケコや「猫だまし+レヒレ」が環境に増えたことで難しくなりました。よりよい組み合わせを探していたところアマージョに行き着いた、というのがこの組み合わせに至った経緯です。

マイナーなポケモンであり種族値や技については相手も知識が無いことが多く、フェイントや格闘Zによる初見殺しは痛快でした。

威嚇に対する考え方と地面の一貫性

このように物理二匹で力押しをする戦術は通常のダブルバトルなら「いかく」により止められてしまう可能性が高いです。しかし、アローラダブルの威嚇枠は9割がウインディ

炎タイプであるウインディはペリゴルに対して初手で出てくることは非常に少ないです。選出される場合は基本的に後発に置かれますが、アマガブに対してウインディへ交代して威嚇を撒こうものならガブリアス地震が直撃します。威嚇込みのダブルダメージ地震で大半のウインディは確定2発であり(高確率でフィラのみ圏内に入らない)、最後っ屁の神速も女王の威厳により封じることができます。よって、ウインディへの交換で威嚇を撒かれてもダメージレースで不利にはなりません。

加えてこのルールでは優秀な浮遊持ちが少なく、地面の通りが非常に良いです。飛行タイプや浮遊持ちが控えていないパーティでは、ガブリアス地震を交代によって凌ぐのは困難。これらの点から、アマガブに対して「出し負け」をした相手は交代で体勢を立て直すのが難しいと言えます。


初手でこちらがアマガブを出し、雨対策選出と対面したらガッツポーズ。「威嚇枠がウインディ」で「地面技が一貫する」このルールの一般的なスタンであれば交代でアマガブの攻撃を凌ぎきることはできず、「出し勝ち」を利用して初手から一気に畳みかけることができます。

ぺリゴルを選出すべき相手について

ヒレ・ツルギ・ウインディを軸にした雨パ対策満載のAFKスタンにはアマガブを選出することが多いのに対し、コケコ・ガブ・カグヤ・ウインディを軸として組まれるGACT系のスタン構築に対してはぺリゴルをメインに選出を組むことが多いです。アマガブではテッカグヤが面倒なこと、大抵のGACTは雨対策が薄いためです。この場合の選出は「主な選出」の項で後述。

また、雨パミラーやフワライド、バルジーナ系など追い風中心の構築に対しても主にペリゴルを出していき、こちらも追い風を張って対抗します。これらの仮想敵を意識してペリッパーゴルダックの両名は臆病最速にしています。最速にすることでペリゴルミラーで有利に立ち回れるのはもちろんですが、ゴルダックが最速フワライドの上をとれるため、日本晴れより先にスーパーアクアトルネードを撃ったり、アンコールを仕掛けていくことが可能になります。

個別解説

ペリッパー
【ねっとう、ぼうふう、おいかぜ、まもる@きあいのタスキ/あめふらし
135-×-120-147-91-128 (C252,D4,S252) おくびょう

あめふらし要員。ゴルダックの強化はもちろん、アマージョメタグロスに対する炎技の軽減、スカガブの地震透かし、追い風によるS補助、など味方と多くのシナジーを発揮してくれます。暴風により、アマガブやゴルダックにとって面倒なカプ・ブルルマッシブーンを片付けてくれるので攻撃範囲の相性も優れています。

飛行技は当然雨と相性の良い暴風で、水技は熱湯を選択。最近はポリゴン2を集中で落とすための潮水が流行っていますが、このパーティにはポリゴン2対策要員が多く存在するため熱湯で十分と考えました。熱湯と暴風の追加効果発動確率は高く、頼りになります。

追い風を使えることもペリッパーの利点であり、ゴルダックの水Zで片方を縛りながらS操作を仕掛けるのが強力です。相手の追い風にも対抗でき、すいすいゴルダックの上を取ることを許しません。

性格を臆病にして最速にしたのは、主にミラー意識。加えて追い風展開後、確実にスカーフガブリアスを抜けます。115-130近辺は素早さの激戦区であり、素でウインディカプ・ブルルマッシブーンなどを抜ける可能性も高くなるため、最速にしておくことが役に立つ状況は多々あります。


ゴルダック
ハイドロポンプ、ねっとう、アンコール、まもる@ミズZ/すいすい】
155-×-98-147-101-150 (C252,D4,S252) おくびょう

キングドラやルンパッパの使えないこのルールでは定番のすいすい雨アタッカー。命中不安なハイドロポンプはあくまで水Zのベースとしてのみ考え、熱湯と両立することにしました。(水Zはハイドロポンプベースで威力185、熱湯ベースで威力160と威力が25違います)

アンコールはバルジーナやフワライドに刺さる技。これらの追い風・日本晴れをアンコールして交代を強要すればシードや軽業も帳消しにできます。水Z警戒の守るも狙い目です。冷凍ビームを切ったことにより攻撃範囲が狭くなりますが、対ドラゴンはコケコのシャインとガブのドラクロ、対草はペリッパーの暴風でそれぞれ補えると考えました。

性格を臆病にした理由は前述のとおり。雨が降っていない状態でも実数値150のSで動けるため、天候を取られた場合や雨が止んでしまった状態でも戦いやすくなります。


アマージョ
トロピカルキックとびひざげり、フェイント、まもる@カクトウZ/じょおうのいげん】
149-187-119-×-124-119 (H12,A236,B4,D44,S212) いじっぱり

A:11n
BD:ガブリアスと並べた際に相手ポリゴン2のダウンロードで特攻が上がらないよう調整
S:準速ペリッパー+2

味方のスカーフガブリアス地震に巻き込める、草タイプのアタッカー。レヒレトリトドンポリゴン2カビゴンらに刺さる草+格闘の攻撃範囲は雨パーティにとって重宝します。

女王の威厳は疑似サイコフィールドであり、猫だましを封じることで集中攻撃を通しやすくなります。パーティに高速低耐久ポケモンが多いため、体力が減って先制技で縛られる状況を回避できるのも優秀でした。サイコフィールドとの違いとして、自身と味方はフェイントやバレットパンチといった先制技を自由に使えます。

固有技トロピカルキックの追加効果が役に立つのは主にミミッキュオニシズクモバンバドロを上から殴るとき。交代先にも一貫し、テッカグヤウインディの攻撃を下げて有利な展開を作れる場合があります。

S115~118付近はこのルールのメジャーポケモンが多数存在する激戦区なのでそこから抜け出せるよう素早さに多く振っています。一般的な配分のレヒレはもちろん、ウインディも抜けてしまうことがあります。


ガブリアス
【じしん、いわなだれ、ドラゴンクロー、かえんほうしゃこだわりスカーフ/さめはだ】
183-198-115-90-111-151 (A236,D44,S228) いじっぱり

A:11n
BD:アマージョと並べた際に相手ポリゴン2のダウンロードで特攻が上がらないよう調整
S:スカーフ込みで最速フェローチェ+2

パーティに威嚇持ちがいないのでワルビアルも候補に挙がりそうですが、カミツルギに弱い点と打点不足がどうしてもネックなのでガブリアスを選びました。地面技の一貫するこのルールにおいてスカーフガブリアス地震は最高の全体技。アマージョをパートナーにすることにより、天敵であるポリゴン2やレヒレにも圧力をかけていくことができます。

ドラゴンクローはタイプ一致技としても使いやすく、ゴルダックが冷凍ビームを持っていない分の対ドラゴン打点を補えます。カミツルギを命中100で安全に焼くために炎のキバではなく火炎放射。あとはスカーフと絡めて強い岩雪崩を持たせています。

防御振りのポリゴン2により大きなダメージを与えたり、耐久調整コケコをフェイントなしでも落としやすくするため、性格・努力値配分は攻撃に寄せています。


メタグロス
【コメットパンチ、しねんのずつきアームハンマーバレットパンチとつげきチョッキ/クリアボディ
183-203-151-×-116-86 (H220,A236,B4,D44) いじっぱり
※S個体値23
H:8n-1
A:コメットパンチ+バレットパンチで145-105カプ・コケコを高乱数で倒せる(99.31%)
HB:A156ミミッキュのゴーストZ(威力140)を高乱数耐え(68.7%)、A178ウインディフレアドライブを高乱数耐え(75%)
S:アームハンマー1回で最遅ポリゴン2を下回る

ライブ大会で10戦全てに選出して活躍したMVP。上位で流行したブルルロイドやポリ2ガイアをはじめ刺さる並びは多く、このポケモンをうまく守って暴れさせることができれば相手に大きな損害を与えられます。味方のペリッパーとは相性抜群で、雨によって炎技を軽減してもらったり、ライジングランドオーバーを透かしてもらえます。

このルールで定番の鋼枠であるカミツルギテッカグヤと比べ、メタグロスのメリットになるのはバレットパンチの存在と、ポリ2ガイアへの対抗しやすさです。バレットパンチによってペリゴル・アマガブの両方にとって厄介なアローラキュウコンを簡単に始末できます。ポリ2ガイアに対しては、カミツルギならめざ炎で焼かれたり、テッカグヤなら岩技で押し切られてしまいますが、メタグロスなら基本的に押し負けません。また素早さ個体値を23にし、アームハンマー1回でポリゴン2の下をとれるようにしています。

持ち物には弱点保険や半分回復の木の実も候補に挙がりますが、特殊方面のZ技を確実に耐える耐久が欲しかったためチョッキを選びました。コケコの攻撃を耐えてコメットパンチ+バレットパンチで返り討ちにできます。クリアボディによる威嚇無効と強靭な物理耐久により、ウインディとも戦いやすいです。雨が降っていなくてもフレアドライブを1発は耐えるため、「隣をギガイアスに交換して雨を消しながらフレアドライブ」はケアできます。ただし鬼火には注意。


カプ・コケコ
10まんボルトマジカルシャイン、エレキボール、まもる@いのちのたま/エレキメイカー】
145-×-105-161-96-182 (C252,D4,S252) ひかえめ

バルジーナ・フワライド・テッカグヤといった特殊耐久の硬い飛行、こちらの水技が通りにくい水とドラゴンへの打点を担います。このパーティのカプ枠であり、ブルルやテテフのフィールドを奪うのも大事な役目。アマガブのカモであるトゲデマルや、ぺリゴルのカモであるガラガラといった避雷針ポケモンを誘う働きにも期待しています。

3枠目の技にはボルトチェンジや雷、放電、挑発、めざパ、吠えるなどの選択肢があり、インターネット予選では日程ごとに技を変えて色々試していましたが、最終的にエレキボールを選びました。これによりカビゴンギガイアスなど雨パーティで重くなりがちな鈍足ポケモンに特大の打点を持てます。エレキボールの威力はS45以下の最遅カビゴンギガイアスに対しては150、S60以下の最遅ポリゴン2ヤレユータンには120の威力となります。ポリゴン2は最遅でないものもいますが、その場合でも威力80は確保できるため撃っていく価値はあります。

性格は控えめ。命の珠も持たせて火力重視にしています。スカガブ、ゴルダックで相手のコケコを縛れることや追い風の恩恵を受けることを踏まえると最速にする必要は無いと判断しました。また、最速にしないのは一見エレキボールとアンチシナジーですが、主要な仮想敵である最遅カビゴンギガイアスポリゴン2ヤレユータンへのダメージは変わらないため問題ありません。


主な選出

パターン1

先発+
後発+or
相手のぺリゴル対策にカウンターする選出。レヒレカミツルギウインディを軸とするAFKや、トリトドンポリゴン2を入れて雨対策を厚くしているタイプのGACTに対して主に選出します。ドーブル系に対してもこの並びを出していき、フェイントと女王の威厳を駆使してドーブルの守りを打ち破ります。

パターン2

先発+or
後発+
後発にぺリゴルを置くタイプの選出。
雨対策薄めのGACTスタンやドレコーなどに対してこの選出を選ぶことが多いです。相手の雨対策ポケモンにダメージを与えて、ぺリゴルで一掃することを念頭に置き立ち回ります。ただし、キュウコンギガイアス入りのスタンに対してはゴルダックは選出しないようにし、天候依存を抑えるのが無難。

パターン3

先発+
後発+or
先発にぺリゴルを置くタイプの純雨選出。フワライド・バルジーナを軸とした追い風構築やぺリゴルミラーにはこの選出で戦いたいところです。

ライブ大会決勝トーナメント 対戦レポート

ライブ大会ではスイスドロー予選を4勝2敗で8位通過し、決勝トーナメントに進みます。決勝トーナメントの試合は全て配信台を引きました。3戦とも予選の再戦であったうえ、昼休みに公式でパーティの中身が公開されていたため、構築や戦い方はお互いに知っている状態でした。

【準々決勝】 vs てるるん選手

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初手にポリゴン2が来ると考え、それに圧力をかけるためぺリアマの初手を出したものの見当違いでした。トリル要員が二匹となればトリル起動を止めるのは困難、かつトリルアタッカーがオニシズクモであるためメタグロスでも対処が難しい、ということでこちらは非常に苦しい立ち回りを強いられることになります。しかし相手の選出にはペリッパーが刺さっていました。ペリッパーにとって脅威となるポリゴン2をまず処理し、集中攻撃を守るで防ぐ、火傷して役割を失ったメタグロスをクッションに使うなどしてトリルターンを凌ぎきり、最後にペリッパーで相手を制圧して勝ち。アマージョが麻痺したのは結果的に幸運でしたし、一つでも択を誤れば負けに直結する激戦でした。

【準決勝】 vs くいたん選手

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地面耐性のある二匹を並べ、ギガイアスを腐らせながら戦う方針。砂がくれガブリアスに集中攻撃するのはリスキーですが、それゆえ逆に守るは押されないだろうと予想(?)。チキってペリッパー引きをして砂隠れを消そうとすれば、交代読みで岩雪崩を撃たれる危険もあります。相手のガブリアスに対して両方当てれば爆アド、ドラゴンクローだけでも当たってくれれば死に出しペリッパーから次のターン両縛りにできると考えて集中攻撃。両方当てたので初手から一気に優勢となり勝ち。

【決勝】 vs じーん選手

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水技が一貫しているうえ、バルジーナ入りの追い風構築ということでこちらは雨選出。ペリゴルコケコの三者バルジーナを放置しながら片方を攻撃し続ければ有利に戦えると考えました。初戦は初手で択に勝ってブルルを倒し、その後もバルジーナ放置で2:1を取り続けて勝利。

二戦目、2T目のアンコール貫通草Zは頭から抜けていたので焦ったものの、バルジーナ放置を続行して追い風ターンを凌ぎ切ります。10万ボルトでバルジーナを落としきれたのが大きく、あとは先制技とコケコの素早さでひたすら上を取って勝利。

おわりに


ライブ大会で優勝し、日本一になることができました。
全国大会では3年前の2014年に準優勝、2年前の2015年に3位とあと一歩で日本一を逃し続けてきたため念願の優勝です。国内予選は主にBO1で行われるため雨パーティによる選出誘導が想定通りに決まったこと、またトップカットの上位勢に対してはペリグロスが非常に刺さっていたことが今回の優勝の決め手だったと思います。

しかし、次のステージである世界大会は全試合マッチ戦形式であり、この構築のコンセプトはあまり通用しないと考えます。マッチ戦向けの新しいパーティを練り、マッチ戦の立ち回りを練習し、万端な準備をしてアナハイム世界大会に臨みたいと思います。

【宣伝】第32回がにゅーオフ

6/3(土)に福岡市立西市民センターで第32回がにゅーオフを行います。
対戦ルールは全国ダブルとアローラダブルの二つです。
詳細は下記のリンクからご覧ください。
http://d.hatena.ne.jp/ganyu-off/20170407

レヒレジーナ

f:id:barudoru:20170304183652p:plain
QRレンタルチーム(PGL)

第31回がにゅーオフ(バトルロードグロリア九州予選)で使用した構築。スイスドロー予選を5-1で56人中2位抜け。その後、決勝トナメ1回戦で負けてベスト16。

概要

f:id:barudoru:20170303205327p:plainヒレジーナガブについて

ダブルバトル入門にも書いた通り、ダブルバトルの「全体技」は立ち回りの負担を減らすため、また火力面で相手に差をつけるため積極的に活用したい要素です。このルールにおいても全体技を多用できる組み合わせを煮詰めていこうと考えました。

アローラダブルにおいて全体技を乱発できる組み合わせの一つがレヒレジーナ+スカガブです。この3匹だけでも濁流、マジカルシャイン、バークアウト、岩雪崩、地震という5種類の全体技を擁し、バルジーナの追い風でS操作をかけながらレヒレで相手を削り、最後にスカガブで一掃するという流れが理にかなっており強力。

すでに有名な組み合わせでメタも張られやすいため、そのメタをどう乗り越えていくかを念頭に置いて構築しました。

f:id:barudoru:20170303212051p:plain岩Zテッカグヤについて

ヒレジーナガブを基本選出とするなら、残り1体には下記の条件を満たすポケモンが望ましいと言えます。
・スカガブで暴れるうえで障害となる飛行、虫タイプを倒せるポケモン
・スカガブの地震に巻き込まれない、浮いているポケモン
・基本選出の3匹にZ技が無いため、Z技枠となるポケモン
バルジーナガブリアスの苦手なフェアリーへの打点と耐性を持つポケモン

これらを満たすのが岩Z持ちのテッカグヤでした。ストーンエッジをベースにすれば岩Zの威力は180。クワガノンオニシズクモバルジーナギャラドスペリッパーなどなど地面耐性を持つ虫・飛行タイプのポケモンに大ダメージを与えることができ、スカガブの地震が通りやすい盤面を作るのにとても有用でした。自身の苦手とする炎タイプのガラガラやコータスウインディに対してもダメージがあり、「ウインディに交代しそうなキュウコン」等に対してはヘビーボンバーではなく岩Zを撃つことで攻撃が一貫します。

「メインウェポンのZ技(ウインディの炎Zやガブリアスの地面Zなど)」はほぼ毎試合使うのに対して、テッカグヤの岩Zのような「サブウェポンのZ技」は、相手によっては使用せず試合が終わることもあります。Z技が腐ることがあるのは勿体ない気もしますが、読まれにくいため守るや交代で凌がれることが少ない点、普段倒せない相手を倒せるようになり構築の対応範囲が広がるという点では重宝します。

f:id:barudoru:20161220213945p:plain避雷針について

ヒレジーナカグヤの3匹は電気弱点が被っているため、単純な電気対策手段として避雷針に頼ってみることにしました。対カミツルギを意識してトゲデマルではなくガラガラを選択。

基本的には選出しない「見せポケ」となりますが、選出せずとも「拘り眼鏡+10万ボルト」、「電気Z技」に対する抑止力になります。相手目線ではこちらがレヒレジーナのどちらかを避雷針ガラガラに交代した場合、「拘り眼鏡+10万ボルト」なら無効にされた挙句次のターン交代せざるを得なくなり、「電気Z技」なら無効にされた上にZ技を以後使えなくなるため、どちらも避雷針で無効にされた場合のリスクが非常に大きいと言えます。このように避雷針ガラガラバックをちらつかせておくことで相手はハイリスクな電気技を撃ちにくくなり、間接的にレヒレジーナが動きやすくなります。

それでも初手に眼鏡10万ボルトやスパーキングギガボルトが飛んでくる場合があります。立ち回りの上手い相手は隣で岩雪崩を撃つなどしてガラガラ引きをケアしながら電気技を撃ってくるので、コケコガブなどの初手の並びに対してはレヒレガブリアスに交代するのも手。こちらのパーティに避雷針持ちがいることを忘れてハイリスク電気技をぶっ放してくる相手は知りません・・大多数のカプ・コケコはガラガラバックを警戒してマジカルシャインや放電を使うので、初手からレヒレジーナで突っ張るのが正解だと思っています。

個別解説

f:id:barudoru:20170303205327p:plainカプ・レヒレ
ムーンフォース、だくりゅう、マジカルシャインくろいきり@こだわりメガネ/ミストメイカー】
175-×-157-140-151-107 (H236,B60,C196,D4,S12) ずぶとい

HB:A233カミツルギリーフブレードを高乱数耐え(87.5%)、A178ウインディスパーキングギガボルトワイルドボルトベース)を最高乱数以外耐え
S:最速45族抜き、追い風下で素早さ1段階アップの準速ポリゴンZ抜き

ミストメイカーによって相手のコケコ、テテフの火力を落としつつ、眼鏡シャイン・濁流で雑に削ります。技は眼鏡レヒレの王道構成。黒い霧によってイーブイバトン系をカバーします。

性格を図太いにして物理耐久を一回り硬く調整し、かつ避雷針と絡めて電気技を撃たせにくくすることで一撃突破されることを避けられるようにしました。175-157-151の耐久があれば集中攻撃も耐えてくれることが多いです。全体技のダメージを一度でも蓄積させれば大抵の相手はスカガブの地震圏内に追い込めます。


f:id:barudoru:20170303205715p:plainバルジーナ
イカサマ、バークアウト、おいかぜ、はねやすめ@ミストシード/ぼうじん】
207-×-125-75-144-127 (H172,D124,S212) おだやか

H:16n-1
S:追い風下でスカーフ最速ガブリアス抜き

基本的にはレヒレと共に初手に出しミストシードを発動。コケコの電気Zをも耐える強靭な耐久を盾に、追い風とバクアで味方をサポートします。プテラウツロイドフェローチェ入りの構築など、レヒレジーナ先発では高速の相手に上から制圧されてしまいそうな場合は、スカガブや猫だまし持ちのハリテヤマと共に先発し、それらに守られながら追い風を展開します。

浮いているため地震に巻き込まれず、バークアウトで相手フェアリーの火力を下げられる点で味方のガブリアスとの相性は抜群に良いです。

イカサマ、バークアウトの両立によって物理相手でも特殊相手でも腐りにくくなります。この構築には電気・草技が無く、水への打点が乏しいため、相手のレヒレを止めるためにバークアウトがほぼ必須。ポリゴン2や宿り木テッカグヤへの対抗手段として挑発が欲しくなることも多いので、羽休めを切っても良いかもしれません。


f:id:barudoru:20170303211808p:plainガブリアス
【じしん、いわなだれ、どくづき、ほのおのキバ@こだわりスカーフ/さめはだ】
183-179-115-×-125-154 (A100,D156,S252) いじっぱり

HD:C182カプ・テテフのムンフォを最高乱数以外耐え

地面の通りが良いこのルールでは圧倒的な制圧力を誇るスカーフガブリアス。電気・毒・岩への耐性からレヒレジーナとの縦の相性にも優れ、受け出しもしやすいです。同じスカーフ持ち地面タイプとしてはワルビアルも候補に挙がりますが、バルジーナとのタイプ重複や威嚇とイカサマのアンチシナジー、耐久面などからガブリアスに軍配が上がります。他のポケモンによって地震圏内まで相手を追い込み、このポケモンで最後に一掃するのがこの構築のメインの勝ち筋です。

炎技はカミツルギ意識なら火炎放射が無難ですが、カミツルギ以上にテッカグヤへの打点が欲しかったため炎のキバを選びました。ドラゴン技はミストフィールドとの相性の悪さから採用せず。


f:id:barudoru:20170303212051p:plainテッカグヤ
【ヘビーボンバー、ストーンエッジやどりぎのタネ、まもる@イワZ/ビーストブースト】
199-146-124-114-135-93 (H212,A92,B4,D108,S92) いじっぱり

A:H175-B112オニシズクモワールズエンドフォールで確定1発
HD:C147カプ・コケコのエレキフィールド+10まんボルトを確定耐え
S:追い風下で最速エンニュート抜き

スカーフガブリアスとの相性が良く、自身の苦手な電気・炎は地震で倒してもらうことができます。前述の通り、ワールズエンドフォールによって地面の通りが悪い飛行と虫タイプを倒しておくことで地震で一掃する最終盤面を築くことができます。
ヒレジーナガブの3匹は守るが使えないため、相手の毒やフェアリー技を受ける交代先としても有能。

Z技を使うため特性ビーストブーストの発動機会も多いです。このステータスでは攻撃が上がりますが、宿り木のタネで詰める上では特防が上がった方が良いため、攻撃<特防になるよう配分を考えても良かったかもしれません。


f:id:barudoru:20161220213945p:plainガラガラ(アローラのすがた
フレアドライブ、シャドーボーン、ホネブーメラン、まもる@ふといホネ/ひらいしん
141-145-130-×-100-92 (H44,A252,S212) いじっぱり

S:追い風下で準速カプ・コケコ抜き

避雷針により、相手に電気技使用を躊躇させることのできるポケモン。見せポケとなることが多いですが、コケコライチュウのエレキパや、コケコウインツルギカグヤが全て入ったスタンなどガン刺さりの相手には選出していきます。環境初期と比べて数が激減したためか対策が切られやすく、現環境では刺さる相手も多いです。

追い風の恩恵を受けるために配分はS寄り。選出数が少ない手前、配分はあまり練りませんでしたが、攻撃面の努力値を落として耐久に振っても良さそうです。


f:id:barudoru:20170303213710p:plainハリテヤマ
インファイト、どくづき、ねこだまし、みきり@ドクZ/あついしぼう
219-189-80-×-81-102 (A252,D4,S252) いじっぱり

S:準速(追い風下で最速130族抜き)

上記の5匹で厳しい相手として、プテラやトリパが挙げられます。
ハリテヤマなら、その両方に回答できると考えました。

プテラに対しては初手ハリテジーナと並べて猫追い風から入ることで、襷を割りながら上を取ることが可能。準速まで素早さを引き上げているので追い風下では130族の上を取れます。

トリパのポリゴン2+ギガイアスに対しては攻撃面でも耐性面でも強く、猫だましと見切りで時間を稼いでトリルターン切れを狙うのも得意です。ここまでSが速いとトリル下では先手を取られるのが悩みですが、レヒレジーナの挑発や最遅ハリテヤマを警戒してトリルを使ってこないポリゴン2も多いため、この配分で特に問題ありませんでした。

持ち物は毒Z。追い風によってコケコ・レヒレの上を取り、アシッドポイズンデリートでそれらを倒すのが爽快です。どくづきベースで威力160。175-135レヒレを乱数1発 (81.3%)。テッカグヤの岩Zと同様、読まれにくいため決まりやすい役割破壊系のZ技です。

ポケモンダブルバトル入門

7世代からWCSルールがランダムマッチの対戦ルールの1つとなり、”QRレンタルチーム”という便利なシステムも登場しました。これを機にダブルバトルに興味を持った方も多いと思います。

当記事ではそういった方に向けて、ダブルバトルの基本戦術やシングルバトルとの違いを解説します。ダブルバトルの世界に一歩を踏み出す方の手助けになれば幸いです。


■目次

・1,縛りと守るについて
・2,S操作について
・3,全体技について
・おわりに

■第一章 縛りと守るについて

まずはダブルバトルの盤面把握に欠かせない“縛りの概念”と“「まもる」の重要性”について、具体例を挙げて説明します。

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【プレイヤーA】カビゴン カプ・テテフ
vs
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【プレイヤーB】マッシブーン ベトベトン(アローラのすがた)


上の図ではプレイヤーAがカビゴンカプ・テテフ、プレイヤーBがマッシブーンアローラベトベトンを繰り出しています。どちらのプレイヤーが有利なのでしょうか、そしてそれぞれのプレイヤーはどのように動くべきなのでしょうか。


シングルバトルでは、
f:id:barudoru:20170222232023p:plainf:id:barudoru:20170222232033p:plainマッシブーンvsカビゴン」はマッシブーンが有利
f:id:barudoru:20161220214552p:plainf:id:barudoru:20170222232047p:plainカプ・テテフvsアローラベトベトン」はアローラベトベトンが有利
といった具合でポケモン同士の相性を見て優劣が判断できます。

一方ダブルバトルでは、f:id:barudoru:20170222232033p:plainf:id:barudoru:20161220214552p:plainf:id:barudoru:20170222232023p:plainf:id:barudoru:20170222232047p:plainこのように4体のポケモンが場にいるため一見すると状況は複雑。そのことで”ダブルバトルは難しい”と考える人もいると思います。しかし、ここで“縛り”という言葉を押さえておくと、盤面を紐解いていくことができます。


まず、マッシブーンカビゴンの関係に注目してみましょう。
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マッシブーンカビゴンより素早さが速く、格闘Z技や「ばかぢから」により一発でカビゴンを倒すことができます。言い換えるとマッシブーンが相手の場にいる限り、カビゴンは自由に動くことができず、「まもる」を使うか交代するしかありません。これを”マッシブーンカビゴンを縛っている”と言います。

“縛る”という言葉は、このように“先手を取って相手を一撃で倒す態勢を作ることで相手の行動を封じる”という意味を指します。

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しかし、カビゴンの相方はカプ・テテフカプ・テテフは先手を取ってマッシブーンを一撃で倒すことができ、”カプ・テテフマッシブーンを縛っている”状況となります。マッシブーンが行動できないことにより、マッシブーンから縛りを受けていたカビゴンは自由に行動できるようになります。これを“縛りを解除する”と言います。

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アローラベトベトンもまたカプ・テテフを一撃で倒すことができますが、素早さではカプ・テテフに劣っているため、カプ・テテフの行動を止めることは不可能です。“アローラベトベトンカプ・テテフを縛っている”と言うことはできないのです。


カプ・テテフマッシブーンを縛っているこの状況。お互いのプレイヤーが普通に行動すると、まずカプ・テテフマッシブーンを「サイコキネシス」で倒し、次にアローラベトベトンが「どくづき」でカプ・テテフを倒す、最後にカビゴンが「10まんばりき」でアローラベトベトンを攻撃したり、「のろい」や「はらだいこ」を使う、という流れでターンが終了します。カプ・テテフマッシブーンを縛り、これを行動させなかった分、プレイヤーAがアドバンテージを得ました。このように相手に縛りをかけている側が有利に立ち回ることができます。
https://youtu.be/Lf15ImmJHnAyoutu.be
では、プレイヤーBの側はどのように立ち回れば良いのでしょうか。

正解はマッシブーンに「まもる」を使わせることです。

「まもる」によって「サイコキネシス」を凌ぎ、その間にアローラベトベトンの「どくづき」でカプ・テテフを倒すことができます。すると次のターンには縛りの解除されたマッシブーンカビゴンを縛ることができ、プレイヤーBが有利に立ち回ることができます。

https://youtu.be/IBf7HlqVmWkyoutu.be

ダブルバトルでの「まもる」はこのように縛りを解除する手段として重宝されます。シングルバトルでの「まもる」は『かそく』や「たべのこし」とのコンボで使われることはあるものの、そういったコンボを絡めず、相手の攻撃をただ守って凌ぐだけでは状況は変化しません。一方、2体のポケモンで戦うダブルバトルでは、片方のポケモンが「まもる」を使っている間にもう片方のポケモンで状況を変えることが可能です。縛りを解除するほかにも、味方のポケモンが「トリックルーム」を使ってくれるのを待つなど、「まもる」の使用により相方と息を合わせて行動することができます。こうした用途からダブルバトルの「まもる」はほぼ必須とされており、「とつげきチョッキ」や「こだわりスカーフ」を持たせるものを除きほとんどのポケモンの技に採用されます。

■第二章 S操作について

相手のポケモンを縛り、試合を有利に進めるためには、素早さで相手を上回ること、すなわち“上を取る”ことが欠かせません。相手の上を取れるよう、自分のポケモンの素早さを上げること、もしくは相手のポケモンの素早さを下げることを“S操作”と言います。

ここでは代表的なS操作とそれぞれの長所、短所、使い方について解説します。

f:id:barudoru:20170223233313p:plainおいかぜ

「おいかぜ」は4ターンの間、味方のポケモンの素早さを2倍に引き上げます。この4ターンには「おいかぜ」を使うターンもカウントされるため、恩恵を受けられるのは実質3ターンとなります。とはいえ、1ターンに敵味方あわせて4体のポケモンが行動するダブルバトルでは3ターンでも十分アドバンテージを取れます。「まもる」と交代でうまくターンを凌がれてしまわないよう、一貫性のある技や全体技で確実にダメージを稼ぎたいところです。

2倍という上昇量は大きく、元の素早さ実数値が89以上あれば最速カミツルギを、101以上あれば最速カプ・コケコをも抜けるようになるため、中速ポケモンで高速ポケモンを縛ることも容易になります。「おいかぜ」を使うパーティのポケモンは、倍速になることを前提に素早さの能力値を調整をしておくと良いでしょう。

6世代以前の教え技が使用できないWCS2017でも優秀な「おいかぜ」の使い手は多数存在します。バルジーナファイアローペリッパープテラなどが代表的です。このうちペリッパー以外は「ちょうはつ」を使用でき、「おいかぜ」を使ううえで天敵となる「トリックルーム」を封じることもできます。

f:id:barudoru:20170223233253p:plainでんじは/へびにらみ/ほっぺすりすり

「でんじは」等を使って相手を麻痺状態にすることにより、素早さを半減させます。状態異常であることから、「いやしのすず」などを使われない限り、永続的に対象ポケモンの素早さを落とせるのがポイント。25%の確率で行動を止められるのもおいしいところです。

ただし、素早いポケモンの多い電気タイプは麻痺せず、「へびにらみ」以外は地面タイプにも無効となります。さらにミストフィールドや「ラムのみ」など状態異常対策にも弱め。対象も1体のみであるため、2匹から上を取られている盤面を覆すのは難しく、「まもる」により防がれるのも難点です。

麻痺は前作と比べて大幅に弱体化しており(6世代までの麻痺状態は素早さが1/4に減)、カプ・コケコ、カプ・レヒレガブリアスらが猛威を振るうWCS2017の環境では使用率が低めです。

f:id:barudoru:20170223233328p:plainこごえるかぜ/エレキネット/じならし/がんせきふうじ

「こごえるかぜ」や「じならし」は素早さを下げる追加効果(100%)を持った攻撃技。ダメージが発生することから、「きあいのタスキ」や耐久調整を崩しつつ上を取れるのが強みです。

ただし、減少する素早さは1段階(2/3倍)のみであるため、これを活かすためには元々の素早さがある程度必要になります。加えて、能力変化なので交代されるとリセットされます。また、特性「かちき」や「まけんき」のトリガーにされる場合があるため、ミロカロスなどの入ったパーティを相手にする際には注意して使う必要があります。

「こごえるかぜ」、「エレキネット」は相手2匹、「じならし」は相手2匹と味方、「がんせきふうじ」は単体が対象。デメリットが無く、相手2匹の素早さを下げられる「こごえるかぜ」、「エレキネット」が最も強力ですが、どちらも6世代までの教え技であるため、WCS2017で使用できるポケモンは少数に限られています。一方、「じならし」と「がんせきふうじ」は性能的には劣るものの、技マシンで多くのポケモンが覚えます。

f:id:barudoru:20170223233338p:plainトリックルーム

技「トリックルーム」を使用すると5ターンの間、素早さが遅いポケモンから順に行動するようになります。素早さ関係を逆転させるため盤面への影響は非常に強く、耐久力の低い高速ポケモンは一転して縛られる側に回り、逆に素早さに一切努力値を振っていないような鈍足ポケモンが相手を縛る側に回ります。また、「おいかぜ」など他のS操作技はトリックルーム下ではむしろデメリットとなってしまいます。「トリックルーム」によって素早さの低いポケモンを活かすパーティは“トリパ”と呼ばれ、4世代以降常にダブルバトルの環境の一角を担っています。

強力である分、対策・妨害もされやすい技です。妨害手段は様々であり、集中攻撃や「ちょうはつ」はもちろん、「トリックルーム」の優先度が-7と低いことから「ほえる」「ふきとばし」なども受けます。鈍足ポケモンで固めたトリパでは「トリックルーム」への依存が強く、トリル起動を妨害されてしまうと常に相手に上を取られる形となることから劣勢になります。「トリックルーム」のターンが切れた場合も同様なので、なるだけターン内に決着をつけられるよう攻め急ぐ必要があります。

また、相手のパーティの中にギガイアスカビゴンなど遅いポケモンが紛れていた場合、逆に「トリックルーム」を利用されかねません。こうした問題のため、「トリックルーム」への依存は控えめにし、相手が速いポケモンを並べたり、「おいかぜ」で上を取りにきた場合の対策としてトリックルームを用いる“スイッチトリル”という戦術もあります。WCS2017環境の「トリックルーム」の使い手として最もポピュラーなポリゴン2は、高いスペックからスタンダードパーティにも採用しやすく、このスイッチトリル戦術を得意とします。

f:id:barudoru:20170223233506p:plain天候/フィールド

天候を軸に構築する”天候パーティ”では、『すいすい』や『ようりょくそ』といった素早さを2倍に上げる特性を活かし、手軽に高速ポケモンを用意することができます。

天候の起動は「おいかぜ」や「トリックルーム」のように技でする必要がなく、『あめふらし』や『ひでり』といった特性を使うことが可能なため、相手からの妨害を受けにくく速効性があります。『あめふらし』など天候を変える特性を持つポケモンと、『すいすい』など天候で素早さを2倍に上げる特性を持つポケモンを並べることで、試合開始1ターン目から高速ポケモンを用意し、圧倒的な素早さで相手に圧力をかけることもできます。

天候パーティの欠点はパーティ内でタイプ被りが発生しやすく、弱点を突かれやすいという点です。また、天候のターン数は5ターンと長いものの、別の天候を起動すると上書きされるため、相手に天候を取られることにも注意しなければなりません。天候に関する特性を持つポケモンは全体的に種族値が低めなので、天候を奪われると立て直しが難しくなりがちです。

7世代では天候とよく似た状態であるフィールドも強化されました。フィールドの恩恵を受ける特性を持つポケモンアローラライチュウのみであり、エレキフィールド下で特性『サーフテール』によって素早さを2倍にします。アローラライチュウを軸にしたエレキパーティにも、天候パーティの長所、短所が当てはまります。

■第三章 全体技について

ダブルバトルには複数のポケモンを攻撃する技(以下「全体技」)があります。様々なメリットを有する全体技を使いこなすことはダブルバトルの勝率を伸ばす鍵となります。

◆全体技の仕様

・ダメージは通常の75%に軽減される
※ただし、ターン内に相手ポケモンの片方が倒れるなどして相手1体のみが対象になる場合は100%のダメージとなる(シングルダメージ)
・「このゆびとまれ」や『ひらいしん』に吸われない
・「ワイドガード」によって防がれる
・“①相手2匹を攻撃する技”と“②相手2匹と味方を巻き込む技”の2種類がある

◆主要な全体技

①相手2匹を攻撃する技

ハイパーボイス、ふんか、ねっぷう、しおふき、だくりゅう、ふぶき、こごえるかぜ、いわなだれ、バークアウト、マジカルシャイン

②相手2匹と味方を攻撃する技

だいばくはつ、なみのり、ほうでん、じしん、じならし

①相手2匹を攻撃する技について

“①相手2匹を攻撃する技”は味方のポケモンを巻き込まないため、相方を気にする必要がなく扱いやすい技です。威力などで多少劣っていても、単体技よりこの類の全体技の方が優先して採用される傾向にあります。例としてシングルバトルでは炎タイプの特殊技は「かえんほうしゃ」や「だいもんじ」が一般的ですが、ダブルバトルでは「ねっぷう」が基本となります。

この類の全体技の主なメリットは下記の3点です。

 
1.ダメージ効率の良さ

75%のダメージを相手2匹に与えるため、単純計算すると150%のダメージを与えることができます。

 
2.追加効果

相手2匹に技を当てる分、試行回数が増え、追加効果の発動を狙いやすくなります。特に強力なのは「いわなだれ」で、先手を取って当てることができれば30%の怯み判定を相手2匹に与えられます。100%追加効果の発生する「こごえるかぜ」や「バークアウト」はダメージよりも追加効果に重きが置かれていると言えるでしょう。

 
3.読みに頼る場面を減らす

単体攻撃技と違い攻撃対象を選ぶ必要がないため、読みが求められる場面を減らすことが可能です。片方のポケモンに「まもる」を使われてももう片方には攻撃を通せることから、確実に相手を削ることができます。

特にダメージ効率の良さは魅力的であり、「ふんか」や「ハイパーボイス」など高威力の全体技で相手を一掃するのは爽快です。この爽快感はシングルバトルでは味わえないダブルバトル特有のものと言えるでしょう。

②相手2匹と味方を攻撃する技について

一方で”②相手2匹と味方を攻撃する技”は味方を巻き込んでしまうため使用には工夫が必要です。「じしん」を使うポケモンの隣に特性『ふゆう』持ちや飛行タイプを置くなど、全体技に巻き込まれないポケモンを隣に置き、被害を受けないようにしたいところ。7世代で登場したヤレユータンは特性『テレパシー』で味方の全体技のダメージを受けず、技「さいはい」によって全体技を連打させることができるため、この手の全体技を使うポケモンと非常に相性が良いです。また、「なみのり」+『ちょすい』や「ほうでん」+「じゅうでんち」、「じならし」+「じゃくてんほけん」のように特定の攻撃を受けることをトリガーとする特性や持ち物とコンボで使うのも手です。

◆全体技の弱点

全体技の対策としては「ワイドガード」があります。必ず先制でき(優先度:+3)、そのターンの間、自分のポケモン2匹は相手や味方が使った全体技を受けなくなるという技です。全体技を使う側としては「ワイドガード」を使いうるポケモンは警戒すべきであり、単体技で攻めることも必要になります。この技の使い手が多いタイプは格闘・鋼・岩・地面。また、7世代で登場したポケモン、強化されたポケモンの多くがこの技を覚えるため注意しましょう。

ワイドガードを使用できるポケモン一覧(WCS2017で使用可能なものは太字)

パラセクト、カイリキーゴローニャアローラゴローニャキングラーサワムラーバリヤードプテラマンタインドーブルカポエラーラグラージペリッパーハリテヤマドダイトストリデプスエルレイド、ダイノーズレジギガスギガイアスローブシン、ナゲキ、イワパレスアバゴーラママンボウコジョンドギルガルドケケンカニドヒドイデオニシズクモキテルグマグソクムシャバクガメスソルガレオルナアーラテッカグヤアクジキング

■おわりに

ダブルバトル入門は以上となります。この記事を最後まで読んでいただければダブルの基礎はバッチリです。早速レーティングバトルに潜ってみましょう。ダブルバトル用のパーティ、ポケモンを持っていなくても、PGLQRレンタルチームよりレンタルを行えばすぐにダブルバトルを遊ぶことができます。

https://3ds.pokemon-gl.com/rentalteam/3ds.pokemon-gl.com

【宣伝】第31回がにゅーオフ

2017年2月19日土曜日に福岡市で第31回がにゅーオフを開催します!
masaさんが主催するバトルロードグロリア2017の九州予選として開催する形になっています。
対戦ルールはWCSレートと同じアローラダブルです。


詳細、および参加者募集記事はこちら